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ウェールズ王国
マサオミ
しおりを挟む俺はマサオミ、依頼を受ければ何でもやるまぁなんでも屋だ。
今回の依頼は落とし人の拉致。
高額依頼だったから引き受けた。
俺には母親が居て、病気の為の薬にかなり金が掛かる。
本当の母親では無いが、俺にとっては世界で一番大切な人だ。
俺はパレードに合わウェールズ王国へ向かった。
屋根からパレードを見下ろすと小さな少女がニッコリ笑って手を振っていた。
「おいおい、あんな幼子を攫うのかよ…。」
しかし、依頼だから仕方ない。
俺はサッと少女の背後に降り立つと気を失わせ担いだ。
屋根伝いに移動して直ぐに森に入った。
「騎士団も名ばかりだな?こんなに簡単に攫わせるなんてな。」
まぁ、俺には有難いがな。
暫く森を走ると落とし人の少女は目を覚ました。
全く不思議な少女だと第一印象で思った。
攫われたと言うのにかなり落ち着いているし、ちょっと物騒な事も言っていたが…いつでも逃げられるが逃げたら俺が怒られるから逃げないと言う少女。
笑いが堪えられなかった、直ぐに連れて行くつもりだったが俺は何故だか野営をする事にした。
もう少しこの少女と一緒に居たいと思ってしまったのだ。
しかし、野営の予定も無かったから食料も無い。
俺は森に入って狩りをしてくる事にした。
逃げちゃうかもよ?と言う少女に逃げないんだろ?と言えばニッコリ笑っていた。
なんだろうか?この胸の辺りがほっこり暖かくなる感じは。
俺は直ぐにボアを狩ると少女の元へ戻った。
ちゃんと木の根に座り待っていた少女に頬が緩んだのは秘密だ。
しかし、こんなチビが落とし人様だとはな。
俺は肉を何やら弄っている少女を後ろから見ていた。
あいつら、コイツをどうするつもりだ?
「出来た!これを焼いて…あっ!」
石に躓いて転びそうになった少女を慌てて助けた。
「大丈夫か?危ないからちゃんと足元みろ。」
「ありがとう!」
ニッコリ笑う少女に俺も口元を緩めた。
まぁ、マスクで見えないがな。
少女を助けた手を見つめてハッとする。
俺が助けた?依頼のターゲットを?
不思議に思いながらも肉を焼き始めた。
少女はお腹が空いたのか火に近付こうとするのを危ないと注意したり、ウロウロ興味を引かれるままに動き回る少女を止めたり忙しかった。
「お前、もうちょっとジッとしてられないのかよ。」
「だって!見た事ない物がいっぱいあるんだもん!それに私はお前じゃなくてサクラ!」
小さな胸を精一杯はって得意気に言うサクラを可愛いと思ってしまった。
サクラは知らぬ間に敵を懐柔していた…ここにまたサクラの保護者が誕生したのだった。
「肉が焼けたぞ、飯にしよう。」
「わーい!」
一緒に木の根に並んで座って肉にかぶりつくサクラ、俺も1口食べて固まった。
「美味い…。」
「でしょ?お肉も新鮮だし、塩と胡椒だけでこんなに美味しくなるのよ。」
モグモグと頬を膨らませる程頬張るサクラは小動物の様だった。
「ほら、頬っぺに肉汁が付いてる。」
拭ってやると二ヘラと笑ってお礼を言うサクラ。
この依頼…バックれたら駄目か?
暫くゆっくりした後、またサクラを抱いて移動したあと、日も暮れて来た所でまた野営する事にした。
こうして夜は更けて行った。
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