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ウェールズ王国
サリスティン聖教最高司祭シャルル
しおりを挟む「ねえ、あの噂は本当なの?」
「噂…ですか?」
サクラは雅臣の頭によじ登りながらシャルルに聞いた。
「聖女様って本当に居るの?居るなら私は要らないよね?」
「聖女についての噂は本当ですよ、私の前の代まではですが。」
「お前は違うって言いたいのか?」
雅臣が怪訝な顔をした。
「はい、私は今までのサリスティン聖教の噂を私の代で払拭したいと思っています。幼子を無理矢理聖女に仕立てあげた所で何もない、ただの少女なんですよ。私はそれを何年も見てきました。」
そう、それはあまりにも幼い少女には酷な生活だった…。
夜も明けきらぬうちから身を清め、祈祷と言う名の拷問。
満足に与えられぬ食事のせいで、私がまだ見習いの頃沢山の聖女が死んで行った。
その時決めたのだ、私はこの聖教の上に立ち聖女などと言う紛い物を廃止しようと。
「今は集められていた少女達は親が居れば親元に、それ以外は見習いとしてしっかり食事を与え雑務をして貰っています。」
「へぇ、お兄さんは良い人なんだね!」
「良い…人…?」
シャルルは目を見開き固まった。
不思議とサクラが言うとその言葉が光になってすんなり入って来る感じがした。
「私は良い人…ではないんですよ。ただの偽善者です。結局、私はあの少女達にこの地位に昇るまで何も出来なかったんです。」
シャルルは綺麗な顔を歪めた。
「お兄さん?」
「シャルと、呼んで下さい。」
「じゃあ、シャル?大人には沢山の柵があるのよ、シャルがこうしたいと思っても直ぐにどうにかなる訳じゃないでしょ?」
「ハハ…そうですね、私の願いを叶えるには柵が多過ぎる。」
「でしょ?で?!」
「え?」
「シャルの柵は何処の老害なの?!」
サクラは目をキラキラさせて前のめりになるサクラを雅臣が支えていた。
「ろ、老害…ですか?」
シャルルは気まずそうに視線を反らした。
「こら、サクラ!直球過ぎるんだよ、大人は遠回りに聞かないと柵とやらで中々言えねえもんなんだよ。」
「もう!知ってるよ~。仕方ないなぁ…。あぁ、疲れたなぁ?休みたいなぁ~、そうすれば何か動くんじゃないかなぁ?」
超棒読みでサクラが言うとシャルルも雅臣も吹き出した。
「何で笑うの!」
サクラはプリプリ怒り出した。
「す、すみません。余りに棒読みだったので…。」
「確かに、何の感情も入ってなかったな。」
まだ二人はクスクスと笑っている。
「シャル、何処か宿は無いの?」
「宿ですか?この先の村にありますが?」
「なら泊まろう!」
「そんなに疲れたのかよ?」
「違うよ雅臣!私達がサリスティンを出た時から誰か付いてきてる。きっと私が何処に行くかの見張りじゃないかと思うの。」
「なるほど、宿に泊まり誘き出すと?」
「流石シャル、雅臣と違って頭が切れるわ!」
「ひでぇ!」
馬車でワイワイしているうちに夕方には村に着いた。
「さぁ!老害撲滅運動の開始よ!!」
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