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現代の章
桜満開
しおりを挟む入学して一週間、やっと学校にも慣れてきた。
でも、これだけは未だに慣れない………
「雛妃、毎日毎日凄いですわね?」
私は入学してから毎日、休み時間は寝たふりをしている。
蓮が入学式であんな事を言うから、次の日から私の教室には休み時間の度に私を一目見ようと沢山の生徒が押し掛けていた。
それはもう、新入生から三年の先輩まで………
クラスメイトの女子も、蓮とお近づきになりたいようで仲良くなってうちに遊びに来たいアピールが半端無い。
その度に知世ちゃんが撃退してくれている。
「私の平和な高校生活を返して………」
「大丈夫!雛妃は私が守りますわ‼」
ありがとう知世ちゃん、貴女は天使だ!
そして、何とか午前を乗り越えてお昼になると私と知世ちゃんは姿を消す。
お弁当を持って立ち入り禁止の屋上へ向かう。
見世物になってる私に同情した藤堂先生がこっそり屋上の鍵をくれたのだ。
なんて良い奴!
「このままじゃ俺が米原の兄貴に殺される。」と言っていた。
「はぁ、屋上だけが私の癒しだわ。」
「あれだけ見世物にされたら気が休まりませんわよね?」
屋上のフェンスに近付くと校庭の桜が一望できる。
「桜、綺麗ですわね。」
「うん、全部桜の木だもんね。」
校庭にある木は全部桜の木で、上からの眺めは絶景だ。
「ところで、松居君は雛妃を見すぎだと思うのです!雛妃を彼女にしたいなんて、許せませんわ!」
「ははっ………確かにかなりの視線を感じるよ。」
松居君からは何時も視線を感じる。
「はぁ………」と溜め息をつきながらまた桜に目をやる。
本当に綺麗、満開の桜を見るとなんだか胸が温かくなる様な切なくなる様な不思議な感覚がある。
「不思議………あっ‼」
「どうしたのですか?」
桜の木の下に誰か居る。
顔は良く見えないけど多分男の人だと思う。
「うっ………いっつぅ…………」突然頭痛が襲った。
「雛妃!大丈夫ですか?どうしたのです!」
「だ、大丈夫だよ。ちょっと頭痛がしただけだから。」
ニコッと笑うと知世ちゃんも笑った。
「体調が悪ければ言って下さい。さぁ、お弁当を食べましょう?」
「うん!」
もう一度桜の木を見てみるけど、さっきの男の人はもう居なくなっていた。
誰だったんだろう?気になる………
きっとこれが初めて彼を意識した時だったと思う。
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