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一章
稀有な可愛い姪
しおりを挟む私はマクスウェル、無を司る精霊。
私が最初に生み出した始源の精霊オリジンは私を姉様と慕ってくれて、私も妹の様に思っていた。
それが最近オリジンに子が出来たと精霊達が騒いでいたのを聞き、すぐにオリジンの元へ向かった。
オリジンの城はクリスタルで出来た美しい城だ、正に彼女ピッタリな城だと私は思う。
久しぶりに会ったオリジンはとても穏やかな顔をしてた。
私よりもシルの方が子に興味を持って居た。
シルは精霊王ユグドラシル、私達は互いに惹かれ合い行動を共にしていた。
オリジンに案内されて子が居る部屋に行くと、小さなとても小さな赤子が眠っていた。
長きに渡り生きたとは言え、人の子を手にした事など無い私は戸惑った。
対してオリジンは嬉しそうに赤子を抱いて私達に見せた、それはもう母の顔だった。
『この子がオーレリアですわ。』
『ほぅ、オーレリアか!オーリだな?僕にも抱かせてくれるかい?』
『勿論ですわ。こうしてここを支えて下さい。そうですわ。』
シルは恐々だったが赤子を抱くとパッと顔を輝かせ頬を染めた。
『マクスウェル!この子は私達の姪って事だな!』
『そうなる。しかし小さいな、人の子と言うのはこうなのか?壊れてしまいそうだ。』
『いいえ、オーリは元々小さく生まれたみたいですわ。スルトが見つけた時に捨てられてからどの位経って居たかも分からないのよ。』
そんな時、騒がしかったのか赤子がパチっと目を開けた。
『この瞳は…。』
精霊王も驚いた、こんなに綺麗な瞳は見た事も無い。
『このせいで捨てられたのか?』
精霊王は眉を下げた。
『その様ですわね。それにオーリには創世神に加護があります。今は見えない様にして居ますが、額にありますわ。』
それを聞いて精霊王は難しい顔をした。
『創世神だと?』
そんな加護は聞いたことも無い、精霊は気まぐれに気に入った人間に加護を与える事はあるがそれも下級精霊。
オリジンやマクスウェルの様な高位精霊が加護を与えるなどなず無いのに、神だと来た。
『この子の魂には複雑な理由があるのかもしれませんわ。』
『我が惹かれオリジンに助けを求めた、何かあるのは間違いないだろう。』
『スルトが人間に惹かれるなんて珍しい事があったんだね。』
精霊王は愉快そうに笑った。
この人は王なのに軽いのが玉に瑕だ。
『マクスウェルも抱いてごらん?』
『ええ!壊れないか?』
『大丈夫だよ。ほら。』
マクスウェルがオーリを抱くとオーリは笑った。
その瞬間、見えてしまった。
この子が辿って来た人生を…それはあまりにも…。
『マクスウェル⁈』
『お姉さま⁈』
マクスウェルが急に泣き出した。
『可哀想にな、辛かったな?もう大丈夫だ安心しろ。私達はオーリの味方だ。可愛いな?白銀の髪に宝石の様な瞳。よく見ればオリジンに似ている。』
泣き笑いしながらオーリを抱きしめた。
『マクスウェル、僕達からもオーリに祝福をあげよう?僕等の可愛い姪だ。』
『ふふ、そうだな。』
精霊王がマクスウェルごとオーリを抱きしめるとオーリが光りキラキラと光の粒子が舞った。
『オリジン、精霊王としてもオーリを歓迎しよう。但し、オーリの生みの親を探す必要があるのは分かるね?』
『はい、それについては眷属達にお願いしています。大体のことはもう分かって居ますわ。』
『ならいい、では水鏡へ行こう。そこで話を聞くよ。オーリはどうやら僕等の言葉を理解している様だし?』
精霊王はチラッとマクスウェルに抱かれるオーリを見た。
『オーリは賢いな?心配はいらない。オーリは大切な姪だからな?』
マクスウェルはそう言うと侍女にオーリを任せた。
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