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一章
オーリの生みの親
しおりを挟むここはウィスタール国、創世神から名を借りる歴史の長い国だ。
そこにオーリの親は居た。
セリオール公爵家、王家に次ぐ名家だ。
つまり、オーリはこの国の公女様だったのだ。
現公爵家当主は現国王の実弟だ、実はオーリには兄が2人居ることが分かった。
それに何故かオーリが生まれた日にオーリは捨てられたにも関わらず、オーリが生まれた日に生まれたとされる
女児がいる。
大方、オーリの容姿にビビって替え玉を用意したのだろう。
死産としなかったのはセリオール公爵には愛妾がいた、その愛妾の子もオーリと同じ時期に生まれたのだった。
その子を公爵家に迎えオーリの代わりにしたのだ。
妻は愛妾の子を認めなかった、オーリの替え玉はクリスティーナ。
公爵に似て綺麗な金髪に真っ青な青い瞳。
オリジンたちは水鏡を通して公爵家を見ていた。
精霊界と人間界では時間の流れが違う、オーリの替え玉はもう四歳になっていた。
「だから嫌だと言ったのです‼︎我公爵家に平民の血を入れるなど言語道断‼︎クリスティーナは我儘放題、家庭教師も
匙を投げましたわ‼︎旦那様はこのままで良いのですか⁈クリスティーナがこのまま変わらず社交界に出れば公爵家の恥になりますわ‼︎」
「君はなぜそこまでクリスティーナを嫌うんだアリスティア。あの子はまだ四歳だ、長い目で見れないか?」
こんな良心の喧嘩を日々見ている兄2人はクリスティーナから距離を置いていた。
長男のレオン、次男のカノン2人は双子だ。
「カノン、俺はクリスを…。」
「僕も同じだよレオン。クリスはお母様の子じゃ無いんでしょ?」
「お前知ってたのか?」
「だっておかしいでしょ?クリスが生まれた日僕達はお母様の部屋の前に居たんだ。でも鳴き声は聞こえたのにお父様が出て行って赤ちゃんを抱いてきて僕達に妹だよって見せたんだ。本当の僕達の妹は何処にいちゃったんだろう。」
「カノン…。」
もう10歳になる2人には何となく想像出来ていた。
生まれてすぐに死んでしまったか、父様の愛妾の子を引き取りたいから殺されたのか捨てられたのか。
『オーリの兄達は賢いな?』
『なんだあれは‼︎あれがオーリの替え玉⁈冗談だよね⁈』
精霊王は目をひん剥いた。
場面は移り、クリスティーナの部屋に切り替わった。
「どうしてお母様は私に会いにこないのよ‼︎お兄様達だってそうよ‼︎」
癇癪を起こすクリスティーナに手を焼く侍女達が哀れに見えた。
『美しく無いですわね?』
オリジンはスッと目を細めた。
ツインテールにパステルピンクのフリフリのドレス。
これだけ聞けば可愛いだろう、しかしパステルピンクのドレスは悲鳴を上げていた。
クリスティーナは横にかなり成長していた。
『これは…病的だね?』
精霊王も引いている。
ドスドスと地団駄を踏んで駄々を捏ねる。
「私に優しいのはお父様だけよ‼︎そうだわ!またお父様にドレスを買ってまらましょう!このドレスキツいのよ!ちょっと?そこの貴女?お父様を呼んで。今直ぐよ。」
侍女は一礼すると部屋を退出した。
暫くすると公爵が現れた。
「クリス、どうしたんだい?私も暇では無いのだよ?」
「ごめんなさいお父様。でも新しいドレスが欲しいの。」
「また我儘を言っているのかい?」
「え?」
「ドレスは沢山あるだろう?そうだろう少しずつで良い毎日庭園を散歩してみたらどうだ?」
「はぁ?」
お父様まで私に意地悪するのね?
「お嬢様、僭越ながら発言の許可を頂けたらますでしょうか?」
「良いわ。」
「では、お嬢様は少々…いいえ、かなり膨よかでございます。全ては日頃の不摂生にございます。ドレスがキツイのが何よりの証拠でございます。旦那様もしっかりお嬢様に伝えなければお嬢様はこのままお育ちになってしまわれます。宜しいのですか?」
「アンタ失礼よ‼︎使用人の平民の分際で‼︎」
「クリス、彼女は侍女長だ。それに平民では無い伯爵夫人だ。何回も教えているだろう?」
「分かってるわよ!なんで私だけなの?お兄様達だって自由にしてるじゃない!不公平よ!」
「レオンもカノンも学園に通って勉強している。お前の様に一日自由など無い。」
「お父様もお母様も意地悪だわ!嫌いよ!」
クリスは布団に潜ってしまった。
「すまない、私は執務に戻る。クリスを頼む。」
「畏まりました。」
そんなやり取りを一部始終オリジン達は見ていた。
生まれたオーリの容姿に容姿に困惑し、捨てたと言うだけでも許せないのに。
剰え、自分の愛人の子供をオーリの替え玉にしたのだ。
更に言えばオーリの替え玉がまだ性格が良ければ…あれではオーリがあまりに可哀想だ。
『おや、これでは余りにも僕の姪が可哀想だね?』
心底愉快そうに言う精霊王。
『でもあの娘はあのままだ。変わらないだろう。』
不快感を隠さないマクスウェル。
『オーリももう直ぐこちらの環境に慣れて成長するでしょう。私とスルトで公爵家は見張っておきますわ。』
姪馬鹿となったマクスウェルと精霊王も暫くオリジンの城に滞在する事になった。
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