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一章
願わくば
しおりを挟む私の娘はとても可愛らしく美しかった。
この子が戻って来てくれれば…そう願わずには居られなかった。
クリスティーナとは大違い、完璧なカーテシー。
レオンもカノンも同じ事を思っているのでしょう。
顔を見れば分かるわ。
どうしてあの時私は気を失ってしまっのか、後悔してもしきれない。
「あの、一つ聞いても宜しいかしら?」
『何かしら?』
オリジンが答える。
「何故オーレリアはこんなに幼いのですか?もう8歳になる筈です。」
今のオーレリアはどう見ても3歳児程度、クリスティーナと比べるのも違う気がするが幼過ぎる。
『精霊界と人間界では時間の概念が違うの。精霊界ではとっても緩やかに時間が流れる。オーリは幼く見えるけれどちゃんと8歳よ?それに半精霊になったの、ある程度成長したら一度成長が止まるわ。後は本当にゆっくりゆっくり年を重ねて行くわ。』
「オーレリアはもう人では無いのですね?」
『そうよ、貴女達の勝手でオーリは精霊化するしか無かったのよ?』
今は夫である公爵が憎くて仕方ない。
「オリジン様、オーレリアを公爵家に招待する事は叶いませんか?」
前王が言うとオリジンとスルトが話し出し何かオーレリアに聞いていた。
『構わん、しかし我とオリジンの同伴が絶対条件だ。後日伺うとしよう、前触れを出す。今日はオーリも疲れた様だこの辺で失礼する。オリジン行こう。』
『では、失礼しますわ。』
そう言うと2人はオーレリアを連れてフワッと消えてしまった。
「ふぅ~…まさかこの歳になって精霊様、しかも高位精霊様に会えるとは思わなんだ。」
前王はソファーに深く沈んだ。
余程気を張って居たのだろう。
「オーレリア、あんなに可愛い子を捨てるなんて。アリス?オーレリアの訪問には私達も立ち会いたいわ。」
「そうだな、事と次第によってはあの愚息の処遇を決めねばならん。それにオーレリア訪問までレオン達と共に此処に滞在する様に、良いなアリス?」
「はい、覚悟しております。お二人の前で失礼ですが…夫の顔を見たくありません。」
王家の血を引く子を捨て、その子は創世神の加護と貴重な存在を殺そうとしたのだ。
そんなのは建前、私は娘を勝手に捨てた夫が許せなかった。
「母様!オーレリアを我が家に戻す事は出来ないのですか?」
「そうです!オーレリアは僕たちの妹です!」
息子の願いにアリスティアはゆっくり首を振った。
「無理よ、私達はオーレリアを手放してしまった。この国の宝になる筈だったあの子を。それに高位精霊はこっちの世界では生きて行けないわ。もうあの子は公爵家の子では無いの。元素の高位精霊になってしまった。もうどうにもならないわ。」
「母様はそれで良いのですか?」
「言い訳ないじゃない!あの子は私がお腹を痛めて産んだ子よ!どれだけ戻って来て欲しいか!」
アリスティアは泣き崩れた。
「母様、すみません。母様が一番辛いのに…失言でした。」
レオンは泣き崩れる母の背を見て拳を握った。
妹はまだ小さいのに美しかった、白銀の髪が忌み子なんて嘘だ。
あんなに綺麗な髪を見た事が無い。
でも俺達を見た妹は全く俺達に興味がない様だった。
それからオーレリアがいつ来るのかと悶々と過ごす事になる。
そして、精霊界に戻ったオーリはケロリとしていた。
余りに普通なのでオリジンもスルトも逆に心配した。
『オーリ大丈夫?』
『ああ、オーリのは無理をさせてしまった。』
そんな2人に不思議そうに首を傾げた。
「無理してませんよ?ただ、何も感じないのです。私の母だと言われても兄だと言われても、私の家族はママとパパや叔父様と叔母様に精霊達です。」
『オーリ言葉が…成長したのね?』
ん?そう言えば下がちゃんと回る。
「何か私の中で変わったんだと思います。私は半精霊ですが、どうしても…私は人間の家族と言うものが如何に脆く簡単に崩れる事を知っているし。前の記憶が邪魔をするんです。私は人間全てとは言いませんが、人間の家族と言うものが怖いし憎い。」
私が処刑される時、私の父は当然だと言った。
母親は私を見ようともしなかった。
私を煙たがる兄弟は嘲笑った。
『オーリちゃん!思い出しちゃダメよ!』
ママにギュッと抱きしめられると私の周りにバチバチと何かが弾ける音がした。
『無意識に力を使っている!落ち着くんだオーリ!』
ハッとしてパパを見ると苦しそうに笑っていた。
「ごめんなさい。」
『オーリは精神的な変化で無意識に力を使ってしまうんだな。』
『大丈夫よ、これから力のコントロールを覚えれば。』
「はい。」
私は公爵家に行くまでに力のコントロールを覚える事になった。
人間界で高位精霊が及ぼす影響は絶大らしい。
『昔ね、破壊の精霊が怒ってしまって一瞬で国が一つ無くなったのよ?』
何それ!ママ怖いです!
翌日から始まった力のコントロールは意外にもあっさり出来た。
ただまだ精神的な事に左右されるから気を付けるように先生に言われた。
気を付けよう、家族に思う所があっても国の消滅とか望んで無いからね?
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