うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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惑星エルリス

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その頃…暴走しているクロードに手も足も出せないで居る、帝の面々が居た。
勿論全力の暴走をしている総帝に帝が敵う訳がない。

「こりゃどうしたんじゃー!!総帝様はどうなされた!」

「私達じゃどうにもなりませんわ!」
ラファイは何故クロードが暴走したのか考えていた。
魔力の暴走は感情を引き金に起こる事は分かっている。
しかし、今この国でクロードを暴走までさせる何かがあったとは思えないでいた。
少女達の部屋で暴走しそうになったクロードを国の外れの山に転移させたがどうにもならない。
既に山は抉れ原型を留めて居なかった。
せめてと帝達でクロードの周りに結界を張っていた。

「もう駄目じゃ!!結界が破られてしまうわい!!」

「私も…もう無理ですわ…キャーーーーー!!」
ドォォォオンっと帝達が山肌に吹き飛ばされた。

「風帝!!風の精霊結界は?」
ガラガラと岩を退けて顔を出したラファイは風帝に叫んだ。

「はっ?無理に決まってるでしょ?帝全員全力の結界で駄目だったんだよ?無理無理!!」
風帝はブンブンも顔を横に振った。

「ちっ!」

「ちょっと!焔帝!今舌打ちしたでしょ?したよね?ねぇ!」

「五月蝿い!一体何があったんだ…」
五月蝿いとは酷になぁー!!とぶぅ垂れる風帝を無視してラファイはラウを呼んだ。

「ラウ!」

『何だ?』

「クロードが暴走した。何か切っ掛けがあった筈だ、知らないか?」

『うむ…城の少女達の中に…クロードの妹君が居たからであろう?』

「何だと?!」
ラファイはクロードに妹が居たとは聞いた事も無かった。

『確か名はクラディス。クロードとは十離れて居る筈だ。』
成程…それでクロードはこのザマな訳だ。
ラファイがラウと話をしてるうちにクロードは猛スピードで王城へと向かった。

「ちっ!クソっ…アイツが街で暴れたら大変な事になるぞ!」
帝達もクロードの後を追った。

「ちょっと焔帝!総帝様の狙いは何なんですの?あっちは王城ですわよ!」

「恐らくあの第一王子が総帝様の狙いだ。あの王子死んだな。」

「なんじゃい!あの馬鹿王子の死罪は決まっておるじゃろ?」

「否…状況が変わった。あの王子の部屋に居た少女達の中に総帝様の妹君が居られたらしい。」

「「「それはあの王子死んだね!」ましたわね!」わい。」

「兎に角王城に急ぐ!」
玉座に結界を張り王子と王妃と王女を隔離している。
そこにクロードは向かう筈だ。

♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦

ードカァァァァアン!!

「キャーーーーー!!何ですの?!」
玉座の間の天井を何かが突き破って来た。

「まぁーーー!!総帝様!!」
王女はクロードに駆け寄ろうとして振り向いた虚ろな目のクロードを見て動けなくなった。
本能が告げる…今動いたら殺されると。
クロードが手を翳すと爆風が起きその瞬間には王子の目の前に移動していた。
爆風で取れたフードの下にはまだ若い美青年が殺意を持って王子を見下していた。
王子も王妃も今まで見たことも無い美青年が目の前に見惚れていた。

「サウル…何故お前の部屋に俺の妹が居る?」

「へっ?」
サウルは間抜けな声を上げた。

「総帝様の妹君とは…何かの勘違いじゃ…ひぃっ!」
言いかけた王妃をクロードは睨む。

「総帝の妹に手を出したんだ。楽に死ねると思うなよ…サウル!!」
クロードはサウルを掴み上げると風魔法で指を一本一本切り落とし始めた。

「うぎゃぁぁぁぁあ!!」

「五月蝿い、喉を潰してやろうか?」
クロードはサウルの首を掴む手に力を込めた。

「うぐっ!やめ…止めて…くれ…」

「お前は俺の妹や少女達が止めてくれと懇願して止めたのか?辞めなかったのだろう?」

「うぐっ…」
サウルの顔は涙や鼻水でグシャグシャだ。

「総帝様!!お許しくだ…うぐっ!!」
止めに入った王妃の首もクロードは容赦なく締め上げた。

「誰が口を挟んで良いと言った?」
王妃の首を掴む手にも力を込めると後ろから衝撃があった。
見下ろすと王女がクロードの腰に抱き着いていた。

「私に免じてお許し下さいまし!!お兄様とお母様を離して下さい!!」
冷たい目で見下ろすクロードにでさえ王女は頬を染めた。
こんなに美しい男を手に入れたいと欲望が顔を出す。
そんな王女を衝撃波で吹き飛ばした。

「キャーーーーー!!」

「「「「総帝様!!」」」」
クロードは何も映さない美しい薄紫色の瞳で帝達を見た。
素顔を晒す総帝にラファイと土帝以外が息を飲んだ。
誰もが思っただろう“総帝様若い!!しかも美青年!!”と…

「クロード!!しっかりしろ!!」
ラファイは怒声を上げた。
そんなラファイを何の感情もなくクロードは見詰めている。
そんな光景を固唾を飲んで他の帝達は見守っていた。

「お前の妹はお前がそんな事して喜ぶのかよ?!お前は兄である前に総帝なんだ!!自覚しろ!!」
ラファイの叫びにクロードの瞳に光が灯った。

「ラファイ…」
クロードは泣きそうな何とも言えない顔をしながら力なく言った。
両手に掴んでいた王子と王妃から手を離すと、二人は咳き込みながら地面に伏した。

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