うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

文字の大きさ
15 / 125
惑星エルリス

1-15

しおりを挟む


「ラファイ…すみません、俺は…少し頭を冷やして来ます。この場は任せます。」
クロードは自分が開けた天井から飛び立った。
クロードが飛び立ったのを確認するとラウが本来の姿で現れた。
ラウを初めて見る帝達は精霊獣の登場に戸惑っている。

『ラファイ、あ奴らを拘束しろ。少し話をしなければならぬ様だ。』

「分かった。炎魔法…焔の檻。」
三人を炎の檻に閉じ込めるとラウと帝達は部屋を移した。

『何処から話したら良いものか…そうだな、我がクロードと出会ったのはまだクロードが五つの時。両親に人買いに売られ逃げたが森の中を彷徨い魔物に襲われそうになっていた時だった。』
ラウは懐かしそうに、目を細めた。

『我は多くの魔力を保有するクロードと契約を交わした。』
帝達は黙ってラウの話に耳を傾けていた。

『クロードは産まれから恵まれては居らぬ。クロードの両親がクロードなや与えたのはボロボロの服と物置小屋、一日一回のスープのみ。何も知らないクロードに我は何でも教えた。魔法も魔力の制御も世界の事も。あれはクロードが十になった頃だったか…クロードは両親達が暮らす家を見に行った事があったのだ。クロードが見たのは母親…母親の腕の中には赤子が抱かれていた。』

「そんな…」
水帝は悲しい声を上げた。

『それを見たクロードは直ぐに逃げ帰って来た。幼子にはショックだったのだろうな?己は売られしかし、両親には新たな子が産まれていたのだから。しかし、クロードはショックの余り見逃したのだ。』

「何を?」
ラファイは問うた。

『うむ…クロードの両親は赤髪に茶色の瞳だった。しかし、クロードはどうだ?膨大な魔力を持って産まれ両親には全く似ていなかったのだ、想像出来よう?』
それを聞いて帝達は顔を顰めた。

『クロードは見逃した、赤子を抱く母親が全く笑っていなかった事、母親に抱かれた赤子の髪の色が自分と同じだった事に。』

「精霊獣様は何故総帝様にそれを教えなかったのじゃ?」

『教えた…包み隠さずな。それを聞いたクロードは家に急いだ。しかし、遅かった…我がその事実を教えるのが遅すぎたのだ。既に妹もクロードと同様に売られてしまった後だった。』

「何か…笑えないね。俺はさ実際総帝様は簡単に総帝になったと思ってたんだ。何処か馬鹿にした感情を持っていた。でも…俺も含め帝は殆どが貴族だ。俺達は恵まれていた。必要な教育を受け何不自由無く暮らしてきた。そんな俺達は総帝様の足元にも及ばない…俺は考えを改めるよ。」
風帝は後悔した様に俯きながら話した。

『クロードは近々両親に会いに行くだろう…ラファイよ、共に行ってやってくれ。』

「あぁ、わかった。」

『済まぬな…我がもっとしっかりしていればクロードの妹君を救えたかもしれぬ。さぁ、クロードが居ない今其方達にはまだ仕事が残って居るだろう?我はクロードの傍に行く。後は頼んだぞ。』

「「「「はい!」」」」
その後、王妃に加担した貴族は爵位を剥奪され国王は第二王子を王太子にすると宣言した。
それから王妃はヘルへ、第一王子と王女は公開処刑となった。
ガリル王国での一件はこれで方が着いたのだった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

処理中です...