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惑星エルリス
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しおりを挟むクロード達が去った後、クロードの両親は難しい顔をしていた。
「ねえ!貴方!クロードは私がお腹を痛めて産んだ子なのよ!!何故他の誰とも知らない人がクロードの両親なのよ!!」
狂った様に捲し立てる母親のクロエ。
「少し落ち着きなさいクロエ。俺だって戸惑っているんだ。売った子供がまさか総帝様になっているなんて思わないだろう?」
「クラディスもクロードの所に居るのでしょう?クロードの所ならあの子エデンに居るんじゃないの?私達だってエデンに住む権利がある筈よ!」
総帝や帝が住むのは大きな浮遊島エデン。
それは美しい浮遊島だと聞く。
エデンに住む事が出来るのは総帝に帝達、一部認められた王族や貴族が別邸を構えたりする。
エデンで商いをするにはかなり厳しい審査に通らなくてはならない。
ましてや庶民がエデンに行くだけでも夢のまた夢なのだ。
「俺達はクロードもクラディスも捨てたんだ、今更そんな事が言える訳がないじゃないか。」
どうやらまだ父親のクロスの方が常識がある様だ。
「嫌よ!諦められないわ!クラディスだって今頃良い暮らしをしている筈よ?狡いじゃない!捨てられた子供達の方が私達より良い暮らしをしているなんて!」
そんなクロエにクロスは溜息を漏らした。
そもそも父親のクロスは少なからずクロードやクラディスに愛情は持っていた。
ただクロスは気が弱く、気の強いクロエに言い負かされてしまうのだ。
クロードの時も何度物置小屋から出そうと言ったか。
何度食事はきちんと三食与えようと言ったか。
その度にクロエに言い負かされる。
一度だけクロエに内緒でクロードにパンとスープも温かい毛布を渡したら、渡したクロスではなくてクロードが折檻を受けた事があった為何も出来なかった。
今となっては言い訳でしかないが、クラディスも可愛かった。
自分達に似てなくても欲しかった待望の女の子だったのだから。
しかし、クロエは自分達に似ていないクラディスも許さなかった。
クロードは五歳で売られたが、クラディスは早かった。
それは俺のせいでもある。
女の子が欲しかった俺はクラディスの事についてはクロエと対立したからだ。
その結果、クラディスは一歳を待たずに売られてしまった。
「クロエ、諦めるんだ。俺はあの子達に少なからず愛情はあったよ。クロエはそうじゃなかった。俺が気が弱いからいけなかったんだ。俺達はもっと話し合うべきだった、あの子達の為にも。」
「嫌よ!私は諦めないわよ!!」
「そうか…俺はもう君との子供は望まない。また売られてしまうかもしれない。不幸な我が子はもうあの子達だけで充分だ。俺はもう耐えられない。離縁しようクロエ?君はまだ若い、まだ貰い手はある筈だ。」
「な、何を言っているのよ!!私をあんなに愛してるって言ってくれたじゃない!!あれは嘘だったの?」
取り乱すクロエにクロスは冷静に言った。
「愛さしていたさ。子供に愛情を持たず簡単に売ってしまう女だと分かる前までは確かに愛していたよ誰よりも。クロードが産まれてからは君に愛を囁いた事は無い筈だ。」
クロエは顔を顰めた、図星だったのだ。
「この家は君が使うと良い。俺は出て行くよ。」
「何処に行くつもりよ!!」
「友達の家にでも厄介になるさ。」
クロスが出て行ったドアの前でクロエは泣き崩れた。
クロエにはクロスが言った事が分からなかった。
クロエは本気で子供達に愛情が無かったのだ。
その数日後、両親が離縁した報告がクロード元に届いた。
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