うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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惑星エルリス

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理事長はもう話に着いて行けないのか明後日の方向をボーッと見ている。

「ラウ様は一体何者なんじゃ?簡単に精霊王と言ってくれるが、精霊王など最早伝説に近い存在じゃぞ?」

「えーと…ラウは…」
チラとラウを見るが涼しい顔でお座りしている。
これは俺が言えと言う事ですかね?

「ラウはちょっと特殊なんです。ラウ自体は雷の精霊王です。ただその…精霊王のままだと実体を持てないので死んで直ぐのクリスタルウルフの身体を貰ったらしいです。私がラウに出会った時はもうこの姿だったのでラウから聞いた話ですけどね。」
ハハハと笑ってラウを撫でた。
おや?皆の反応が無い…皆石の様に固まってラウを凝視していた。
一番に食い付いているのは意外にも闇帝でした。
ラウに近付き最上級の礼を尽くした。

「そ、総帝様…あんた規格外にも程があるわい。精霊王と契約している人間なんぞ初めて見たわい。」
土帝は呆れた顔でクロードを見上げ、風帝の契約精霊のウィンディーナは慌ててラウに礼を尽くした。

「そうなんですか?ラウは簡単に契約してくれましたよね?私はあの時5歳でしたけど。」

『お前だから契約したのだ。』
そんな会話を聞いていた面々はもう次元が違うと溜息を吐いた。

「まぁ、精霊王の事は総帝様に任せる。俺達は俺達の仕事をしよう。」
ラファイの号令でそれぞれの仕事に向かった。
皆が去った後俺はラウに跨り理事長に挨拶をして精霊王の元へ向かった。

「ラウ、精霊王の所までは遠いんですか?」

『クロード、聞き忘れていたがどの精霊王に会いたいのだ?それにもよる、彼奴等は自由だからな一箇所には中々留まらない。』

「どの…ですか?うーん、誰でも良いですよ?召喚の祭かなりの精霊を生贄にしていた筈ですから誰かしら何か感じているでしょう?」

『うむ、ならば水のに会いに行く。』

「水の?」

『水の精霊王だ。』

「分かりました。」
俺はラウに乗って野営をしながら三日駆けて大きな湖までやって来ました。
ラウから降りて湖を覗くと湖底が見える程透き通っていてとても美しい湖でした。
辺りにはフワフワと沢山の低位精霊が飛んでいてこの付近には魔物の気配もしません。
暫く湖に見惚れて居ると湖が波立ち始めた。

『クロード、来るぞ。』

「えっ?」
ザバーン!と何かが飛び出して来た。

『あらーん?誰かと思えばルーガルーじゃなぁい?』
そこには水色の長い髪を靡かせ、サファイアの様に美しい瞳をした女性が妖艶な笑みを浮かべてラウを見ていた。
ただ、下半身が魚だ…これが人魚なのかな?

『水の、我の今の名はラウだ。』

『あらヤダ!貴方契約したの?!』

『あぁ、こいつかクロードだ。我の契約主だ。』
サファイアの瞳がギロりとクロードを捉えた。
クロードは一瞬ヤバい殺されると思ったが…次の瞬間水の精霊王に抱き締められていた。

「えっ?」

『やーだーぁ!!ルーガルーってば狡いじゃなーい!!こんな美少年と契約するなんて許せなーい!!ねぇ、貴方?クロードと言ったかしらぁ?私とも契約しましょ?そうしましょ?ねっ!』

「えっ?えっ?ラウ!どうしたら…」

『水のクロードから離れろ!』

『あら、嫌よ!!人間と契約するなんて御免だと思って居たけど、この子なら良いわぁー!こんな美少年中々出会えないものぉ!』

『クロードは我と契約している!!』

『関係無いじゃない?だって契約は一人に精霊一人とは決まって無いものぉー。力量次第で沢山の精霊と契約出来るじゃない?クロードは申し分ないわよぉー?ねっ!契約しましょ?』
抱き着きながら絡んで来る水の精霊王にクロードはしどろもどろになった。
どうして良いか分からない。

『クロード、嫌で無ければ契約してやれ。契約するまで水のはお前から離れない。』
えー!!本当は契約精霊はラウだけで十分なんですけど。

「はぁ…分かりました。」
クロードは渋々頷いた。

『やったー!!決まりね!!』
すると水の精霊王はクロードに濃厚な口付けをかました。

「んっ!ンンンーーーー!!ぷはぁ!!」

『あぁん!!クロードの魔力最高じゃない!私感じちゃうわぁー!!これで契約成立よん。』
艶やかにペロリと唇を舐める水の精霊王をラウは睨んだ。

『水の、いい加減にしろ!クロードが使い物にならなくなってしまったでは無いか!』
クロードは魔力を吸われた上にファーストキスをぶっ飛ばして、ファーストディープキスをかまされヘロヘロになっていた。

『あらヤダ!ごめんなさーい。そんなつもり無かったのよぉ。』

『仕方ないクロードが復活するまで待つ。水のの名前もクロードから与えて貰わなければならないからな。』
精霊と契約成立するとその精霊に名前を与えるのだ。
一時程するとクロードは復活した、復活したクロードに『ごめんなさーい!』と言いながらまたキスをかました水の精霊王をラウは殴った。

『イヤーん…痛いじゃなぁーい!』

『馬鹿者!これ以上クロードを汚すな!』

『失礼いちゃう!私が汚い見たいじゃない!!』

『汚い、触るな、近づくな、見るな、減る!』
ガルル…と睨み合う二人にクロードの顔は引き攣った。
この組み合わせでこれからやって行けるのだろうか?

「兎に角、落ち着いて下さい。水の精霊王、次からはキスするのは止めて下さい。怒りますよ?」

『えぇーーーー!!』

「えぇじゃありません。名前付けませんよ!」

『んもぅ!分かったわよーぅ。もうしないわぁ。』
キスわね…と水の精霊王は内心思っていた。

「では名前ですね…何が良いでしょうか?水の精霊王ですし、うーん…ユトゥルナにしましょう。ルナと呼びます。」

『ユトゥルナね!!ルーガルー聞いた?!私は今日からユトゥルナ、ルナよーん!!』

『我はラウだ、ルナよ。』

『そうだったわねぇ、これから宜しくねラウ!!所で、今更なんだけどぉ二人はなんでこんな辺鄙な所まで来た訳ぇ?』

「精霊王であるルナに聞きたい事があったんですよ。」

『良いわぁー、何でも答えて上げるわよん。私の初めての契約主様ですものぉ!』

「えっ?ルナは誰とも契約した事無いんですか?!」
クロードは吃驚した。

『クロード、精霊王は易々と人間と契約は結ばない。』

「えっ?でも私はラウもルナも契約したじゃないですか?」

『あらぁ、クロードは別格よーん。』

「そうなんですか?それで聞きたい事何ですが…」
ルナにここまで来る事になった経緯を話した。

『我も何度か眷族の最後の声を聞いたが余りに小さく良く聞き取れなかったのだ。ルナはどうだ?』

『私も聞いたわよー?ここ数年多いと思っていたのよーん。そんな理由があったのねぇ。許せないわぁー私の子供達を殺すなんて…その人間どうしてやろうかしらぁ?』
ルナのサファイアの瞳がギラりと光った。
ウィリアムから聞いたミハイル公爵家…気になりますね?
何か思惑があるんでしょうか?
狙いは?
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「クロード~、どうしたのよぅ?そんな顔してぇ。そんな顔で明日私をエスコートしないで頂戴~。」

「ルナ、ミハイル公爵家を少し調べて来て貰えますか?」

「ミハイル公爵家?何故かしらぁ?」

「少し気になる事があるんです。ミハイル公爵家から父さんに手紙が届いたそうです。俺の誕生日の夜会は何時だと。」

「ふ~ん。良いわ、クロードの頼みだものぉ。直ぐに戻るわぁ。」

「お願いします。」
ルナは窓から飛び立った。
それを見送りクロードはシャワールームに入った。
熱いお湯を頭から被り、サッと洗ってガウンを羽織るとドライをかけて乾かす。
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