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惑星エルリス
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しおりを挟む『クロード、私をその祭壇に連れて行って頂戴。直ぐに共犯者を見つけて上げるわぁ。』
「分かりました。でもルナ?その姿のままだと不味いので姿を変えられますか?」
『そんなの簡単よーん。』
ポンッと煙を立ててルナは小さな妖精の姿になってクロードの肩に座った。
『これなら良いかしらぁ?』
「はい、ではラウ戻りましょう。帰りは転移します。」
クロードは一度学園の理事長室に転移した。
また急に現れたクロード達に理事長は腰を抜かした。
「理事長、すみません。また驚かせてしまいましたね。」
「いや、お気になさらず。おや、そちらの妖精様は?」
「あぁ、水の精霊王のユトゥルナです。」
ルナはクロードの肩から飛び立つと理事長の前で止まった。
『ルナよーん。クロードと契約したからこれから宜しくねぇ。』
理事長はバッとクロードを見た。
「成り行きでそうなってしまいして。」
「まさか精霊王様二人と契約なさるとは…」
「ハハ…私達はちょっと祭壇まで行ってきます。」
「分かりました、お気を付けて。」
理事長は頭を垂れた。
♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦
地下の祭壇まで来るとルナは顔を顰めた。
『何でこの祭壇がここにあるのよ!!』
「ルナこの祭壇を知ってるんですか?」
『これは古代魔法を使った祭壇よ、精霊を生贄にして何らかの儀式にその力を還元するのよ!』
「ラウは知らなかったんですか?」
『我はルナよりずっと若い精霊王だからな。それなりには古代魔法は知っているがルナ程では無い。』
『私は初代の水の精霊王だもの。大体最初にこの祭壇の犠牲になったのはラウの先代の雷の精霊王よ。クロード良い、この祭壇は精霊王すら生贄出来てしまう危険な物なのよ、幸いかこの祭壇の使用者が小物だったから低位精霊しか生贄に出来なかったのね。』
「ラウの先代が犠牲に…」
『そうよ、次の精霊王誕生までは時間が掛かるのよ。あの時は精霊界は大騒ぎだったわ。』
『そして我が生まれたのだ。』
「そうだったんですね…」
クロードは悲しくなった。
『ちゃっちゃと共犯者を探しちゃいましょう?まだ魔力が残っているし、それを辿って精霊王の呪いをかけてやるわよーん!!直ぐに分かるわ!!』
ルナは元の姿にもどると祭壇の前で不思議な言葉を話し始めた。
「ラウ、ルナは何の言葉を話しているんですか?」
『あれは精霊の言葉だ。』
「なんて言ってるんですか?」
『聞かない方が良い。』
聞かない事にしましょう…きっと恐ろしい事を言っているのでしょう。
もう一度ルナを見るとルナは水の渦に包まれていた。
『行きなさい、私の子供達…精霊王の呪いの恐ろしさを教えてあげなさい。』
渦は天井を抜けて消えて行った。
『これで呪いは完璧よーん。後は待つだけねー。呪いが現れたら直ぐに私に報告が来るわぁ。』
「ルナ、呪いの内容を聞いても?」
『あらぁ駄目よぉ。美しいクロードにあんな物見せられないわよぉー。』
あんな物とは一体何だろうとクロードは思ったが、追求しない事にした。
精霊は情が熱い、契約主にはそれはもう執着と言っていい程の情を見せる。
だからこそ精霊は敵と見なせば残酷な事も笑顔でするのだ。
精霊を的に回すと恐ろしいとは正にこの事だ。
「では、私は屋敷に行きますが二人はどうしますか?」
『我は森に行く。』
『私はクロードと一緒に居るわぁ。』
「分かりました、ラウ夜には私もエデンに帰ります。」
『承知した。』
ラウはスっと消えて行った。
「じゃあ私達も行きましょうか?家族にルナを紹介しなければなりませんね。」
『イヤーん、クロード!!家族に紹介なんて私達結婚するみたいじゃなーい!!』
頬を染めクネクネしだすルナを肩に乗せて屋敷に転移した。
「坊ちゃん、お帰りなさいませ!丁度良い所に、愛し子様が目覚められました!今奥様達が部屋に居ります。」
「分かった。ありがとうチャールズ。」
俺はあの少女の部屋に急いだ。
部屋に入るとナディアが少女にスープを飲ませていた。
「クロード、帰ったのね。少し前に目を覚ました所よ?あら、その精霊は?」
「ただいま帰りました。ルナは水の精霊です。今日契約したんです。それでその子の名前など分かりましたか?」
ナディアは首を振った。
「それが、記憶が無いみたいなのよ。」
「そうですか…」
俺がベッドに近寄ると少女は俺を見上げた。
その瞳は薄桃色でとても綺麗だった。
俺はベッドに腰掛け少女と向き合いました。
「私はクロード、貴女が嫌で無ければ私の妹になりませんか?」
「いもうと?」
「そうです。私には既に一人妹が居るので貴方は私の二番目の妹になりますね。答えは直ぐに出さなくて構いません。母さんや父さんと接してみて決めて下さい。」
少女はコクリと頷いた。
『クロード、この子確かに愛し子だけど力が弱すぎるわ。きっとこの子には精霊が見えて居ないわよ?』
ルナが少女を見て言った。
「えっ?」
『力のある愛し子はね、精霊が見えるし会話も出来るのよぉ。力のある愛し子なら私も少なからず惹かれるものがある筈、でも私はこの子にちっとも惹かれないわぁ。』
「クロードとその精霊は何だ?」
ウィリアムが怪訝な顔でルナを見た。
「父さん、ルナにその態度は不味いです。ルナは水の精霊王ですから。」
『そうよぉー、私は水の精霊王ユトゥルナ。本当なら普通の人間が容易く会えないのよぉ?ラウだって雷の精霊王なのだから気を付けなさぁい?』
それを聞いたウィリアムもナディアも顔を青くさせた。
「せ、精霊王様?」
「待って頂戴、ラウが精霊王なんて私達聞いて無いわよ?」
「そうでしたか?なら今日からその様に認識して下さい。ルナとは成り行きで契約しましたが。」
てへっと笑うクロードには両親も呆れた。
歴代の総帝でも精霊王と契約出来た者は居ない。
それをクロードは簡単に精霊王二人と契約してきたのだ。
ウィリアムはラウとの接し方も考えなければならないと考えた。
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