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惑星エルリス
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しおりを挟むクロードはパチンも指を鳴らし間接証明を灯けると、手紙を手にした。
差出人の名前は無く、封もされていなかった。
手紙にはこう書かれていた。
【この世に帝は必要だろうか?】
ただこれだけが書かれていた。
「帝は必要か…ですか。」
クロードは手紙を引き出しにしまった。
この手紙が誰からにせよ、俺の結界に綻びを作り総帝の執務室に侵入したのは間違いないのです。
少し警戒しなければなりませんね。
翌日、クロードは昨夜の手紙を帝会議にかけた。
「帝は必要無いと言いたいのかのぅ?」
「どうかしら?何か他に目的があるかもしれなくてよ?」
「でもさ、総帝様の執務室に侵入出来ちゃう奴が居るって事だよね?それってヤバいんじゃないの?」
「風帝の言う通りじゃの。我等とて総帝様の結界を解くのは用意ではないのじゃからな。」
「じゃあどうするのよ?」
「ラウに手紙の匂いを嗅がせてみましたが、匂いが無いと言われてしまったので匂いでは犯人を追えません。結界だけでなくて罠でも仕掛けて置けばよかったですね。」
「総帝様は相変わらず呑気だのぅ?」
「まぁこれがうちの総帝様なんだし、俺達は総帝様を守り、犯人を見つければ良いだけの話でしょ?」
「そう簡単に行くかのぅ?」
「私もそう思いますわ。」
「理由は?」
「犯人は何の痕跡も残さず総帝様の執務室に侵入したのじゃ。」
「そうよ、犯人は恐らく私達と同等の力を持っているって事よ。風帝考えてみなさいよ、総帝様と全力の鬼ごっこをしてると思えば分かりますわよね?」
風帝は怠げに椅子に座って居たのを姿勢を正した。
「そんなの捕まるわけ無いじゃん?!どうするの?」
「だから簡単では無いとさっきから言って居るではないか!」
「総帝様は心当たりは無いのですか?」
ラファイは配られた手紙のコピーを握り潰した。
「ありませんね、そもそもこの帝制度に疑問を持つ者が今まで居なかった。しかし、今この帝制度に疑問を持つ者が現れたと言う事ですかね?ただ…」
「ただ?」
「私が思うに犯人は帝制度に疑問は持っていますが、まだこの世の中を分かって居ないのでしょう。私達が帝の地位に胡座をかいているだけだと思っている。犯人はまだ若いのか幼いのか…しかし、若いにしろ幼いにしろ帝と同等かもしれない力は危険ですね。協力者が居たとしてもです。」
帝達は唸った。
どう考えても犯人には辿り着けそうにもない。
「帝が居なければこの星の食料はたりなくなり、死活問題になってしまいます。それを考慮し初代の総帝様が決めたのです。各国の食料ドームも光帝の光の恩恵、土帝の土魔法、水帝の水魔法、風帝の風、闇帝の促進が無ければ成り立ちません。」
「そこまでの事を知らないと言う事ですわね?大抵の大人は知っている事ですもの。」
「相手は子供かのぅ?」
「洗脳…かも…」
「闇帝の言う通り洗脳の可能性もありますね。確かなのは何者がが私達帝を邪魔だと思っていると言う事です。皆さんも注意警戒をして下さい。」
「「「「「はい。」」」」」
クロードは執務室に戻ると溜息を吐いた。
考えても考えても犯人像は子供だ。
手紙の文字は切り抜きを使ってあったが、もし庶民の子供ならまず字は読めないだろう。
なら貴族の子供か、しかし貴族が帝達を排除して得る利益など無い。
考えれば考えるほどクロードは分からなくなって行った。
ーコンコン…
「どうぞ。」
クロードはソファーに深く座り腕で目を隠したまま言った。
「考えてるのか?」
ラファイは少し心配しながらもクロードの向かいに座った。
「はい…考えれば考えるほど分からなくなります。」
「そうか…お前はどう思う、帝制度について。」
「必要だと思っています。誰もが知る通りこの星は殆どが赤土の不毛な土地が多いです。俄な森も魔物が居る為、余程の力を持ったイリス…魔法使いしか入れないんです。食料ドームを維持するにしても帝の力があってこそです。帝制度を廃止した所で誰にもメリットは無いんです。それでも少しずつ水帝や光帝、風帝に光帝が赤土地帯を魔物が入れないようにして森に変えて行っているんです、忙しい合間を縫って。」
「お前なら簡単に出来る。」
クロードは天井を仰いだ。
「そうです、俺なら不毛な土地を森に変えるなど造作もない…でもそれでは他の帝達の居る意味が無くなってしまいます。それにやはり総帝だけでは手が足りない事がかなりあります。ラファイは総帝だけ居れば良いと思いますか?」
「俺は…分からない。焔帝である事で俺はかなりの自由を手にしている。それは私欲だ、だから分からない。」
「そうですか…」
ーバンッ!!
そこへ息を切らした風帝が飛び込んで来た。
「総帝様、大変だ!!街に手紙と同じ物が張り出されてるらしいよ!!それも結構な数だって報告が来た!!」
「民の反応は?」
「大人達は皆帝達が必要な事は知っているから…でも、成人を迎える前の知識が中途半端な若者は賛同してる者も居るって…」
「分かりました。では犯人の要求を飲みましょう。」
「「はっ?」」
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