うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

文字の大きさ
47 / 125
惑星エルリス

1-46

しおりを挟む


クロードはパチンも指を鳴らし間接証明を灯けると、手紙を手にした。
差出人の名前は無く、封もされていなかった。
手紙にはこう書かれていた。

【この世に帝は必要だろうか?】
ただこれだけが書かれていた。

「帝は必要か…ですか。」
クロードは手紙を引き出しにしまった。
この手紙が誰からにせよ、俺の結界に綻びを作り総帝の執務室に侵入したのは間違いないのです。
少し警戒しなければなりませんね。
翌日、クロードは昨夜の手紙を帝会議にかけた。

「帝は必要無いと言いたいのかのぅ?」

「どうかしら?何か他に目的があるかもしれなくてよ?」

「でもさ、総帝様の執務室に侵入出来ちゃう奴が居るって事だよね?それってヤバいんじゃないの?」

「風帝の言う通りじゃの。我等とて総帝様の結界を解くのは用意ではないのじゃからな。」

「じゃあどうするのよ?」

「ラウに手紙の匂いを嗅がせてみましたが、匂いが無いと言われてしまったので匂いでは犯人を追えません。結界だけでなくて罠でも仕掛けて置けばよかったですね。」

「総帝様は相変わらず呑気だのぅ?」

「まぁこれがうちの総帝様なんだし、俺達は総帝様を守り、犯人を見つければ良いだけの話でしょ?」

「そう簡単に行くかのぅ?」

「私もそう思いますわ。」

「理由は?」

「犯人は何の痕跡も残さず総帝様の執務室に侵入したのじゃ。」

「そうよ、犯人は恐らく私達と同等の力を持っているって事よ。風帝考えてみなさいよ、総帝様と全力の鬼ごっこをしてると思えば分かりますわよね?」
風帝は怠げに椅子に座って居たのを姿勢を正した。

「そんなの捕まるわけ無いじゃん?!どうするの?」

「だから簡単では無いとさっきから言って居るではないか!」

「総帝様は心当たりは無いのですか?」
ラファイは配られた手紙のコピーを握り潰した。

「ありませんね、そもそもこの帝制度に疑問を持つ者が今まで居なかった。しかし、今この帝制度に疑問を持つ者が現れたと言う事ですかね?ただ…」

「ただ?」

「私が思うに犯人は帝制度に疑問は持っていますが、まだこの世の中を分かって居ないのでしょう。私達が帝の地位に胡座をかいているだけだと思っている。犯人はまだ若いのか幼いのか…しかし、若いにしろ幼いにしろ帝と同等かもしれない力は危険ですね。協力者が居たとしてもです。」
帝達は唸った。
どう考えても犯人には辿り着けそうにもない。

「帝が居なければこの星の食料はたりなくなり、死活問題になってしまいます。それを考慮し初代の総帝様が決めたのです。各国の食料ドームも光帝の光の恩恵、土帝の土魔法、水帝の水魔法、風帝の風、闇帝の促進が無ければ成り立ちません。」

「そこまでの事を知らないと言う事ですわね?大抵の大人は知っている事ですもの。」

「相手は子供かのぅ?」

「洗脳…かも…」

「闇帝の言う通り洗脳の可能性もありますね。確かなのは何者がが私達帝を邪魔だと思っていると言う事です。皆さんも注意警戒をして下さい。」

「「「「「はい。」」」」」
クロードは執務室に戻ると溜息を吐いた。
考えても考えても犯人像は子供だ。
手紙の文字は切り抜きを使ってあったが、もし庶民の子供ならまず字は読めないだろう。
なら貴族の子供か、しかし貴族が帝達を排除して得る利益など無い。
考えれば考えるほどクロードは分からなくなって行った。

ーコンコン…

「どうぞ。」
クロードはソファーに深く座り腕で目を隠したまま言った。

「考えてるのか?」
ラファイは少し心配しながらもクロードの向かいに座った。

「はい…考えれば考えるほど分からなくなります。」

「そうか…お前はどう思う、帝制度について。」

「必要だと思っています。誰もが知る通りこの星は殆どが赤土の不毛な土地が多いです。俄な森も魔物が居る為、余程の力を持ったイリス…魔法使いしか入れないんです。食料ドームを維持するにしても帝の力があってこそです。帝制度を廃止した所で誰にもメリットは無いんです。それでも少しずつ水帝や光帝、風帝に光帝が赤土地帯を魔物が入れないようにして森に変えて行っているんです、忙しい合間を縫って。」

「お前なら簡単に出来る。」
クロードは天井を仰いだ。

「そうです、俺なら不毛な土地を森に変えるなど造作もない…でもそれでは他の帝達の居る意味が無くなってしまいます。それにやはり総帝だけでは手が足りない事がかなりあります。ラファイは総帝だけ居れば良いと思いますか?」

「俺は…分からない。焔帝である事で俺はかなりの自由を手にしている。それは私欲だ、だから分からない。」

「そうですか…」

ーバンッ!!

そこへ息を切らした風帝が飛び込んで来た。

「総帝様、大変だ!!街に手紙と同じ物が張り出されてるらしいよ!!それも結構な数だって報告が来た!!」

「民の反応は?」

「大人達は皆帝達が必要な事は知っているから…でも、成人を迎える前の知識が中途半端な若者は賛同してる者も居るって…」

「分かりました。では犯人の要求を飲みましょう。」

「「はっ?」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...