うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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惑星エルリス

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時刻は正午、総帝を筆頭に帝達が広場中央に浮かんでいた。
民達は何かとぞろぞろと集まり始めた。

『総帝の名の元、本日此処に声明を発します。この声明は各国全てに届く様に発しています。これから発する声明は帝相違のものとします。我等帝一同はシルベニア王国を除く王より、帝排除に賛同すると書状を頂きました。』
民達は動揺した様にザワザワとしだす。

『よって本日より、擬似的ではありますが帝達が居ない世界がどんなものか体験して頂く事になりました。食料ドームは機能を停止致します。これも帝の力あっての事でしたので停止となります。体験期間は決まって居りません。では、皆様の幸運をお祈り致します。散っ!』
俺達はエデンに転移した。

「では後は待つだけです。思わず大型休暇が取れましたね?」
クスクス笑うクロードに帝達は容赦ねぇ…と思った。
しかし、クロードは今回少なからず怒っていた。
初代の総帝様がどれたけ苦労して今のシステムを作ったか。
クロードも帝達もそうだが寝る間も惜しんで任務や執務に当たる事は当たり前、それでもやり遂げるのはやはり民の生活の為である。
王家だけでどうにか出来るならして見ればいい、出来るならの話だが。
あっ!ラファイのシルベニア王国の食料ドームは停止していませんよ?
シルベニアの王は王家だけでは到底民を養えないと悲痛な手紙が来ましたので、私もそこまで鬼ではありません。
帝達と解散しそれぞれ家に帰って行った。
残ったのは俺とラファイです。

「ラファイは一度王国に帰るのでしょう?」

「あぁ、国への寛大な処置感謝する。」

「良いんですよ。あんな悲痛な手紙が来たら俺も鬼ではありませんよ。ラファイのお父さんは正直ものですね。」

「面目もねえよ、悪いな。」
ラファイも王国へ転移して行った。
おれもその後直ぐに屋敷へ転移して戻った。
屋敷に戻るとチャールズでは無く、ウィリアムとナディアが神妙な顔で待っていた。

「ただいま、父さん母さん。今日はチャールズの出迎えじゃないんですね?」
ニッコリと笑う俺を母さんは抱き締めた。

「母さん?」
クロードもナディアの背中に手を回す。

「立派だったわよ、クロード。」

「あぁ、俺達の自慢の息子だ。苦渋の選択だったんだろ?」
ウィリアムに肩を抱かれるとクロードは顔を顰めた。

「取り敢えず応接室やな行こう。」
三人は応接室に移動した。
ソファーに座るとチャールズが紅茶を淹れてくれた。

「クロード坊ちゃんお疲れ様でございました。胸を張って下さい。ご立派でした。」

「ありがとう、チャールズ。」
チャールズが淹れてくれた紅茶は俺の乱れた心を落ち着かせてくれた。

「クロード、無理に笑わなくて良い。」
ウィリアムが言うとクロードは真顔になった。

「愚かな王家のせいでクロードがこんなに苦労するなんて許せないわ!」

「母さん、全ては不甲斐ない俺のせいです。結局民を苦しめてしまう、俺は誰よりも民を助けなければならない筈なのです。」

「お前のせいでは無い。全てを一人で背負うな。クロードには頼りになる帝達が居るだろう?」

「そうですね、彼等が居なければ俺は何も出来ない。誰の意図か分かりませんが、今回は帝の必要性を全ての民に分かって貰う必要があります。王家もラファイの国以外は帝を排除したい様ですし。」

「馬鹿じゃないの?!クロード達が居なければどうにもならない事くらいわかるでしょうに。」

「それかクロード達に変わる者が現れたか…だな?このドラスタ王国で少し動きがあるんだ。食料ドームに数人のイリスを入れている。果たして彼等が帝達がしていた事と同じ事が出来るのか…」

「恐らく無理でしょう。俺なら出来ますが、帝達でもそれぞれ力を合わせてドームを維持しているんです。いっかいのイリスに務まるとは思いません。」

「暫く屋敷に居られるのだろう?」

「はい、時が来るまで俺達は待つだけですから。」

「そうか、アリアが喜ぶな。」
クロードはアリアの笑顔を思い出し笑った。
こうして久しぶりに三人でたわい無い話をしながら夜は更けていった。
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