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惑星エルリス
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しおりを挟むクロードはこの日執務室の机の上の書類達を前に頭を抱えていた。
それをここの所ずっと見ていたラファイはそろそろクロードが爆発するのではないかとヒヤヒヤしていた。
「ラウ…」
『どうしたクロード?』
「この人達食べちゃって良いですよ。」
「嫌!!駄目だ!落ち着けクロード!!なっ?」
必死に宥めるラファイ、クロードはユラユラと立ち上がると書類達を投げた。
「俺は落ち着いてる!良くも毎日毎日飽きもせず同じ内容の書類を…俺も暇ではない!!そうだ…誰にも分からない様に消してしまいましょう?」
それがいいですと言い出すクロードに今度はラファイが頭を抱えていた。
クロードの叫びは帝宮に響き、何事かと帝達が集まりだした。
「なんだが、総帝様のキャラが壊れていますわ…」
「見事に壊れて居るのぉ。」
「俺はこっちの総帝様のか好きだなぁ、面白い。」
そんな帝達を尻目にちょっと出掛けて来ますと言い出したクロードをラファイが必死で止めていた。
水帝は散らばった書類の一枚を拾って読み出す。
「あら、これ王家からの書類じゃない?まさか総帝様、王家を消そうとか言っていたんですの?」
「そうだ!だからお前らも止めろ!!」
「嫌よぉ、怪我したくないもの。」
「総帝様相手じゃ怪我では済まんのぉ、儂はまだ長生きさしたいのじゃ。」
「僕もごめんだよ。総帝様を止めれるのは焔帝くらいでしょ?頑張ってよ!」
ラファイは恨めしそうに帝達を見た。
「大体食料の配給量を元に戻せと五月蝿い!!今までの半分にしても庶民より遥かに多い配給なんだ!!終いには俺に植物魔法を使えと?!何様だ!!全く反省してねえ!!」
普段が丁寧な口調なだけに荒れるクロードの口調は違和感しかない。
「そうだ!!闇帝呪って良いですよ!!」
「えっ?えっ?」
物凄い動揺しながら闇帝はラファイに助けて目線を送る。
「呪いも駄目だ、ちょっとコイツ連れてストレス発散させて来る。2、3日で帰るからそれまでの執務は頼んだ。このままじゃ帝宮ぶっ飛ばすからな。」
帝達は無言で頷いた。
帝達の了解を取り、ラウも連れてラファイは森の奥へ向かった。
「クロード好きなだけ暴れて良いぞ?」
クロードは直ぐに森の中へと駆けて行った。
クロードが向かった方向からは直ぐに爆発音や魔物の断末魔、獣の叫びが聞こえてくる。
「こりゃ2、3日で足りんのか?」
『かなり溜まっている様だ、あれは2、3日ぶっ通しで暴れるな。我はクロードを見張りに行こう。』
「任せた。」
ラウを見送ったラファイは野営の準備に取り掛かった。
竈を作り、テントを張り最後に結界を施す。
「こんなもんか?クロードが暴れてるからな、食料には困らねえだろ。」
未だに森の奥からは爆音が響いている。
森で暴れるクロードは生き生きしていた。
子供の頃から感情を押し殺してきたクロードは普段決して感情を表に出さない様になってしまった。
それがクロードの何時もの口調に現れているのをラファイは知っている。
本来のクロードは暴言も吐けば、言葉遣いも悪いのだ。
それが今回の王家の執拗い催促の書類達に爆発したのだった。
その書類達をクロードを届けに行く度にラファイも何度王家を消してしまおうと思ったか。
日も暮れて来た頃ラウだけが獲物を咥えて帰ってきた。
「クロードは?」
『うむ、今のクロードには我の声は聞こえぬ様だ。放って置けばいい。我等は食事にしょう。』
この夜、ラファイとラウは二人だけで夕食を済ませ、床についたがクロードが暴れる爆音で二人が寝不足になったのは言うまでもないだろう。
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