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人類の存続
2-5
しおりを挟むクロードとラファイが壁まで飛ぶと既に闇帝以外の帝は集合していた。
「闇帝はエデンに結界を施してから来ます。」
「総帝様!状況はどうなんじゃ?」
「先程通達した通りです。私と闇帝は魔物の会話を聞きました、彼等は人語を話します。人間を殺しに来ると話していました。恐らくクロウの指示でしょう。
彼はこの状況を楽しんでいる、きっと何処かで見ているのでしょう。」
クロードは辺りを見回す様に見たが、クロウの気配は感じられない。
「明日の朝には大型の魔物はここに辿り着くでしょう。それまでに私達で出来る限りの準備をして起きましょう。一体は私が他の二体は帝達に任せる事になってしまいます。」
「分かりましたわ!」
「準備っちゅうのは罠を張るちゅう事かのぉ?」
「そうです、先に仕掛け此方を優勢に持って行かなくてはなりません。まずは土帝、壁の外にで来るだけ深い穴を掘って下さい。その穴を光帝の光魔法で見えない様に細工して下さい。穴の手前に水帝が水を凍らせて滑りやすく、目標が接近したら光帝は光弾を撃って下さい。目を眩ませるんです。」
「成程、出来る事はやるわい。直ぐに取り掛かるぞ!」
土帝、水帝、光帝は壁の外に向かった。
「クロード、俺はどうすれば良い?」
「ラファイはうまく穴に落ちた魔物を全力の炎魔法で攻撃して下さい。相手は図体が大きいので動きは鈍いのですが、かなり身体は頑丈です。攻撃は全て全力でいかないと此方が殺られてしまいます。」
「分かった。」
「ラファイにはルナを付けます。」
「ルナ?」
『なぁにぃ~クロード?一年も私を放っておいて何の用かしらぁ?』
「ルナ、もう機嫌を直して下さい。もうルナに黙って居なくなったりしませんから。」
ルナは恨めしそうにクロードを睨む。
『本当にぃ?』
「はい、約束しますよ。」
『分かったわぁ、私は何をすれば良いのかしらぁ?』
「これから大型の魔物が三体攻めて来ます。ルナはラファイを助けてあげて下さい。」
『私をラファイに貸すほどの相手なのかしらぁ?』
「そうです、俺が一体1人でやっと倒せるかの相手です。」
『そう…分かったわぁ、ラファイは絶対に死なせないわよぉ。』
「お願いしますね!ラウ!」
『何だ?』
「ラウは他の帝のサポートをお願いします。」
『クロードは良いのか?』
「俺なら大丈夫ですよ、良いですか?ぜったいに他の帝達を死なせてはいけません。」
『承知した、しかし…クロードが危ないと思ったら我はクロードの元に行く。我の主はクロードなのだからな、失う訳にはいなぬ。』
「全く、ラウの心配性は変わりませんね?分かりました。今回は私も全力で行きます。森にも街にもかなりの被害が出るでしょう。」
「ちょっと!総帝様俺が帰って早々物騒な事になってるじゃない!」
風帝が師匠元から帰って来た。
「帝宮に行ったら誰も居ないしさ、大規模な避難もあったって聞いて来たんだけどどうなってるの?総帝様が全力なんてここら一体が無くなっちゃうよ?」
確かに…クロードは失念していた、自分の力の大きさを。
「土帝、水帝、光帝!作戦中止です!!ここで戦うのは駄目です!!街が無くなってしまいます!」
「何じゃ?どうしたんじゃ?」
「此処で戦うのは駄目です。考えて見て下さい?帝達の全力と俺が全力で戦った後、この一帯はどうなると思いますか?」
「うむ…?!」
「この辺りは消えて無くなってしまいますわねぇ?」
水帝は頬に手を当て困ったわねぇと悩んだ。
「あ、あの…敵の位置がまだここからかなり離れているなら…私達が攻めて行った方が良いのではないですか?」
全員光帝を見た、皆なや見られている光帝はアワアワと慌て出した。
「これじゃの。」
「それしか無いな笑ねぇ。」
「僕も修行して来たし、直ぐに行けるよ!」
風帝は戦える事にウキウキしている様だ。
「では闇帝が合流次第出発します。」
こうして、何とも簡単な作戦とも呼べない戦いが始まる。
土帝の話しでは数百年は大規模な戦いは無かったと聞いた。
この戦いは戦を知らない民達や王族達へ帝達の力をかなり知らしめる戦いとなり、後世にも語り継がれる伝説の一つになるのだった。
そんな総帝様と帝達を見詰める小さな影が二つ。
居た事に帝は疎か総帝のクロードしら気付けていなかった。
此処で気付いていたらと悔やまれてならない…のは戦いが始まってからである。
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