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人類の存続
2-19
しおりを挟むその後、リナリアから楓の話を聞いた帝達が執務室に押し掛けた。
しっかりと書類も持って。
今は光帝と水帝と楓でお茶を飲みながら楽しそうに話をしていた。
楓ともっと話したがった土帝は追い出し、任務に出した。
闇帝は人見知りなので自己紹介だけして帰って行った。
「まぁ!では楓は別の星の方なのね?」
「はい、私の星はカルジュナ星と言います。」
「素敵…星を越えた恋なんて…」
光帝はうっとりとした顔で何処かを見詰めていた。
「楓、貴女は凄いのよ!」
「えっ?何がですか?」
「あの難攻不落の総帝様を落としたのですもの!」
楓は驚いて執務をこなすクロードを見た。
それに気付いたクロードは苦笑いをした。
「どんな女にも靡かなかったのに、楓に一目惚れなんて信じられないわ。」
「やっぱりクロードはモテるんですね?」
「それは、あの容姿だもの殆どの女が放って置かないわよ。総帝様とは知らないにしても公爵家の長男ってだけで超優良物件だわ。」
「私でクロードの妻が務まるでしょうか…」
「あら、貴女じゃなきゃ駄目よ。クロード様が許さないわ。貴女も無自覚さんなのかしら?もっと自信を持ちなさいな、クロード様と並んで見劣りしないのなんて楓くらいなものよ?」
楓はそうだろうかと不安になってしまう。
楓もクロード程容姿端麗な男は見たことが無い、モテるのは納得出来るが胸がモヤモヤした。
それがヤキモチだとは楓はわかっていない。
「でも…私はこの星の人間じゃ無いんです、受け入れて貰えるでしょうか?」
「クロード様が良いと言うんだもの、誰も文句は言えないわ。総帝様にはそれだけの権限があるのよ。王族だって総帝様の言う事は覆せないわよ?」
リナリア達と話せば話す程クロードの凄さを思い知らされる楓だった。
「クロード様、会議中は楓はどうしますの?」
「楓にはここで待っていて貰おうと思います。ここは安全ですから。」
これから会議の回数は増えて行くだろう。
この前のガイバーオーガも問題だ。
あれからクロウからの接触は無いが、これからクロードと楓の婚約パーティーがり、その数ヵ月後には結婚式が控えている。
クロウが何か仕掛けてくるとも限らない。
楓と言う存在が出来たクロードは更に国々を守らなければならなくなった。
万が一考えたくも無いが、楓を失ってしまったら正気で居られる気がしない。
今度ガイバーオーガが攻めて来る事を考えてもギルドに所属しているイリスも戦いに出さなければいけなくなってしまうかもしれない。
難しい顔をするクロードを楓は心配な顔で見ていた。
これが総帝様としてのクロードのなのだと思った。
クロードの背には沢山の命が背負われている。
前回の戦いでクロードは大怪我を負ったとリナリアとマキナから聞いた時凄く不安になった。
「リナリア、近い内に休暇が欲しいのですが。一日でも良いんです。」
「はっ?無理に決まって…もしかして楓の買い物かしら?」
「そうです、色々買い揃えようと思いまして。それに一度うちに楓を連れて行かないと行けないんです。楓のウェディングドレスを仕立てるのですが、母さんがかなり張り切っていて。」
「そう言う事なら仕方ないわ。その代わり倍は書類を片付けて頂きますわ。」
「分かってますよ。」
「えっ!これの倍ですか?」
楓は驚きを隠せない。
「そうよ、丸一日休みを取るのだもの。休みの日の分を前倒しでやってもらわないといけませんわ。」
当たり前だと言うリナリア、クロードは今までどれだけ無理をして楓に会う時間を作っていてくれたのだろうと申し訳なくなった。
「楓、心配しなくて大丈夫ですよ?俺なら一日で終わらせますから。」
そう言い切るクロードにも驚く。
「まぁ、私達も少しは手伝いますわよ?クロード様が怪我をして目覚めなかった時は本当に地獄でしたわ。」
「そんなにですか?」
「ええ、帝総出で書類を片付けても片付けても減りませんの。私達は何時も書類を届けるだけでしたからクロード様がどれ程の量の書類を毎日こなしていたか知らなかったんですわ。もう書類は懲り懲りです。」
余程大変だったらしい、マキナも激しく頷いている。
「クロード様なら半日で終わらせてしまうのに、私達では全然終わらなかったんですよ?」
マキナは総帝様は凄いんですと、何故かマキナが胸を張った。
「そろそろお昼ですね?皆で偶には外で食べますか?」
「それ良いですわね!」
「私も賛成です!」
「楓も良いですか?」
「うん、楽しみ!」
楓はさり気無くクロードのデスクを見ると山積みだった書類は全部無くなっていた。
「楓、街に出れば名前呼んでも大丈夫ですからね。俺たちも私服でいきますから。では楓と俺は着替えて来るので帝宮の入口で待ち合わせしましょう。」
俺と楓はリナリアとマキナと分かれ部屋に着替えに戻った。
「ねぇ、クロード?私着替えを持ってないわ。」
楓は着の身着のままでエルリスに来たので着替えが無い。
「あぁ、それなら大丈夫ですよ?ほらっ。」
クロードがクローゼットを開けると何着か楓に丁度良い控え目なドレスがあった。
「母さんに持たされました。好きなのに着替えて下さい。俺はあっちの部屋に言ってますから。」
クロードが出て行くと楓はドレスを前に悩んだ。
今までがシンプルなワンピースだった楓はドレスを気慣れていない為どれが良いのか分からない。
暫く悩んだ末シンプルな白いドレスを選んだ。
フワリと広がるドレスはとても楓に似合っていた。
「クロード、これで良いかしら?」
「良く似合ってますよ。困りましたね、誰にも楓を見せたくなくなってきました。」
楓は楓でシンプルなストライプのシャツに黒のベスト、細身のグレーのパンツを着こなすクロードを見て楓は頬を染めた。
初めて見る私服のクロードはそれはそれは格好良かった。
楓こそクロードを他の女に見せたくないと思ってしまう。
「さぁ、行きましょう。もう皆待ってると思いますから。転移しますよ?」
楓に手を差し伸べる。
「どうして転移を使うの?」
「帝宮から普通に俺達が出て言ったら帝だと言っている様なものでしょ?だから入口から少し離れた所に転移するんです。」
楓さ納得してクロードの手を取った。
転移した先にはもう帝達が全員揃っていた。
「遅れてすみません。」
「何食いに行くんだ?」
「ラファイ、ここは楓が食べたい物を食べに行こうよ!」
「しかし、楓ではまだこの星の食べ物が分からんじゃろ?」
「なら、何時もの所に行きますか?」
クロード達の行きつけの店に行く事になった。
街を歩けばクロードの集団は注目の的だった。
これだけの美形の集団だ見ない方がおかしいと言うものだ。
楓は逸れない様にクロードと腕を組んで歩いていた。
「楓、疲れませんか?」
「大丈夫、街が見られてとっても楽しいわ。」
「もうすぐ着きますからね。」
辿り着いた店に楓はかなりの敷居の高さを感じた。
ドレスコード…大丈夫だろうか?
店に入るとボーイが直ぐに案内をしてくれる。
椅子を引かれ戸惑いながらも腰掛けた。
明らかに高級な店に楓は縮こまった。
楓は王族と言ってもカルジュナは決して豊かとは言えないので、食事も普通だったのだ。
テーブルを見れば沢山のスプーンやフォーク、ナイフが並んでいる。
これナイフとフォークがあれば足りるんじゃないのだろうか?
それともこの星ではこれが普通なのだろうか?
「クロード、私マナーが分からないわ。」
小声でクロードに助けを求めた。
「両端から使っていくんです。俺の真似をすれば大丈夫ですよ。」
料理が運ばれ最初は戸惑っていた楓だったが、慣れてくるととても美味しい料理に舌鼓を打った。
「満足しましたか?デザート頼みますか?」
「もう入らないわ、お腹苦しい。」
良かったと言ってクロードは皮のノートの様な物に沢山の硬貨を挟んでボーイに渡した。
あれ、金貨だったわ!
何十枚はらったのかしら!
楓の金銭感覚は庶民に近く、あの料理はそんなに高級な物だったのだと今更気付いた。
「く、クロード?何時もこんなに高級なお店で食事をしているの?」
「えっ?普通ですよ?」
クロードはケロッと言い、帝達も楓を見ていた。
「あら?楓は王族なのでしょ?こんなの普通じゃないのかしら?」
「いえ、確かに王族ですが私の星は決して豊かではなくて…その、王族の食事も庶民とそう変わりませんわ。」
「そうだったんですね。だんだん慣れますよ。俺はこれでも結構稼いでいますから楓に苦労はかけませんよ。」
楓は両親が婚約パーティーに来た時の事を不安に思った。
普段の食事がこれなのだ、公爵家のパーティーはきっと凄いだろうと予想した。
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※次ページ挿絵あります。
注意して下さい。
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