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人類の存続
2-19
しおりを挟む楓はクロードに頼み、両親と連絡を取る事にした。
婚約パーティーで両親に恥をかかせる訳にはいかない。
クロードにも席を外して貰って電電雷魚に話かける。
「お母様?」
「まぁ、楓!元気にしていますか?」
「はい、とても良くして貰っています。所でお母様達に話しておかなければならない事があります。」
「あらぁ、何かしら?」
「お母様、お父様。クロード様と帝様達とこの前食事に行ったのです。凄く高級なお店で…」
楓はクロードの金銭感覚や、食事の作法や公爵家のパーティーは凄いだろう事を説明した。
「クロード君はかなり甲斐がある様だね。」
バジルは関心した様に言った。
「はい、クロードの個人資産なら公爵家の資産よりあるとクロードが言っていましたの。」
「楓、連絡をくれてありがとう。心の準備をしてから行くよ。」
「はい、お父様。ではまた連絡しますわ。」
楓は両親との話を終わりにした。
「クロード、ありがとう。」
「話は終わったんですか?」
クロードは隣の部屋で本を読みながら待っていた。
ソファーに座って本を持つクロードはそれだけで絵になってしまう。
「明日は俺の家に行きます。楓の採寸があると母さんが言っていましたから。」
婚約パーティーまで後一月、パーティー用のドレスとウェディングドレスの準備をすると聞いていけど。
「こんなに早く作るの?」
「はい、楓に安い物など着せる事は出来ませんからね。素晴らしい物を仕立てる様に仕立て屋には言ってありますから。」
楓はそのドレス達は幾らするのだろうと思ったが、考えるのを止めた。
楓の金銭感覚では卒倒してしまう金額だろう。
それからは忙しかった、ドレスの採寸に始まり寸法直しにパーティーに出す料理をナディア達と話し合い、パーティーに招待する人達を話し合いあっという間に婚約パーティーの日が来てしまった。
楓は公爵家の侍女たちに髪を結われ、淡いパステルグリーンのドレスを来ていた。
かなり長い楓の髪に侍女たちは悪戦苦闘していたがしっかりと纏め切った時は皆やり切ったとスッキリした顔をしていた。
耳にはクロードの瞳の色の宝石が着いたシンプルなピアスとネックレス。
これはクロードからの贈り物だ。
髪はサイドは編み込まれ後ろで綺麗に纏められ頭にはティアラが輝いていた。
自分では無いようで楓は何度も鏡を見た。
侍女たちにお礼を言うと、クロードが入って来た。
「楓、準備は出来た?わぁ!楓!凄く綺麗ですよ!」
クロードは楓を抱き締めた。
「クロード!折角綺麗にして貰った髪が乱れてしまうわ!」
「すみません、あまりに楓が綺麗で。はぁ…こんなに綺麗な楓を沢山の人に見られるんですね。」
クロードは心底嫌だと言う顔をした。
「何を言ってるんですか坊ちゃん!減る物でもあるまいし!公爵家の花嫁はこんなに美しいのだと自慢してらっしゃい!」
メイド頭のメリダがクロードの尻を叩いた。
「メリダ、俺はもうすぐ妻を迎えるんですよ?坊ちゃんは止めて下さい。」
「はいはい、分かりました。若旦那様!」
そう言いながらメリダは出て行った。
「楓…本当に綺麗です。ピアスとネックレス付けてくれたんですね?凄く似合ってますよ。」
自分の瞳の色を相手に送る、クロードの独占欲が見えていた。
薄紫色の瞳のはこの国でクロード位だろい、パーティーに来た者に楓は俺のだと主張する。
シルクの手袋をの上から最初にクロードが楓に送った総帝の紋章が入った指輪が付けられていた。
「あっ!楓、その指輪はパーティーでは付けてはいけません。」
楓もハッとして指輪を外した。
楓を連れて窓際に移動すると広い公爵家の庭は沢山の馬車が列を成し順番待ちをしていた。
「クロード、こんなに沢山の人が来るの?!」
「驚きましたか?公爵家長男の婚約パーティーです。沢山の貴族や王族が来ますよ?楓、この星の貴族のパーティーは社交の場なのです。人脈を増やしたり、年頃の令嬢や令息には恰好のお見合いの場になります。今日は胸を張っていて下さい。楓は俺が選んだたった一人なんですから。」
「はい、クロード。」
しかし、この数十分後楓は圧倒される事になる。
「クロード、楓ちゃんそろそろ始めるけど良いかい?」
ウィリアムが二人を呼びに来た。
「楓行きましょう。」
クロードは腕を楓に出すと楓はそこに腕を絡ませた。
「はい。」
長い廊下を進む中楓の緊張は最高潮になっていた。
辿り着いたパーティー広間は驚く程広く、何処ぞの城の様に両サイドから階段が広間の中央に下りる様になっており途中の踊り場には椅子が二つ並んでいた。
「く、クロード…ここを下りて行くのかしら?」
「緊張してるんですか?」
クロードは楓の腰を掴み引き寄せると深いキスをした。
「ちよっ!クロード!!こんな時に何するのよ!」
「ほら、緊張解けたでしょ?」
「もうっ!!」
確かに緊張は解れた楓は赤くなる頬を押さえた。
下ではウィリアムが挨拶を述べ、楓の両親を紹介していた。
「もうすぐ出ますよ?大丈夫ですか?」
楓は深呼吸した。
「大丈夫よ。行きましょう。」
二人は腕を組みゆっくりと階段を降りて行った。
楓を気遣いながら下りて行くとルナが水の精霊達をつれて祝福をくれた。
二人の周りはキラキラと光り幻想的だった。
光の粒が楓に集まると楓の髪の色が金色から青銀髪に変わった。
「私達からの祝福の証よ!クロードとお揃いになったわねえ!」
ルナにお礼を言って笑い合うクロードと楓は誰もが認める程お似合いだった。
あのクロードの隣に並んでも尚美しい楓に会場の男性陣は目が離せなかった。
二人は踊り場で来ると会場に向かって礼をした。
「皆様、本日は私達クロード=ルイ=オズワルドと楓=カルジュナの婚約パーティーへ足をお運び頂きありがとうございます。本日、私クロードと楓は正式に婚約致します。」
会場からは割れんばかりの拍手が起きる、その中には帝達もまぎれていてそれを見つけてクロードと楓は顔を見合わせて笑い合った。
それから音楽の演奏が始まり、クロードと楓はホールの中央に出た。
お互いに礼をし、クロードは楓の手を取り腰を引いた。
優雅なワルツを流れる様に踊る二人は時折笑い合い、楓はクルリとドレスを翻し踊る姿は女神の様だ。
ホールには音楽だけ流れ、誰一人音も立てず2人に見惚れていた。
一曲踊り終わると二人は階段の踊り場にある椅子に移動した。
後は普通のパーティーと変わらない。
ホールに出て踊る者、立食形式をとったので食事を楽しむ者、酒を楽しむ者など、様々だ。
クロードと楓の前には列が出来貴族達がお祝いを言いに来る。
クロードはこれが嫌だった、面倒なのだ。
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