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人類の存続
2-29
しおりを挟む闇帝カイテルはエデンへと急いでいた。
クロードもかなり心配だが、残った帝達も心配だった。
クロードの傷を見て顔を歪める。
細い蔓で縫ったとは言え、かなり酷い傷だった。
クロードに負担がない様にはしていたが、かなりの速さで飛んだ。
お陰で15分程でエデンに着く事が出来た。
帝宮の前に下りると直ぐに医療班が担架を持って走って来た。
その後から楓も走って来るのが見えた。
「クロード!!」
「楓さん!何でここに居るんですか?!帝宮は危険なんです!!オズワルド公爵家に行ったんじゃなかったんですか?!」
「義母様に無理を言って残ったの!クロードは?!何故こんなに血塗れなの?!」
「クロード様はガイバーオーガを三体倒した後…ガイバーオーガの斧に…」
楓はクロードの傷を見るとそのまま気絶してしまった。
「楓さん!!」
婚約者が血塗れで戻って来たのだ、正気でいられないのも致し方ない。
「医療班!!楓さんも頼む!」
「「「はい!!」」」
闇帝カイテルはまた帝達が戦っている地に向かって急いだ。
その頃、ガイバーオーガ二体を相手する帝達はかなりの苦戦を強いられていた。
「クソっ!!攻撃は当たってやがるのに効いてねえ!!」
「ハァハァ…せめて弱い属性があれば助かりますのに!!」
「ハァハァフゥ…先ず無いんじゃろうな。儂らの総攻撃でも殆ど傷も付かん。」
光帝は話す余裕が無いほど息が上がっていた。
「僕の最大の風魔法でも切り傷すら付かないよ?!どうするの?!」
ラファイは焦っていた。
長期戦になれば敗北は確実、なるべく短期で勝負をつけたいがガイバーオーガに殆ど傷も付けられない始末だ。
「クロード奴、マジで凄えな…ハァハァこんなの三体も殺ったのかよ…」
「クロード様の古代魔法あってこそじゃ!ガイバーオーガには古代魔法は効いていた、こヤツらの弱点は古代魔法と言った所かのぅ?」
「はっ!それじゃ俺達が勝てる訳ねえじゃねえかよ!」
「諦めるな若者よ…儂も長く生きた、使って見るかのぅ?!ちぃとばかり詠唱に時間が掛かる、頼めるか?」
土帝を見て皆頷いた。
「じゃあ行くぞい!!古代魔法…」
土帝は詠唱に入った。
ラファイ達はその間ガイバーオーガを引きつける。
ガイバーオーガ達の周りを飛び回りそれをガイバーオーガが叩き落とそうと太い腕を振り回して来る。
避けるのも一苦労だ、寸でで避けてしまったら余波で攻撃を食らう。
完璧に避ける必要があった。
土帝は何やら印を組み胡座をかいて詠唱を続けていた。
「まだか?光帝!!少し離れて休め!当たれば死ぬぞ!!」
光帝マキナは頷くと離脱して行った。
ラファイが目を離した隙に一体のガイバーオーガが土帝に向けて拳を振り落とそうとしついた。
「クソっ!間に合わねえ!!」
しかし、ガイバーオーガの腕は土帝に届こうという所で止まった。
「闇帝!!」
「遅くなりました!!」
闇帝の両腕を黒いモヤが覆い、それが巨大な腕となりガイバーオーガと掴み合いをしていた。
ガイバーオーガが押せばカイテルがまた押し返す。
「闇帝!今は土帝が古代魔法の詠唱中だそれまで耐えてくれ!!」
「わ…分かりました!!最善を尽くします!!」
土帝はカッと目を見開く。
「お主ら離れておれ!行くぞい!!」
土帝の周りから地鳴りが鳴り出す、次第に音は大きくなり土帝は額に血管が浮き出る程集中していた。
「ふんっ!!」
土帝が立ち上がり足を一歩力強く踏み出すと今度は土帝から50m四方の地面に亀裂が入った。
バキバキバキバキと四方から走った亀裂が繋がると地鳴りが更に激しさを増した。
「そいっ!!」
土帝は地面に向けて二本指を向けると今度はクルッと上に向け雄叫びを上げた。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉお!!」
土帝の周りの亀裂がズレ始める。
轟音と共に巨大な地面は土帝を乗せたまま浮上して行く。
そのままガイバーオーガの上まできた。
ガイバーオーガ達はそれを不思議そうに見上げていた。
「これが大地の髪の怒りじゃ!!大地の憤激!!」
巨大な大地はコォォォオとかぜを切りながらガイバーオーガ達を押し潰した。
「まだじゃぁー!!もう一丁!!」
更に土帝の背後からさっき程より大きな大地が落ちてくる。
ガイバーオーガ達はぐぁぁぁあ!!と咆哮しながらも大地を押し返そうとするがもう腰辺りまで地面に埋まってしまっていた。
そして追撃の二発目でガイバーオーガの姿は見えなくなり、咆哮も聞こえなくなった。
「闇帝!!出番じゃ!!」
「はい!!闇封魔法…闇精霊の鳥籠!!」
ガイバーオーガが埋まる地面に真っ黒な大きな魔法陣が現れると大きな鳥籠の形になり地面に沈んで行った。
「入った!!封!!」
すると魔法文字で書かれたバツ印が封をした。
「ふぅ…勝ったわい。」
土帝はそのまま倒れた。
「土帝!!大丈夫?!」
直ぐに風帝が下りてきた。
「古代魔法を使ったのだもの、土帝とてそうなるわよ。使えただけ奇跡ですわ。」
「伊達に長く生きてねえって事だな?」
「魔力を使い過ぎてしまったんですね。」
「何日か寝てりゃ回復すんだろ。」
「土帝ありがとうございます!」
「帰るぞ、クロードの事も気になる。」
帝達は暫く待ちガイバーオーガがちゃんと封印されたか確認しエデンへ帰って行った。
何とか終息した二度目のガイバーオーガの襲撃だが、今後の襲撃に備えて話し合う必死がある。
知らないうちに拠点など作られては溜まったものでは無い。
今回は身を粉にして土帝が古代魔法を発動出来たから運が良かっただけの事だ。
課題は多い、何よりクロウが何を考えて居るのかも分からない。
国を滅ぼすのが目的なら簡単な筈だ、でもそれはせずにちまちまとガイバーオーガをけしかけて来る…解せぬ。
先ずはクロードの回復が先だな。
ラファイはそんな事を考えながら先を急いだ。
エデンに着くと帝達は直ぐにクロードの元へ向かった。
しかし、何故か隣のベットには楓が寝かされている。
「楓さん、クロード様を見て気絶してしまったんです。」
皆の疑問に闇帝カイテルが答えた。
クロードは沢山の管に繋がれていた。
そこに帝宮の主治医であるアルシュが来た。
「アルシュ、総帝様の具合は?」
「焔帝様、危なかったです。しかし、総帝様が自ら傷を塞いでくれていた事で助かりました。麻酔も無しで良く総帝様は耐えられましたよ。」
意識が朦朧としていたとは言え、麻酔無しで植物で傷を縫ったのだ相当痛かったに違いない。
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※2-28挿絵追加しました。
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