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人類の存続
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しおりを挟む「ほれっ!お主等の力はそんなもんかのぅ?」
ギルドの地下にある訓練所で土帝はアルトとソルトを見ていた。
ここは結界で強化してある為、帝レベルの者が暴れない限りは何をしても大丈夫な場所で修行には打って付けの場所だった。
「「まだ出来るよ!!」」
「ならやってみぃ?儂に一発も当たらんのじゃ話にならんわい。」
バリバリと雷魔法を放ちまくる双子だが、土帝はヒョイヒョイと軽く避けてしまう。
「魔力量もセンスもあるんじゃが、如何せん幼いのがのぅ。」
アルトとソルトは見た目は20代だが本当の年は10歳と言う特殊な双子だった。
双子は簡単な依頼を受けながら毎日土帝の言う通りに此処で魔法の修行をしていた。
その甲斐もあってか双子は気付いて居ないがランクで言ったら既にAランク程度までは力を付けていた。
「お主等は雷帝になりたいのかのぅ?」
「「僕達なるよ!!」」
「それは何故じゃ?」
「「総帝様が母さんと僕達を助けてくれたから!!」」
「総帝様の為か?」
「「うん!!僕達総帝様大好きだ!」」
「なら精進せい。お主等ならなれるじゃろ。」
「「本当に?!」」
「後5年はかかるじゃろうがな。」
土帝は二人に続ける様に言ってギルドを出た。
「うむ、先が楽しみじゃわい。さて、総帝様に報告に行くかのぅ。」
土帝はエデンに向けて飛び立った。
クロードの部屋の前まで来た土帝は足を止めた、何故なら目の前を電電雷魚が泳いで行ったからだ。
このパターンには慣れて来たがきっとクロードの母親からだろうと思いながら土帝も電電雷魚に続いて部屋に入った。
案の定クロードの寝室からはナディアの怒声が響いてくる。
「クロード!!結婚式まで1ヶ月を切ったのよ?!楓ちゃんを1回家に連れて来なさい!!ウェディングドレスも一度着てみないといけないのよ?!クロードは動けないからウィリアムに迎えに行かせるからね?!結婚式までに怪我治しなさい!!新郎が怪我人なんて笑えないわ!楓ちゃんが可哀想よ?!」
またナディアが無茶を言っている。
クロードの傷は深く未だに完治していない。
「分かりました。」
「義母様?余りクロードを怒らないで下さい。私が我儘を言ってクロードの側から離れなかったんですから。」
「あらあら楓ちゃん、可愛いわね!明日ウィリアムが朝迎えに行くわ。お願いねえ?」
「分かりました、義母様。」
電電雷魚は土帝の前を過ぎて去って行った。
「毎度嵐の様な電電雷魚じゃな?」
「土帝、来てたんですか?」
「電電雷魚が帰るのを待っとったんじゃよ。」
土帝はドッコイショと椅子に座った。
すかさず楓が紅茶を淹れ土帝の前に置く。
「ありがとう楓ちゃん。クロード様あの双子の事じゃがな。」
「どうでした?!素質は有りそうですか?!」
クロードは興奮気味に聞く。
「素質はあるのぅ。しかし…」
「しかし?」
「如何せんまだ幼すぎる。身体の方は十分に成長しとるが、中身が幼いのじゃよ。同じ10歳児と比べてもあの双子は幼いのぅ。育った環境がそうさせてしまったのかもしれん。」
「では…雷帝には出来ませんか?」
クロードは目に見えて落ち込んだ。
今は少しでも戦力が欲しいのだ。
「いや、あと5年もすれば帝レベルまで力を発揮出来る様になるじゃろう。」
「5年ですか…待つしか他は無いですね。今の所はガイバーオーガ達にも動きは無い様ですし、引き続き双子の事はお願いします。俺も怪我が治ったらもう一度修行をしようと思います。」
土帝はこれ以上強くなる気でいるのかと驚いたが、実際問題ガイバーオーガについてはクロードに頼らざるを得ないのが現状だ。
それを帝達は歯痒く思っていた。
翌日、朝に楓を迎えに来たウィリアムと楓を見送りクロードは執務をこなしていた。
何時も通りの一日になる筈だった。
一日を終え久しぶりの楓が居ない夜、クロードは中々寝付けないでいた。
嫌に傷が痛む、アルシュに処方して貰っている痛み止めも効かない様だ。
「痛…」
「失礼しますよ。」
急に声が聞こえ窓際を見ると知らない青年が立っていた。
「誰ですか?何処から入ったのです?」
クロードは臨戦態勢に入る。
「警戒しなくて結構ですよ?私に戦意はありませんからね。私をお忘れで?クロウと言えば思い出して頂けますか?」
「何だって?!」
クロードが知っているクロウは壮年のロマンスグレーな紳士の様な奴だった。
しかし、今目の前にいるクロウはかなり若返っている。
「本当にクロウですか?最初と大分印象が違いますが?」
「あぁ、これですか?私も少々退屈でしてね、人に紛れて居たんですよ。少々生気を頂きましたのでこの通りです。最盛期の頃の私に戻れました。」
クツクツと笑うクロウ。
きっとクロウに生気を取られた人間は生きていないだろう。
「何をしにきたのですか?こんな夜中に迷惑ですよ?」
「すみませんでした。私は夜行性なのでそこまで気が回りませんでした。次回は気をつけますね。」
次回があるのかとクロードは思った。
「そうそう、ご結婚なさるそうで。お祝い申し上げます。」
「貴方に祝われても嬉しくないですよ。俺を殺しに来たんですか?」
クロウはまさかと目を見開いた。
「怪我人を殺す趣味はありませんよ。それに貴方は私を楽しませてくれる数少ない人間です。そう簡単に失う訳にはいきませんからね。」
じゃあ何をしにきたんだとクロードは溜息を吐いた。
「ただ話に来ただけですよ?他意はありません。貴方にいい事を教えましょう。遥か昔、私は人間でした。今はちょっと違う存在になってしまいましたが。貴方が私の本当の正体を知った時、貴方はどうするのか大変楽しみにしてますよ。これからもガイバーオーガを頑張って倒して下さいね。定期的に送り出しますから。」
一人で長々喋ってクロウは闇にスっと消えてしまった。
何だったんでしょうか?
楓が居なかったのは良いものの、あの人寂しい人なんでしょうか?
敵の俺と話をしに来るくらいですからね。
クロウがいなくなり傷の痛みも無くなったクロードはいつの間にか眠っていた。
_______________________________________
本日、ルナパーク【遊園地】な為更新は夜になってしまいます。
家族サービスも大変です( ˊᵕˋ ;)💦
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