うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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人類の存続

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ニナが通った後は分かりやすかった。
ジャイアントアントが倒れているからだ。

「ニナは真ん中を行った様ですね?俺達はどうしますか?左右で別れます?」

「あぁ、あのチビに負けてられねえからな!俺は右だ!」
ラファイは右に入っていった。

「なら俺は左ですね、さて…やりますか?」
クロードは首をコキコキと鳴らした。
うーんと伸びをすると掌を地面に付けた。

「俺の勝ちです。」
緑に光る魔法陣を発動するとそこから地割れの様な物が四方八方に伸びていく。

「さて、俺はゆっくり行きましょう。」
クロードは辺りを観察しながらゆっくりと進んで行った。
一方、ラファイは炎魔法で次々とジャイアントアントを倒して進んでいた。
ニナも同じくまたチョップで倒して楽しそうに進んでいた。
しかし、暫くするとラファイとニナの足は止まった。

「もうっ!!何これ?!こんなの狡っ子だよ!!」
ニナは頬をプクッと膨らませた。

「やられたな…」
ラファイは頭を掻き苦笑いを漏らした。
ラファイとニナの行先には植物に下から貫かれたジャイアントアント達が居たからだ。

「ラファイ、そろそろ一掃出来たでしょう。帰りましょう。」

「あの餓鬼は良いのかよ?」

「これ以上関わると面倒そうなので…」

「だな…」
クロウが父親なんて冗談じゃない。
関わらないのが一番と二人は直ぐにエデンに転移した。
帝達に事のあらましを報告し、後日土帝達が洞窟を埋めに行く事となった。
その後、残されたニナは笑っていた。

「め~え、め~え…森の子ヤギ、森の子ヤギ…子ヤギ走れば株子に当たる…当たりゃあんよがあぁぁ痛い、そこで子ヤギは…」

「どうしました、ニナ?随分楽しそうですね?」

「パパ!あのお兄ちゃん滅茶苦茶なんだぁ!僕凄く楽しかったよぉ!」

「それは良かったですね。」

「ねえパパ?あのお兄ちゃん達…食べて良い?」
ニナはゾッとする笑顔でクロウを見た。

「ダメですよ。あれは私の玩具です。幾らニナでも許しませんよ。」

「チェッ!つまんなぁい!あんなに強い人間ってどんな味がするんだろうね?あっ!でも駄目だね、そんな事したら僕がパパに殺されちゃうもん。」

「帰りますよニナ。」

「はぁい!!また遊びたいなぁ~!」
クロウとニナは闇に溶けた。

「何じゃと?!クロウに子が居たのか?!」
帝達は驚きを隠せなかった。

「じゃあさぁ、母親は誰なの?見た目は人間だったんでしょ?」

「分かりません。クロウの子供ニナについては謎です。後でルナに聞いてみます。」
魔人は個体で子供を成せるのでしょうか?
それも無いとは言えない話ですね。

「クロード様、楓ちゃんはどうしたんじゃ?」

「楓は公爵夫人としての教育が始まるので家に帰ってますよ。」

「何じゃ…寂しいのぅ。楓ちゃんの茶が飲めんのかぁ。」
全く土帝は楓贔屓ですね?

「ねえそのニナに僕達が遭遇したらどうするの?殺して良いの?」
風帝は何故かワクワクしながら聞いてくる。

「いえ、逃げて下さい。」

「えっ?何で?クロウの子でしょ?生かしといたらヤバいんじゃないの?」

「ニナの強さは俺もラファイも目の前で見ています。」
クロードはラファイを見る。

「あぁ、俺らが勝てる相手じゃねえよ…今はな?今は俺達が束で掛かって勝てるかどうかだ。」

「なるほどね、強くなれって事だね!分かった。」

「強くなると言っても私達より強い者と戦わなくてはいけないのでしょ?ガイバーオーガを待ってばかりは居られませんわ。」

「水帝の言う通りです。皆さん常に魔力を練る事をしては如何ですか?」

「何それ?どうやるの?」

「コレにはちょっとコツが必要なので魔力操作や魔法を発動する時に時間短縮にもなります。まず掌に魔力を集中させます。」
クロードが掌をだすとソコには薄紫のクロードの魔力が大きく渦巻く。

「ここから更に…」
クロードは更に集中すると大きく渦巻いていたクロードの魔力は飴玉程まで縮小された。

「こんな風にするんです。慣れたら形を変える…」
今度は針の様に変化した。

「コレを投げれば帝宮位なら吹っ飛びますよ?」
魔力を操りながら風帝を見た瞬間…

ードゴォォォォォオン!!

クロードの執務室が半壊した。

「えー!これ難しいよー!」
自分の掌を睨みながら風帝は言うが、半壊した執務室を他の帝達は引き攣った顔で見ていた。
今後帝達がこの練習を始めると帝宮の至る所で爆音が響く日々が始まり、修復班は振り回され責任者のモニカから苦情が来たのだった。
それでも止まない破壊音にモニカの夫である帝宮の主治医であるアルシュが泣きついて来た。
モニカの機嫌が毎日悪いから何とかしてくれと…いや、元凶が俺なので何とも言えなかった。
一月もすると破壊音は聞こえなくなって来た。
偶に風帝や光帝がやらかすが、他の帝達は魔力操作をマスターしていった。
常に魔力を使い続ければ少なからず魔力量が増えて行くだろう。
ある日、風帝が真剣な顔で言ってきた。

「クロード様!古代魔法を教えて下さい!!」

「えっ?」

「古代魔法が使えないとガイバーオーガにすら勝てないでしょ?古代魔法を使えるのはクロード様と土帝だけ、俺も古代魔法を使いたい!」

「そう言われましても…」
風帝は分かって居るのでしょうか?
土帝程長く生きた人がやっと古代魔法を1回だけ発動で倒れてしまう意味を。

「頼むよ!総帝様!!」

「答えから言うと風帝では無理です。」

「何で!!」
風帝は机を叩いた。

「圧倒的に魔力量が足りないんですよ。教える事は出来ますが発動すら出来ないですし、詠唱の間に倒れてしまいますよ?」
風帝は顔を歪めた。
強くなりたいと思う風帝の気持ちは分かりますが、こればかりはどうにもならない。

「やってみなきゃ分からないじゃない?!一回で良いんだ!お願いします!!」

「はぁ…分かりました。一回だけですよ?」

「やったーぁ!!ありがとうクロード様!!」
こうして風帝に古代魔法を教える事となった。
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