うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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人類の存続

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「め~え、め~え…森の子ヤギ、森の子ヤギ…子ヤギ走れば小石に当たる…」
歌声は此方に向かってくる様だ。
クロードとラファイは息を潜め、何時でも攻撃出来る体勢を取った。

「当たりゃあんよが…あぁぁ痛い…そこで子ヤギが…」
黒髪の少年がスーッと浮かびながらクロード達の前で止まった。

「めぇっとなぁくぅ~…ねぇ、僕と遊ぼう?えへへっ!何で子ヤギは小石を避け無かったのかなぁ?避ければ痛い思いをしなくて済んだのにね?」
ケラケラと笑う少年は少し気味悪く見えた。
クロードは少年の顔に見覚えがあった。
何処で見たのか…クロードは必死に思い出そうとしていた。

「あっ!クロウ!!」
そう少年はクロウに何処と無く似ていた。

「ん?パパ?パパがどうしたの?」

「パパだと?」
ラファイは少年を見て眉を寄せた。

「そうだよ~ぉ。クロウは僕のパパ!お兄ちゃん達に遊んで貰いなさいって言われたから来たんだよ~ぉ。」
少年はまたふんふーんと鼻歌を歌いながら宙返りをしたりフワフワ浮いたりしている。

「貴方名前は?私はクロードです。」

「馬鹿!お前クロウの餓鬼に名乗ってどうすんだよ!!」

「クロウの子なら何れ分かる事です。」

「ん~僕はニナだよぉ。」

「そうですか。ではニナ、パパに伝えて下さい。お兄ちゃん達は忙しいので遊べませんと。」
するとニナは不機嫌な顔になり唇を尖らせた。

「え~遊ぼ?ジャイアントアントの所に行くんでしょ?僕も行く~ぅ!」

「付き合ってられねえ、勝手にしろ!でも俺達はお前を守らないからな!」

「わ~い!大丈夫だよぉ、僕強いからぁ!」
クロードとラファイが洞窟に入るとニナも鼻歌を歌いながら後ろを飛んでくる。
少し進むと二股に別れた。

「クロードどうする?」

「右から行きましょう、こうやって印を付けて行けば迷わないでしょう。」
クロードは洞窟の壁に魔法で矢印を書いた。

「そっちは行き止まりだと思うよ~ぉ?本当に行くのぉ?」
二人はニナを無視して一本道を進んでいく。
暫く進むと鼻をつく激臭が三人を襲った。
ニナは鼻を摘み浮かびながら転げ回っている。

「何の臭いだ?くせえ!!」

「ラファイ!!腐敗臭です!!」
ラファイは摘んでいた鼻を離し顔を引き締めた。

「何故ジャイアントアントの巣から腐敗臭が?ジャイアントアントの主食は果物や樹液の筈です。」

「兎に角行ってみるしかねえだろ?」
右に大きく曲がった角を過ぎると大きな空間に出た。

「うわぁ!これ人間?!凄いねえ!」
興奮するニナを他所にクロードとラファイは顔を顰めた。
その空間は食料庫なのか、元は人間だったであろう部位や塊が幾つも積み重なっていた。
クロードとラファイは驚きうごけずにいた。

「ねぇ?何でそんなに驚くの?人間は餌でしょぅ?」
二人はニナを見た、ニナは心底不思議そうにクロードとラファイを見ていた。

「人間は良いよぉ!だってね、一杯食べても直ぐに増えるんだぁ!凄いよね、人間って!」
ふ~んふ~んとまた鼻歌を歌いながら空間の中を行ったり来たりとフワフワフワフワしているニナ。

「アイツ、人間食ってるのか?」
ラファイはクロードに耳打ちした。

「見たいですね、あの言い方だと。この状況は想定外です。一気に把握してしまいましょう。本当は使いたく無かったんですけどね、ジャイアントアントに気付かれますから。ラファイは戦闘体勢を…」

「了解だ。」
クロードは自分の魔力を放ちジャイアントアントの巣を満たして構造を把握して行く。
食料庫らしき物が他に3つ…これも果物とかでは無いですね。
奥に卵の部屋が…11?!思った以上に繁殖が進んでいる。

「ラファイ!こっちに向けて三匹来ます!」

「了解!!」
ラファイは飛び上がり詠唱を始める。

「来ます!!」
ジャイアントアントはキシキシと鳴き声を上げながらこちらに突進して来ていた。

「焔魔法…」

「てぇぇえい!!とう!えいやぁ!!」

「「はぁ?!」」
ニナは意図も簡単にジャイアントアント3匹を倒してしまった。
しかもニナが使った技は…チョップを三発頭にお見舞いしただけだった。
唖然とするクロードとラファイにニナは腰に手を当て「えっへん!僕凄いでしょぉ?」と喜んでいる。
まど呆然としているラファイより先に我に返ったクロードは考えた。
ニナは俺達と遊びたい。→俺達はジャイアントアントを一掃したい。→ニナ使えるんじゃね?って事で。

「ニナ、遊びましょう!」

「本当に?!うわぁぁぁあ!!何するの?何するの?楽しみだなぁ~!」

「俺達とニナで競争です。先に何匹ジャイアントアントを倒せるか。」
ニナは目をランランと輝かせた。

「うん!!僕頑張る!!」

「では行きますよ?よーい…ドン!!」
ニナは勢いよく巣の奥へと飛んで行った。

「マジかよ…」

「マジですよ。さぁ、俺達も行きますよ?人間が犠牲になってるんです、ニナに協力してもらいましょう。直ぐに一掃出来ちゃいますね?」
ニッコリと言うとラファイは頬を引き攣らせた。

「使うの間違いだろ?」

「使えるものは猫でも使えと言うじゃないですか?つべこべ言わずに行きますよ!」
クロードとラファイもニナの筈です後を追った。
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