うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

文字の大きさ
98 / 125
人類の存続

2-40

しおりを挟む

「詠唱は覚えましたね?」

「大丈夫です!バッチリ!」
俺と風帝、着いてくると言ったラファイは帝宮の地下の闘技場に来ていた。
ここなら色々破壊する事は無い。

「では始めて下さい。」
風帝は闘技場の中央に立つと掌を地面に翳し、詠唱に入った。

「クロード、大丈夫なのかよ。」

「無理でしょうね。一番簡単な古代魔法から教えましたが…多分倒れますね。かなり詠唱に時間が掛かっていますし、もう魔力が足りてないので魔力が練れないのでしょう。」
風帝は構えたまま後ろにバタンと倒れた。

「クロードの言った通りだな。」

「俺は規格外なので問題ないですが、あの土帝が一撃必殺だと言っている意味を理解してくれれば良いんですげとね。俺を除いた帝達の中で土帝は長く生きてきた分一番魔力量が多いんですよ。その土帝が一回の発動で倒れる位魔力を必要としますから。」
そう言いながら風帝に魔力を流した。

「古代人はそんなに魔力量を持ってたのかよ?」

「そうみたいですね。込める魔力量も桁違いなのでやはり現代魔法よりも威力も規格外ですから。例えば…古代魔法…悠久の銀世界…」
闘技場が一面銀世界に変化し大きな氷の柱が幾つも聳えたっていた。

「行きますよ?これがラファイの全力位の魔力です。」
クロードは掌に魔力の玉を作ると氷の柱に向けて放った。
氷の柱は少し皹が入っただけだった。

「次は、さっきと同じ魔力量に古代魔法を組み込みます。」
クロードは古代語を短く詠唱した。
掌の玉は真っ黒になり渦巻く。
それを氷の柱に向けて放つと轟音も共に氷の柱は崩れ落ちた。

「これ位の違いがあるんです。」

「すげえな、風帝が古代魔法を使いたい気持ちは分かんな。」

「うーん、これくらいなら頑張ればラファイなら使えると思いますよ?倒れますけどね、最初は。」

「風帝は違うのか?」

「フールは魔力操作が苦手な上、魔力量が他の帝達よりも少ないんです。フールの攻撃は力任せな傾向がありますから。フールが使うウィンドカッターがこれです。」
右手にウィンドカッターを作り出す。

「こっちがしっかり魔力を練り込み鋭く薄いイメージで作ったウィンドカッターです。」
左にクロードのウィンドカッター。
見た目でもう全く違う魔法の様に見えた。
勿論威力もクロードの方があった。
フールが作り出すウィンドカッターは氷柱に当たると氷柱は砕けたが、クロードのウィンドカッターはスッパリと綺麗に氷柱を切った。

「違いが一目瞭然だな?」
いつの間にか目を覚ましたフールは目を見開き固まっていた。
力の違いを見せつけられ歯を食いしばった。

「フール、魔力操作をもっと正確にするんです。そうすればより多くの魔力を練り込む事が出来ますから。」

「僕は魔力が少ないんでしょ?どうにもならないじゃない。」
完全にフールは拗ねた。

「そんな事ありませんよ?フールは帝なのですからやって出来ない事はありません。それにはまず魔力操作が必要なんですよ。」

「クロード、俺にも助言はねえのかよ?フールばっかり狡いじゃねえか?」
クロードはそれならと足をタンっと鳴らし銀世界を消し、また地面に手を翳す。

「植物魔法…深淵の森。」
今度は森が現れた。

「では何時もの感じで…そいですね、ファイアーボールを放ってみて下さい。」
ラファイは無詠唱でファイアーボールを一本の大樹に放った。
樹皮は抉りれ大きく焦げた穴が開いた。

「こんな感じか?」

「はい、じゃあ次は全力のファイアーボールを放って下さい。」
ラファイは分かったと言うと直径3mはある炎の球体を出現させて放った。
轟音と共に森は10m程が焼け焦げた。

「教えることは無いと思いますが?」

「いや、お前もファイアーボール出してみろよ。」

「分からりました…」
クロードはラファイの4倍程の炎の球体を出すと更に魔力を練り込む。
暫くすると球体はグンっグンっと小さくなって行き飴玉程の大きさまで凝縮された。

「ラファイ、これを放てと言うならラファイもフールも結界を張って下さい。」
それに顔を青くしたフールが放たなくて良いと首を振る。
それを見てクロードはファイアーボールを消した。

「クロードのはもうファイアーボールとは呼べねえ代物だな。」

「あんなに違うのか…僕にも出来るかな?」

「出来ますよ、魔法は魔力操作とイメージが一番大事ですからね。毎日頑張って下さい?」

「分かった!」
やるぞー!とフールは拳を上げた。

「それかラヴに修行を頼みますか?地獄ですけどね。」

「クロード様、一応聞くけどどの程度地獄なの?」

「そうですね…フール位ならラウならきっとキラースパイダーの群れのど真ん中に放り投げられますね。群れを倒すまで帰れませんし、食事も無しです。」

「「………。」」
ラファイもフールも何も言えなかった。
キラースパイダーは森のハンター、一匹見掛けたら逃げろが暗黙の了解だ。
幼いクロードはどんな修行をラウにさせられていたのだろうか?
二人はクロードの強さの片鱗を見た気がした。

「ぼ、僕大丈夫!自分で頑張るから!」
全力でフールは断った。

「そうですか?手っ取り早く強くはなれますよ?生きていれば。」

「お前…サラッと恐ろしい事言うんじゃねえよ。」
顔を引き攣らせるラファイを見てクロードは首を傾げた。
この日から帝達の中でラウの修行は受けてはいけないと言う暗黙の了解が生まれたのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました

鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」 そう言ったのは、王太子アレス。 そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。 外交も財政も軍備も―― すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。 けれど功績はすべて王太子のもの。 感謝も敬意も、ただの一度もない。 そして迎えた舞踏会の夜。 「便利だったが、飾りには向かん」 公開婚約破棄。 それならば、とレイナは微笑む。 「では業務も終了でよろしいですね?」 王太子が望んだ通り、 彼女は“確認”をやめた。 保証を外し、責任を返し、 そして最後に―― 「ご確認を」と差し出した書類に、 彼は何も読まずに署名した。 国は契約で成り立っている。 確認しない者に、王の資格はない。 働きたくない公爵令嬢と、 責任を理解しなかった王太子。 静かな契約ざまぁ劇、開幕。 ---

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...