104 / 125
人類の存続
2-46
しおりを挟む「すみません…力加減が出来なくて、大丈夫ですか?」
騎士団長はクロードが差し出した手を握る前に動きを止め目を見開いた。
「そそそそそ…総帝様ぁぁぁぁぁあ?!」
「はい、そうですよ。他の帝達も居ますけどね。」
そう言われて騎士団長は自分の周りを見回し、自分の置かれている状況が漸く分かったらしい。
「南の集落の住民が消えた。全部吐いて貰うぞ?抵抗しても良いが…こっちには闇帝が居るからな、拷問はお手のもんだ。」
ラファイがニヤリと笑うと、カイテルもニヤリと笑い返した。
それを見た騎士団長は真っ青、今にも倒れてしまいそうだ。
「それで?主犯は誰ですか?大体は分かっていますがそんな事をする理由が分かりません。」
「主犯はこの国の宰相だと分かっとる。はよ吐いてしまえ、こっちにはイタズラ好きと短気に拷問マニアが居る。総帝様は力加減がちいとばかし苦手じゃからお前に良い事は無いぞい?」
まぁこの中なら間違いなく土帝のガライルが真面だろう。
騎士団長はガライルの足に縋る様に張り付き早口に話し出した。
「俺は宰相殿に逆らえなかっただけなんだ!!逆らえば職を失う事になる!俺にも家族が居るんだよ!!仕方無かったんだ!!」
「へぇ~家族ねぇ…あの集落の人にも家族が居たんじゃないの?僕には自分の家族は大事だけど、他はどうでもいいって聞こえるよ~?」
フールは団長の前にしゃがみ込みニッコリと笑った。
「ひぃっ!!ふ、風帝様!!」
「して、何故宰相はあんな事をしたのじゃ?」
「つ、土帝様…わ、私は口減らしと聞き及んで居ります。最初は反対したのですが…団長の座を降りたいのかと脅され…」
「仕方なくやったと?」
ラファイは団長を睨んだ。
「ひぃっ!!は、はい…」
「口減らし…か。どうやら総帝様の命令はこの国では反語にされとった様ですな?」
「ねぇねぇ、総帝様が通達した命令…知ってるよね?騎士団長だもんね?知らない訳ないよね?ねえ何だっけ?僕に教えてよ?」
グイグイ顔を近付けてくる風帝に騎士団長は顔を歪めた。
「貧しい者にも配給は怠るな…と…」
「だぁよねえ~?何でこんな事しちゃってんの?口減らしするなら役に立たない貴族でも減らせば良いじゃない?」
「これ、風帝言い過ぎじゃ!」
「えー!!本当の事じゃない?!」
「騎士団長…総帝様の命に背いた覚悟はあんだろうな?宰相も無事じゃすまねえぞ?大体お前らは誰のお陰で配給を受けられると思ってんだ?王族か?違うだろう、総帝様の力無くして出来ねえ事だ。勝手に口減らしとかしてんじゃねえよ?」
「焔帝の言う通りですね、この世界の住民は全て私が守るべき民ですから。勝手に口減らしとは許せませんね?宰相と国王…どうしてやりましょうか?」
「ま、待って下さい!!命令したのは宰相殿で国王様は何も…」
「宰相も掌で転がせない王など所詮民を苦しめる王となるだけです。遅かれ早かれ私が潰していたでしょう。」
「そんな…」
騎士団長はガックリと膝を付いた。
「騎士団長、覚えておけ。これからはお前にも役に立つ事だ。王の替えは幾らでもいる、宰相ともなればもっとだ。逆らえなかったのなら総帝様宛に一か八かでも手紙でも書いてみるべきだったんじゃねえか?そうすりゃ、犠牲者もお前も苦しむ事は無かっただろうな?」
騎士団長はラファイの言葉にハッとした。
「し、しかし…私の出した手紙など、総帝様が読んでくれるのでしょうか?」
「私は私宛に届いた手紙は誰からであろうと必ず目を通しますよ?」
「そうじゃな、総帝様は毎日届く何百という文に目を通しておるぞい?」
騎士団長は何百と言う数にも驚いた。
「まだ…まだ私はやり直せるでしょうか?私は幼少の頃より騎士団に憧れ、何時かは騎士団員となり住民達を守るのだと思ってここまて来ました。今からでも守れるでしょうか?」
「騎士団長、貴方の志が真なら今からでも遅くないですよ。私達に協力して下さい。まずは貴方に闇帝を密かに付けます。宰相に接触し、証拠を得るのです。」
「分かりました!!お任せ下さい!!」
騎士団長は敬礼をした。
その後、騎士団長に闇帝カイテルが付き宰相と接触するのを待つ事になった。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる