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領土奪還
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しおりを挟むクロードは夜、自室で作業を始めた。
マキナの結晶を取り出し、クロードの魔力で満たした結界の中で慎重にマキナの結晶を半分にした。
後は鉱石魔法を使ってチェーンと結晶に装飾を施して出来上がりだ。
「マキナ、これで何時でもカイテルと一緒に居られますよ?」
クロードはカイテルにマキナの結晶を使ったネックレスを作った。
クロードは目覚めてから帝宮の裏手に楓の墓を作った。
ガライルにも協力して貰い、立派な墓になった。
小さな宮殿の様な建物の中に楓のクリスタルを安置し、何時でも楓に会いに行ける様にしたのだ。
翌日、クロードはカイテルにネックレスを渡した。
カイテルは涙を流しながら大切そうにネックレスを受け取り首に付けた。
その後クロードはラファイと国を巡回しに向かった。
私服ではあるが、クロードは箒ラファイはボードに乗り上空から巡回する事にした。
ガライルが提案した壁はもう半分程出来上がっており完成までそう時間は掛からないだろう。
食料ドームを視察して問題無かったので今度は国の端を巡回して行く。
何時の時代も不思議な事に貧しい者は国の端に追いやられる。
「やはりスラムが出来てしまうのですね?」
「あぁ、何時の時代も変わらねえよ。私腹を肥やす者が居れば貧しい者も居る。」
「配給があるのに何故でしょうかね?」
「どっかにちょろまかしてる馬鹿が居るんだろうよ?スラムの配給は毎日一人に付きパンが一個だそうだ。どうするクロード?」
ラファイがニヤリと笑った。
「へ~…人が一日パン一つで生きて行けるとは思いませんね?そうですね、王族貴族にも同じ配給にしましょう?配給の権限は総帝にありますからね。今までは国が幾つかあったので王族に委託していましたが今は委託する必要は無いですから。ラファイ、帰って王族に通達しましょう。」
「そう言うと思ったぜ。」
ラファイは満足そうに笑った。
帝たる者、貧しい者の味方でなくてはならない。
出来れば貧しい者を無くしたいのが本心だ。
「書類を持って直接行きますか?後から抗議文が来ても面倒なので思いっきり脅して来ちゃいましょう。」
「なら帝集めるか?」
「そうして下さい。俺の執務室に集合です。俺はそれまでに書類を作っておきます。」
クロードとラファイは別れそれぞれ準備を始めた。
ラファイと別れ執務室に戻ったクロードは総帝の紋章が入った特別性の紙にスラスラとペンを走らせていた。
それと同時に何故配給制度があるにも関わらず貧富の差が生まれてしまうのか考えていた。
勿論、貴族と言う者が居る限り差は否応なしに生まれてしまうがそれにしても500年経った今でも進歩が無さすぎる。
「思い切って貴族を無くしますかね?」
配給の量も王族、貴族、庶民と量が減って行くのにもクロードは疑問をずっと感じていた。
初代の総帝が決めた事だが、クロードはこの制度を一新したいとも考えていた。
「それだと貴族からの反発が酷いでしょうから、配給の量を一律にしますか?」
ブツブツと言いながらもペンを止めないクロードに声が掛かった。
「儂も配給の量は一律で良いと思うのぉ。昔から疑問じゃった、配給に差があるのはおかしいと思っとった。」
「ガライルもそう思いますか?貴族の廃止は今では無いですね、これはタイミングが重要ですから。今後は配給を身分関係なく一律としましょう。家が無い者には与えます。仕事も無いのなら斡旋しましょう。それと食料ドームを増設しましょうか?」
「場所がねえだろう?」
ラファイを戦闘にワラワラと帝達も揃った。
「うーん、今のドームが西にあるので西の領地をドームをあと二つ建てられる位取り戻しましょうか?」
「「戦うの?」」
眠そうな双子の目が輝いた。
そう言えばガライルが鍛え過ぎて双子がちょっと戦闘狂になってしまったと嘆いていた。
「戦いますよ?二人共存分にやっちゃって下さい。」
「「うん、分かった。」」
「後は結界を延長して、ガライルに壁を増築して貰えば何とかなると思いませんか?」
「確かにそうですね。」
カイテルも納得した様に頷いた。
「先ずは王族と貴族に庶民と同じ思いをして貰いましょう。」
配給で贅沢をしている王族や貴族、その為に庶民に行き渡るはずの配給は減り末端の住民は一日パン一つで暮らしている現状は何とかしなければならない。
「500年前に俺はかなり王族達を断罪した覚えがあるんですが…気の所為ですかね?」
「いえ、気の所為ではありませんよ。僕も覚えていますから。500年も経てば忘れてしまうものですよ。」
カイテルは呆れた様に笑った。
そうですね、人は忘れてしまう生き物です。
良い事でも、悪い事でも…しかし、帝の呪いにかかっている俺達は忘れる事は出来ない。
この世界に起こった全ての事を嫌でも覚えているのです。
他の国の王族は生き残った者は貴族になったと聞いた。
殆どは魔族に殺されてしまった様だが。
「さぁ、書類は出来ました。行きましょうか?」
「国王の驚いた顔が目に浮かぶな?」
ラファイはクックッと笑った。
「そう言えば、俺は国王とは初対面ですね。」
「そうだのぉ、クロード様はまだ会った事は無いのぉ。更に代がかなり変わって居るから初対面も無理無かろう。」
ガライルはそれにまだ目覚めたばかりじゃらと付け加えた。
「楽しみですね?どんな王でしょうか?」
「期待はせん方が良いぞ?」
ガライルは意味深な事を言った。
ラファイも同意見らしく頷いていた。
そんなに微妙な王なのでしょうか?
それからクロードを先頭に帝達は王城へ向かった。
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※申し訳ありません。作者緊急入院の為、一週間程更新出来ないかもしれませんがこれからも宜しくお願い致します。
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