うちの総帝様は最強なのだが如何せん天然で…

凪 冬夜

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領土奪還

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王城は昔は国の西にあったのだが、今は国の中心に移動していた。
そこにも王族の下心が見え、クロードは顔を顰めた。

「ラファイ、何故こんな中心地に王城があるんですか?これでは王族は国民を守れないでしょう?」

「皆まで聞くな…ガライルが仕方なく王城をこっちに移したんだ。」
ラファイは心底嫌な顔をした。

「つまり…今の王族は腐ってるんですね?」
帝達は目を反らし、誰も反応を見せなかった。

「では質問を変えましょう。貴方方はこんな腐った王族を野放しにしていたんですか?」
ラファイは諦めず顔を反らし、ガライルは顔を引き攣らせ、カイテルは真っ青だ。
リナリアは双子を起こそうとしているが、双子に逃げているのが見え見えだ。

「もう分かりました。取り敢えず行きましょう。」
クロードと帝達は王城の正門に立った。

「私は総帝、王に謁見に来た。速やかに通しなさい。」
クロードが拡声魔法を使うと街の人々も門兵もざわついた。

「門兵!何をしている!総帝様のお越しだ、何時まで待たせるつもりだ?!」
ラファイが凄むと門兵は慌ててクロード達を通した。
クロード達はそのまま転移で謁見の間に飛ぶと、そこにはまさに歓迎されていない雰囲気が漂っていた。

「これは総帝様、良くお越し下さいました。」
恭しく頭を下げる臣下達を横目にクロードは国王を見上げた。
国王も慌てて王座から降りて頭を下げる。

「そ、総帝様自ら何の様でございましょうか?」
国王を良く見ると少し震えて居るのが分かった。

「私が今日来たのは、王族、貴族への命です。水帝…」

「はい!王族並びに貴族は本日をもって配給は一日パン一つとします。この国の貧しい者が受けている配給と同じにする事とします。これは総帝の命であり覆るものでは無い。身を持って自身の不甲斐なさを実感しなさい。民にはその分しっかりと配給を行います。これまでは配給は王族に任せて来ましたが、本日より配給の権限は総帝とし、全ての民に平等に配給を行うものとします。依存はありますか?」
王や臣下はパン一つ…と呟いている。

「依存など無い筈です。私達帝が作った食料で散々贅を尽くしたのです。依存は認めません。」
クロードがキツい口調で言うと王は縮み上がった。

「しかし…パン一つでは…」
臣下の1人が難色を示す。

「生きて行けませんか?しかし、貧しい者はそのパン一つで今までやって来たのですよ?民の苦しみも知らずに上に立っている貴方方には分からない事でしょう。」

「お主等は知らぬじゃろ?貧しい子供達をしっかりと見た事はあるか?骨と皮になりあれでは将来有望な子供であっても真面に育たんだろうな。もしその子らが将来イリスと成り得る者だとしたらお主等はどう責任をとるのじゃ?この国の現状を知って居るじゃろ?」
土帝ガライルが言うと臣下達も黙った。
イリスの不足はかなり深刻なのだ。
昔はイリスとなる者は貴族でなければならないと主張する者も居たが、今となってはそんな事を言う馬鹿者は居ない。
庶民出のイリスとてとても貴重なのだ。

「通達はしました。今後食料ドームへの王族達の立ち入りを禁止します。以上です。では帰りましょう。」
サッサと去って行くクロード達を国王は黙って見送る事しか出来なかった。
その後、王族貴族は地獄を見た。
貧しい者達は配給に喜び歓喜した。

「これで一つ片付きましたね。後はドームの建設予定地の奪還です。」

「「僕達がやるー。」」
眠そうな双子が声を揃えた。

「クロード様、双子に任せても大丈夫じゃよ?なんちゅうか…戦闘になると人が変わるからのぉ。儂らが出る幕も無いじゃろ。」

「そうなんですか?ちょっと興味がありますが、では雷帝達に任せましょう。二人とも場所は分かってますね?」

「「うん、大丈夫。」」
クロードは遠くから双子の様子を見る事にした。
奪還後直ぐに結界も張らなくてはならないし、ガライルが言う戦闘狂も興味がある。

「では明日の早朝、奪還作戦と言っても殲滅なので思い切りやって下さい。」

「「分かった。」」
一瞬だが双子の目が輝いた気がした。
翌日の早朝クロードは空から雷帝達を見下ろしていた。
勿論隣には土帝ガライルとラファイも来ていた。
既に戦闘は始まっていて完全に雷帝双子の独壇場となっていた。

「なんて言いますか…凄いですね?見た目まで変わるなんて…」

「だろ?」
クロードは唖然とし、ラファイとガライルは呆れた顔で双子を見ていた。

「あれは古代魔法ですか?ガライル?」

「あぁー…なんじゃー…使えると思わんかったんじゃ。あ奴ら一度教えたらいつの間にか使える様になっておった。」
クロードはそうですか…と呟くとまた双子に目線を戻した。
双子の見た目は何時も眠そうな顔とボサボサの寝癖の髪ではなく、髪は真っ白に輝き雷の様に長く伸び額からは雷の角が生え顔や体に赤い不思議な模様が浮かび上がっていた。
バリバリと音を立てながら魔物の間をすり抜けどんどん倒していく。

「もう終わりそうじゃのう?」

「あれ、俺も使いたいですね?」

「クロード様なら使えるじゃろ?詠唱がちと長いが後で教えますぞい?」

「お願いします。」

「「終わった。」」
双子はスッキリした顔でクロード達の所へ戻って来た。

「お疲れ様です。これで結界を張ってガライルが壁を作ってしまえば奪還は完了ですね?」

「どれ、儂は壁を拵えるかのお?」

「お願いします。俺は結界を張っておきます。」
領土奪還は双子の活躍で簡単に終わったのだった。
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