115 / 125
領土奪還
3-8
しおりを挟むクロード達が去った後、彼女は残った紅茶を飲み干すと窓際にあるベットに飛び込んだ。
「クロード…マスターの敵…。何故なの?彼を見ると懐かしい…。」
彼女の独り言はベットの横に飾られた花しか知らない。
エデンに戻ったクロードはルナに頼んで彼女の監視をお願いし、エデンから護衛をあの家に送った。
「良いけれど、私は行かないわよ?下級の眷属に行かせるわ。嫌な感じがするのよ、私はクロードから離れないわ。」
「それで良いです。宜しくお願いしますルナ、逐一報告を。」
「分かったわ。」
ルナはフワリと消えた。
彼女が現れてからルナとラウは出来るだけクロードから離れようとしなかった。
ラウも同じく何か感じているのか、執務室ではクロードの足元で丸くなって眠る様になったのでクロードはラウ用のフカフカのクッションを用意したのだった。
「ラウ、彼女どう思いますか?」
クロードは羽根ペンを起き寝ているラウに声を掛けた。
ラウは気だるそうに片目を開けると大きな欠伸をした。
気持ちよさそうに伸びをするとクロードの隣にお座りした。
「うむ、あ奴は楓では無い。まずあ奴はからは人の匂いがしない。」
「人の匂いがしない?」
クロードは眉間に皺を寄せると考え込んだ。
「ラウ、どう言う事ですか?」
「人の匂いがしない、つまりあ奴は人では無い。簡単な事だ。かと言って魔物の類でもない。」
「人でも無く、魔物でも無い…。」
クロードは混乱した、そんな存在が本当に居るのだろうか?
「クロードー!!」
そこへルナが飛び込んで来た。
「ルナ、どうしたんですか?そんなに急いで。」
「そりゃ急ぐわよ!あの女…あの女は!」
息を切らしながら捲し立てるルナの報告を聞くクロードの顔色はどんどん悪くなって行った。
「つまり、彼女の狙いは俺だと?」
「そうよ!クロードを狙ってるの!あの女、クロウの手下よ!しかも楓の髪の毛から生まれたらしいわ!」
「楓の?」
クロードから殺気が溢れた、その瞬間クロードは楓の墓に転移し注意深く楓のクリスタルを探った。
「んっ?」
入念に触って行くと少しだが手に引っ掛かる部分がある。
「穴…ですかね…。」
目には見えずらい位のちいさな穴が楓の髪の毛まで伸びていた。
「やられましたね、まさか楓の髪の毛から彼女を作ったんですか?」
似ている筈だ、楓の髪の毛から作ったのなら彼女は楓そのものなのだから。
「楓、すみません。俺は楓の分身を恐らく殺さなければならない。許して下さい。」
楓のクリスタルに額を付けると少し温かい気がした。
それからクロードは帝会議を開き事実を伝え対策を考える事になった。
「総帝様は大丈夫かのぉ?」
ガライルが心配そうにクロードを見た。
他の帝達も同じ気持ちでクロードを見ていた。
クロードはそんな帝達の心配を余所に涼しい顔をしていた。
「あれは楓じゃありませんから、私は容赦無く殺りますよ?」
ニコニコと答えるクロードに帝達は寒気を覚えた。
クロードの目は全く笑っていなかったからだ。
最愛の人を愚弄された怒りがヒシヒシと伝わって来る。
流石にクロードの殺気に雷帝の双子も目を覚ました。
「クロウの思惑が分かりません。私が楓の偽物如きで動揺すると思ったのか?はたまたそれ以外の何か狙いがあるのか?どう思いますか?」
「楓様を使うならやはり総帝様が狙いなんじゃないかしら?」
「ふむ、儂もそう思うが…あの女は何の行動もしとらんじゃろ?」
「様子見で良いんじゃねえか?」
「あの~…」
そこに気まずそうに闇帝カイテルが手を挙げた。
「どうしました闇帝?」
「あの、彼女は恐らく楓様の髪から作られたホムンクルスだと思うんです。」
「ホムンクルス?」
「はい、古い文献でしか読んだ事は無いのですが…遠い昔に忘れ去られた術です。失敗すればそれは人の形すら取らないと、成功しても恐らくは楓様に似ているだけで記憶までは無いと思います。」
「ふむ、クロウなら使えそうじゃの。」
帝達は今後あの楓擬きを監視し、様子を見る事にした。
0
あなたにおすすめの小説
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
勝手にサインしろと仰いましたので、廃嫡書類に国璽を押して差し上げました
鷹 綾
恋愛
「確認? 面倒だ。適当にサインして国璽を押しておけ」
そう言ったのは、王太子アレス。
そう言われたのは、公爵令嬢レイナ・アルヴェルト。
外交も財政も軍備も――
すべてを裏で処理してきたのは彼女だった。
けれど功績はすべて王太子のもの。
感謝も敬意も、ただの一度もない。
そして迎えた舞踏会の夜。
「便利だったが、飾りには向かん」
公開婚約破棄。
それならば、とレイナは微笑む。
「では業務も終了でよろしいですね?」
王太子が望んだ通り、
彼女は“確認”をやめた。
保証を外し、責任を返し、
そして最後に――
「ご確認を」と差し出した書類に、
彼は何も読まずに署名した。
国は契約で成り立っている。
確認しない者に、王の資格はない。
働きたくない公爵令嬢と、
責任を理解しなかった王太子。
静かな契約ざまぁ劇、開幕。
---
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる