PatchyX-パッチークロス-

磯部ショーヤ

文字の大きさ
9 / 27
【第3世:もうひとりの自分】

エリートファイブ(社長視点)

しおりを挟む
    落ち着いて考えてみると個性的ではあるが、何故この非社会的な人間がこの会社にいるかなんて、考えれば何もおかしいことなんてないじゃないか。



 この五人を雇用したのは他でもないこの会社の社長である私なのだから。



 そしてこの四十階建ての高層ビルに社員はこの幹事五人と私だけ。
 それでも年商五百億を稼ぎだす異色の会社。服装や態度が非社会的でも結果を出していることに違いはない。



 冷徹な鉄仮面で眼鏡スーツの秘書『鈴木一哉すずき かずや』は私だけを敬い敬語で話すが、他の従業員には氷のような冷徹さを見せる。特に兄である神一郎のことは嫌いみたいだ。細身だが、底無しの胃袋を持つ大食い。



 糸目で京都弁の『東大寺神一郎とうだいじ しんいちろう』は鈴木の双子の兄。
    双子なのに苗字が違うのは、親が離婚して再婚して~みたいな?と大チャンは濁しているが、真相は鈴木も語ろうとしない。

    役職は社長補佐だが、補佐は秘書の鈴木がやってくれるので役職の肩書きだけなところがある。



 『モチーフィナル・マルジェラ』通称モチーフはこの会社の料理人だ。
    料理もお菓子も飲み物も…飲食すべてモチーフの担当で、和洋折衷どの国の料理でも作れてしまう天才だ。

    しかし、天才が故にそこに目をつけた底無しの胃袋を持つ鈴木によく食料庫の食材を平らげられ、懐も精神的にも日々泣かされている。



 社会どころか世間的にもその格好はアウトだろと言いたい全身ジャージの『赤木黒一あかぎ くろいち』通称チリ毛は、便所サンダルにボサボサの頭から不潔な感じが漂うが、実はこの中で一番の潔癖症である。
 
    役職はもちろん清掃員。この無駄にそびえ建つ大きな建物に塵ひとつないのはチリ毛のおかげ。
    掃除を徹底してやるせいなのか、神経質な性格のせいなのかわからないが、目の下のクマが消えることがない。



 そして一番気になるところではあるこのビジュアル系の男は、『綾小路照光あやのこうじ てるみつ』通称ポチ。

    しかし、ポチの外見は猫目で爪先も尖っていてまるで猫のよう。
   それなのに何故呼び名がポチなのかというと、この会社の"居候"だからだ。役職は情報管理官という他社から情報を得る収集(スパイ)活動が主なのだが、その仕事がないことが多いせいで、この会社に居座り、タダ飯を食べ、社長に忠誠を誓う姿からポチと嫌味もふくめ大チャンが名付けたのがきっかけ。

 しかし、それを都合良く勘違いしたポチは大チャンを名付け親として気に入る…………というか、まぁ、ホモ寄りのバイセクシャルなので大チャンを狙っている。
    本人曰く男も女もイケるらしいが、雑食というか、そんなところも犬っぽいと私は思う。



 鈴木にしても何にしても、そんな個性だらけの人材を雇った私も、改めて考えると異色だらけな会社だと思う。

 それでも、ひとりひとりが何かに特化したところを持っているので、私は彼らを『エリートファイブ』と呼んでいる。
 会議もそのエリートファイブの今後の活動やら何やらを話すミーティングのようなもの。



 そんな異色すぎる会社に異色すぎる社員。



 それが私の会社、クロス社なのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

婚約者の幼馴染って、つまりは赤の他人でしょう?そんなにその人が大切なら、自分のお金で養えよ。貴方との婚約、破棄してあげるから、他

猿喰 森繁
恋愛
完結した短編まとめました。 大体1万文字以内なので、空いた時間に気楽に読んでもらえると嬉しいです。

婚約破棄のあと、あなたのことだけ思い出せない

柴田はつみ
恋愛
伯爵令嬢セシリアは、王宮の舞踏会で王太子レイヴンから公開の場で婚約破棄を言い渡され、その場で倒れた。 目覚めた彼女は、礼儀も常識も覚えているのに――ただ一つ、レイヴンだけを思い出せない。 「あなたは、どなたですか?」 その一言に、彼の瞳は壊れた。 けれどレイヴンは何も語らず、セシリアを遠ざける。彼女を守るために、あの日婚約を捨てたのだと告げられないまま。 セシリアは過去を断ち切り、王宮の侍女として新しい生活を始める。 優しく手を差し伸べる護衛騎士アデルと心を通わせていくほど、レイヴンの胸は嫉妬と後悔で焼けていった。 ――守るために捨てたはずなのに。忘れられたまま、他の男に笑う彼女を見ていられない。 一方、王宮では“偽聖女”の陰謀と、セシリアの血に眠る秘密が動き出す。 記憶を取り戻せば、彼女は狙われる。取り戻さなければ、二人は永遠に届かない。 これは、忘れてしまった令嬢と、忘れられてなお愛を捨てられない王太子が、もう一度“選び直す”恋の物語。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

私たちの離婚幸福論

桔梗
恋愛
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

処理中です...