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【第5世:綾小路照光の行方】
赤木黒一の苦手なもの(チリ毛視点)
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「…危機一髪といったところでしょうか…」
マルジェラが爆破された自分らの知っている面影のなくなった会社を見上げながらポツリと呟いた。
その隣で社長はマルジェラに手を引かれて、自分の会社から目を逸らしている。きっと悲しかったり、怖かったり、いろいろな感情に苛まれているのだろう。
「…早くブラッド博士の所に行きましょう。赤木さん、案内をお願いします」
今からマルジェラと社長と俺たち三人は、ブラッド博士の所に行かなければいけない。
本来なら、あんな所に………いや、正確にはあの人に会いたくないのだが、こうなってしまった以上、頼らざるを得ない。
「ブラッド博士って誰なの?」
道中、社長が俺たち二人の顔を見つめながら聞いてくる。
その質問に俺は答えたくなくて、グッと言葉に詰まった。
その俺の反応を見たマルジェラは、やれやれと肩をすくめて、俺の代わりに説明を始めた。
「ブラッド・ウッド博士といって、僕たちが元いた会社の医療と科学を担当していた 人です。とても切れ者で、頭が良すぎて、良く言えば天才、悪く言えばぶっ飛んだ人ですね…」
「ぶっ飛んだ………」
その言葉に耐えかねた俺は、ついに口を挟んでしまった。
「ぶっ飛んだどころか、あの人は狂ってるよ。あれが父親なんて、恥ずかしくて言えたもんじゃないよ」
「そっか、ブラッド博士はチリ毛のお父さんなんだね」
社長にそう言われて、流れで父親だと喋ってしまったことに気づいてハッと口を塞ぐも、マルジェラにはまた肩をすくめられ、俺は顔を赤らめてしまった。
そして、マルジェラは肩をすくめたまま、そのまま言葉を紡いだ。
「しかしまあ、ブラッド・ウッドなんてダサイ名前つけたもんですよね。ブラッドは血、血は赤い。そして、ウッドは木…………、つまり、ブラッドウッドで赤木ですもんね。ね?そうでしたよね、ご子息の赤木黒一くん?」
「こっちを見るな」
そんな恥ずかしいネーミングセンスの男に今から会いに行く、…しかも助けを求めに行くと思うと、あの変人がニヤニヤと笑いながら、俺たちの失態を罵る姿が手に取るようにわかって、向かう足取りも重くなる。
「最悪だよ。こんな事態にさえならなければ、あんなキチガイに二度と会うつもりもなかったのに」
『お父様にそんな酷いこと言うもんじゃないよ~、ブラックワン~』
ブラックワン。
突然聞こえたその呼び名と声は、俺が二度と聞きたくないと思っていた声で、その声は社長の右手首から聞こえてきた。
もしやと思い、社長の右袖を捲ると、社長の右手首にはめられた黒いブレスレットからその声は聞こえていたのだった。
ただのお飾りのブレスレットではないそれは、社長の両手首にブレスレット、両足にアンクレット、そして首にチョーカーとして5ヶ所に付いている。
そのブレスレットはひとつひとつ機械仕掛けになっていて、スピーカー用の小さく空いた穴から俺の聞きたくない声が聞こえてきたのだった。
「まさかこの枷に通信機能があったとはね…」
その『枷』という単語に社長は少し反応して眉間を寄せたのが俺の視界の済で確認できた。
その反応で俺は自分の失言に気づいたが、あえて気付かないふりをしてこの場をやりすごそうとしたが、もちろん失言に気づいていたマルジェラが社長の後ろからものすごい圧で俺を威圧してくる。
後で社長のいないときに小言を言われるに違いない…。
「それにしても『黒一』をブラックワンなんて気持ち悪い呼び方しないてくれよ、親父」
その通信機の声の主は、俺の苦手な父親の声で、こいつが先程の話でブラック博士と呼ばれていた男だ。
『いいじゃないか、コードネームみたいで♪』
「嫌だよ。…それより、なんでこのブレスレットに通信機能なんてあるのさ。今まで知らなかったよ」
『いやいや、社長がつけてるその五個の機械は、通信機能だけじゃないんだよ?他にもGPSや天気予報、時間、万歩計、さらに社長のBPMや体脂肪率、社長のいろんな体調の変化がわかるようになっていて………』
「健康器具かよ…」
『そんなことより、君たちは時間が一分でも惜しいんじゃないのかい?聞かせてもらったよ、ブレスレット越しにね。………五等爵が来たんだろ?』
そう親父に言われて、俺とマルジェラはお互い顔を見合わせ、我に帰ったように勢い良く社長の手首を掴んで自分の口元に寄せた。
「そうなんだよね!社長は殺されかけるわ、会社は爆破されるわ、綾小路は俺たちを庇って………!」
そこまで発すると、続きの言葉はそうでないことを祈りながら口ごもるしかなかった。
「『とにかく話は屋敷で聞くから付いてきなさい』」
その親父の声は、ブレスレットからと俺たちの真後ろの両方から聞こえた。
振り向くと、髪を真ん中から白と黒で分け、白の部分だけを長く伸ばした奇抜な髪型をした丸眼鏡の男がいた。
男は俺と目が合うなりニヤニヤと笑いだして、その笑みがまた俺の背中を逆撫でしてくる感覚に襲わせる。
俺はやっぱりこの男が、親父が、苦手だ……。
マルジェラが爆破された自分らの知っている面影のなくなった会社を見上げながらポツリと呟いた。
その隣で社長はマルジェラに手を引かれて、自分の会社から目を逸らしている。きっと悲しかったり、怖かったり、いろいろな感情に苛まれているのだろう。
「…早くブラッド博士の所に行きましょう。赤木さん、案内をお願いします」
今からマルジェラと社長と俺たち三人は、ブラッド博士の所に行かなければいけない。
本来なら、あんな所に………いや、正確にはあの人に会いたくないのだが、こうなってしまった以上、頼らざるを得ない。
「ブラッド博士って誰なの?」
道中、社長が俺たち二人の顔を見つめながら聞いてくる。
その質問に俺は答えたくなくて、グッと言葉に詰まった。
その俺の反応を見たマルジェラは、やれやれと肩をすくめて、俺の代わりに説明を始めた。
「ブラッド・ウッド博士といって、僕たちが元いた会社の医療と科学を担当していた 人です。とても切れ者で、頭が良すぎて、良く言えば天才、悪く言えばぶっ飛んだ人ですね…」
「ぶっ飛んだ………」
その言葉に耐えかねた俺は、ついに口を挟んでしまった。
「ぶっ飛んだどころか、あの人は狂ってるよ。あれが父親なんて、恥ずかしくて言えたもんじゃないよ」
「そっか、ブラッド博士はチリ毛のお父さんなんだね」
社長にそう言われて、流れで父親だと喋ってしまったことに気づいてハッと口を塞ぐも、マルジェラにはまた肩をすくめられ、俺は顔を赤らめてしまった。
そして、マルジェラは肩をすくめたまま、そのまま言葉を紡いだ。
「しかしまあ、ブラッド・ウッドなんてダサイ名前つけたもんですよね。ブラッドは血、血は赤い。そして、ウッドは木…………、つまり、ブラッドウッドで赤木ですもんね。ね?そうでしたよね、ご子息の赤木黒一くん?」
「こっちを見るな」
そんな恥ずかしいネーミングセンスの男に今から会いに行く、…しかも助けを求めに行くと思うと、あの変人がニヤニヤと笑いながら、俺たちの失態を罵る姿が手に取るようにわかって、向かう足取りも重くなる。
「最悪だよ。こんな事態にさえならなければ、あんなキチガイに二度と会うつもりもなかったのに」
『お父様にそんな酷いこと言うもんじゃないよ~、ブラックワン~』
ブラックワン。
突然聞こえたその呼び名と声は、俺が二度と聞きたくないと思っていた声で、その声は社長の右手首から聞こえてきた。
もしやと思い、社長の右袖を捲ると、社長の右手首にはめられた黒いブレスレットからその声は聞こえていたのだった。
ただのお飾りのブレスレットではないそれは、社長の両手首にブレスレット、両足にアンクレット、そして首にチョーカーとして5ヶ所に付いている。
そのブレスレットはひとつひとつ機械仕掛けになっていて、スピーカー用の小さく空いた穴から俺の聞きたくない声が聞こえてきたのだった。
「まさかこの枷に通信機能があったとはね…」
その『枷』という単語に社長は少し反応して眉間を寄せたのが俺の視界の済で確認できた。
その反応で俺は自分の失言に気づいたが、あえて気付かないふりをしてこの場をやりすごそうとしたが、もちろん失言に気づいていたマルジェラが社長の後ろからものすごい圧で俺を威圧してくる。
後で社長のいないときに小言を言われるに違いない…。
「それにしても『黒一』をブラックワンなんて気持ち悪い呼び方しないてくれよ、親父」
その通信機の声の主は、俺の苦手な父親の声で、こいつが先程の話でブラック博士と呼ばれていた男だ。
『いいじゃないか、コードネームみたいで♪』
「嫌だよ。…それより、なんでこのブレスレットに通信機能なんてあるのさ。今まで知らなかったよ」
『いやいや、社長がつけてるその五個の機械は、通信機能だけじゃないんだよ?他にもGPSや天気予報、時間、万歩計、さらに社長のBPMや体脂肪率、社長のいろんな体調の変化がわかるようになっていて………』
「健康器具かよ…」
『そんなことより、君たちは時間が一分でも惜しいんじゃないのかい?聞かせてもらったよ、ブレスレット越しにね。………五等爵が来たんだろ?』
そう親父に言われて、俺とマルジェラはお互い顔を見合わせ、我に帰ったように勢い良く社長の手首を掴んで自分の口元に寄せた。
「そうなんだよね!社長は殺されかけるわ、会社は爆破されるわ、綾小路は俺たちを庇って………!」
そこまで発すると、続きの言葉はそうでないことを祈りながら口ごもるしかなかった。
「『とにかく話は屋敷で聞くから付いてきなさい』」
その親父の声は、ブレスレットからと俺たちの真後ろの両方から聞こえた。
振り向くと、髪を真ん中から白と黒で分け、白の部分だけを長く伸ばした奇抜な髪型をした丸眼鏡の男がいた。
男は俺と目が合うなりニヤニヤと笑いだして、その笑みがまた俺の背中を逆撫でしてくる感覚に襲わせる。
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