転生貴族の異世界無双生活

guju

文字の大きさ
112 / 136

領地運営と戦争準備⑨

しおりを挟む
 夕刻、俺は陛下から聞かされていた貴族達に挨拶を済ませ、いよいよ始まるパーティーに向けて身支度を始めていた。

 パーティーへの武器の持ち込みは原則不可能とするのが常識であり、それは主でさえも例外ではない。勿論、持ち込んでもいいのだが、あまりいい顔はされない。
 そのため、俺はキウンを服の下に控えさせた。
 
 街の警備は基本的にネメスの部下である悪魔達に任せ、屋敷の警備にスーリヤの部下を配置した。
 街門には最上級悪魔、天使を配置させ、基本的には街への出入りを一時禁止にしている。

 俺は主ということもあってか、赤い目立つ服を着ることを強制された。
 チャンが雇っていたメイド長に服を選ばせたのだが、このくらい目立たなければならないと言われた為、仕方なく着ている。

「主様、予定していた人数がお揃い致しました。陛下に置かれましては、現在こちらへ向かっていると護衛のものから連絡が」

 傍に控えていたネメスが、密かに陛下の護衛へと向かわせていたシャドウデーモンから連絡を受けたようだ。

「分かった。陛下が到着次第、スーリヤを向かわせろ。くれぐれも粗相のないように出迎えてくれ」
 
 俺はネメスに指示を出し、髪と同じ色の銀色のネクタイを締める。
 
「では、アルト様。そろそろ会場の方へ」
「うん、すぐ行こう」

 年を取ったメイド長はその場で別れ、若く美しいメイドが先頭を歩く。後ろにはスーリヤとネメスが仕える。

 前のメイドがかなり見劣りする程に、後ろの2人の顔が整っている。
 これは、前のメイドが可哀想に感じてくるな。決して整っていない訳では無いんだけどな。

 そんなことを考えながら、人が集まる会場へと足を進めた。

 会場へと着くと、大きな2枚扉の脇に控えた2人のメイドが、勢いよくその扉を開いた。
 この為にと態々呼び寄せた聖歌隊が、所謂国家を演奏する。 
 その迫力ある演奏と周りからの視線に包まれながら、俺は会場の中心へと向かった。

 国家が終わる頃に中心につくようにと、ペースを合わせながらゆっくりと歩き、丁度中心へと着いた頃、さほど長くない国家の演奏が終わった。

 聖歌隊へなのか到着した俺へなのか分からないが、盛大な拍手が場を包み込む。
 そっと右横に差し出された盆の上には、ワイングラスが乗っており、俺はそれを手に取った。

 日本では、このような場には司会がいるのだろうが、如何せんここは異世界だ。
 司会の進行に従う貴族はおかしいなどと誰が言い出したのかは知らないが、どうやらそのような文化らしく、始まりの音頭は俺が俺のタイミングで取るらしい。

「今宵は、私の為にお集まり頂き感謝申し上げる。どうか、楽しんで行ってください」

 俺がグラスを上へと上げると、それに続いて皆がグラスを掲げた。

 そうして、パーティーが始まった。

 今日のパーティーは陛下が来る事は基本的には伏せており、知っているのは俺が事前に部屋に出向いた者だけだ。
 特に隠すことに理由がある訳では無いのだが、皆も突然来た方が驚いてくれるだろう。

 正直言うと、このつまらないパーティーで俺が楽しみにしてるうちの一つである。

 そんなこともいざ知れず、形式的な挨拶が繰り広げられていた。

「アルト様、この度はお招き頂きありがとうございます。私は、デオポルド子爵に御座います。以後、お見知りおきを」

 隣に妻を連れたデオポルド子爵は貴族派であり、あまり俺のことを良くは思っていないようだ。
 個人で軍隊にも勝る力を持ち、貴族派の3代頭であるチャン公爵をたった数日で滅ぼした相手が、国王に着くのが嫌なのだろう。

 ちなみに、隣の妻は後ろにいるネメスの顔を見て目をハートに変えているのが、露骨に見て取れる。
 禿げていて肥満体型の子爵と比べれば、仕方が無いことだろう。

「子爵殿、これから宜しく頼む。貴殿の領地の絹は美しいと聞く。いつか、そちらに出向いてもよいだろうか? 」
「えぇ、是非とも起こし下さい。その際は、街を上げて歓迎致します」
「そうか、それは嬉しいものだ」
「では、本日はこの辺りで」

 そう言って、頭を軽く下げ颯爽と立ち去っていった。

 このやり取りが何度も何度も続くのだ。挨拶をしてきた貴族の何かを話題にし、それを少し褒める。そして、また行くねと伝える。

 陛下に覚えておけと渡されていた各貴族の領地の特産品一覧が、まさかこんな所で役に立つとは思わなかった。
 と言うより、陛下はこの為に覚えておけと言ったのだろうな。

 
しおりを挟む
感想 83

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

少し冷めた村人少年の冒険記 2

mizuno sei
ファンタジー
 地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。  不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。  旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

1つだけ何でも望んで良いと言われたので、即答で答えました

竹桜
ファンタジー
 誰にでもある憧れを抱いていた男は最後にただ見捨てられないというだけで人助けをした。  その結果、男は神らしき存在に何でも1つだけ望んでから異世界に転生することになったのだ。  男は即答で答え、異世界で竜騎兵となる。   自らの憧れを叶える為に。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...