いつかまたおなじ空のしたで

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空の下

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なににも望まない。
日が上り暖かな日が始まり、しばらくすれば夜の帷が降りる。
ふと視線を泳がせれば、相変わらず女神が祈っている。
どのくらいこうしているだろうか。
足に僅かな重みを感じて目をやると、ブーツをかじるリスと目があった。
木の実でも探しているのか?
私は以前見つけた実なる木の辺りを指差して見せた。
リスは暫し辺りを見回すと、私が指差す方に駆けて行った。
ある日は子連れの熊が現れた。木々の葉が色づく季節だった。冬籠りの前に蓄えたいのだろう。
私は森の外れにある甘い実のなる木の方を指差して見せる。
あの木は唯一この森で甘い果実を実らせる。
熊は何度も私の指差す方角を確認すると、子ども達を連れ立って去って行った。
ある朝、自分の傍らに、熊に教えた果実が置かれていた。
あの熊の母親だろう、律儀なものだ。
しかし、いつからか私は食事をしない。
だが腐らせるのは忍びない、私は祠の脇に果実を埋めた。
何年かすれば実をつけるようになるだろう。
森の外れには人間も入ってくる。
熊の親子もここに食べ物がある方が安全に違いない。
果実の木が実をつける頃、私は自分が足を動かせなくなっている事に気がついた。
祠に目をやると、果実の木は祠を抱えるように育ち、さながら祠を守るようにあつらわれたようだった。
「ふふ」
久しぶりに自らの口角が上がるのを感じた。

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