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しおりを挟む振り向きざまに駆け出した私の目の前には鎧を着た男が3人、1人はミーシャの折れた左腕を掴んでいる。
もう1人は丸いなにか?を持っている、あの丸いのがたぶんサーチャー。
そしてもう1人、1人だけ白い鎧を着て立派な剣を持っている、、たぶんこいつがグレン!
おじさんとおばさんのかたき!
「ほう、しぶとく生きていたか」
黙れグレン、今はお前に用はない!
私はミーシャを助けるんだ!
「リーナ!」
「ミーシャ!!」
その時、私の思いもよらない事がおこった。
ミーシャを捕まえていた男が、ミーシャを離したのだ。
え?罠?
なんでも良い、ミーシャを連れて逃げる!
「ミーシャ!こっち!」
私は走りながらミーシャに両手を伸ばした。
次の瞬間、グレンの剣がミーシャを袈裟斬りにした。
「!!!」
ミーシャにたどり着いた私は崩れ落ちる彼女を支えたる。
「リ、、、ナ、、」
「ミーシャ!ミーシャ!」
「ふむ、気刃も使えるな」
グレンがさも自慢げに剣をくるくると回してみせる。
「グーレーンー!!」
私がつよかったらこんなやつ絶対に野放しにしないのに!
「ん、俺様を知っているのか?」
なんだコイツ、、睨まれてなに嬉しそうに言ってるんだ?、、、
「知らない、、、さっきまでの会話を聞いてただけ」
ミーシャを抱きしめながら私は3人から目を離さない。
「そうか、それなら名乗っておこう!」
誇らしげに地面に剣を突き立ててグレンが言った。
「俺様は勇者グレン!アメリアが誇る勇者の1人だ!この白金の鎧と聖なる剣が俺様の勇者たる証だ!」
だれもそんな事聞いてない。
私はミーシャを抱えるように後ずさりながら睨み続けた。
「リーナ、、」
ミーシャが搾り出すように私を呼ぶ。
「ミーシャ!しゃべったらだめ!すぐ逃げるよ!」
「リーナ、、聞いて、私はもう無理だから、お父さんとお母さんのところにいくから、、」
動かせる右の手だけで私の背中をぽんぽんしながらミーシャが言った。
そんな事言わないでよ、、。
でも、もうだめなのかな?
グレンは「気刃」とか言ってるけど斬撃を剣の長さより遠くに放てるみたいだし、、。
走って逃げても2人とも斬られておしまいなんじゃないの?
ぎゅっと歯を食いしばりながらグレンを睨むけど、もう走る元気も出ないよ、、。
「いやだよ!ミーシャあ、、、」
くたりと私にもたれるミーシャに抱きついて、私もへたりこんでしまった。
「ごめんね、、最後に、、」
私の首筋に口付けるようにミーシャが言う。
「、、、なぁに?」
ミーシャを覗き込んで震えながらきいた。
「私の血を、のんで、、」
「!!」
バンパイヤは血を吸った年齢で成長が止まる。今、血を吸えば私は死ぬまで15歳のままだ。そんな事はどうでもいい。
ミーシャの血を、今ミーシャの血を吸ったらそれこそミーシャは出血多量で確実に死んでしまう。
でも、逃げられなかったら、、
そうしたら2人ともきっと死んでしまう。
ミーシャはそれをわかって言ってるんだ、、
「わかった」
ミーシャはもう話す力も残っていないらしく弱々しく微笑んでうなずいた。
「ふむ、最後の別れはおわったか?」
グレンが茶化すように言う声が耳に入るけど、あんなやつもうどうでもいい。
私はミーシャに微笑み返すとおでことおでこをくっつける。
そして、、
ミーシャの首筋に牙を立てた。
ブツッ、牙が皮膚を貫く音が骨伝導で頭に響く。
そして毛並みを濡らしながら溢れ出す血を吸った。
ミーシャの血はとても甘く、それからあったかかった。
口の端から血がこぼれる。私は齧り付いたミーシャの首筋から噴き出す血を夢中で飲んだ。
ごくごく、ごくごくと、、
心臓の鼓動が速まるのが判る。
身体中が熱くなって幸福感が頭を満たす、、、、
私は最後の一滴まで逃すまいとミーシャの血を啜り続けた。
「!!」
ふいに幸福感と高揚感を飛び越して全身に痛みが走った。
運動をしすぎた次の日の筋肉痛。あれの超レベル高いやばいやつ。
体がきしんで耳鳴りがする、、それを感じながら、私はバンパイヤに覚醒するんだ、、そう感じていた。
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