いつかまたおなじ空のしたで

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涙が枯れる。
そんな風な事を聞いたことがあるけど、嘘だって今ならわかる。
私は部屋に入ってから泣き続けて外が明るくなった今もまだぼろぼろと涙を流してトリスに抱きついている。
「慌てることはない、落ち着くまでこうしていてやる」
私は、嗚咽を漏らしながら頷く事しか出来なかった。

泣くのには体力がいる。ついに私は鍛冶屋のリゲスとの約束の3日目までベッドの上からおりることはなかった。
トリスが「水くらい飲め」と言うので水を少し飲んだくらいだ。
店に行かないと、そう思って歩こうとして自分がふらふらな事が分かった。
「軽く何か食べよう」
トリスが優しく言う。
「うん、、、」
トリスはしっていたのかな?
魔族がたくさん殺された事。
セレスティアナが瓦礫の山にされた事。
あれから200年も経っていた事。
また今度聞いてみよう。
そんな風に考えながら、私は杖をつきながら部屋から出て食堂に向かった。
もちろんトリスに付き添われながら。
食堂につくと宿屋のおかみさんが声をかけてくれた。
「あんた!大丈夫なのかい?3日も寝込んで、、心配してたんだよ!」
泣き腫らした顔を見られなくなくてつい顔をそらしてしまう。
「辛い事あったんだねぇ、、、おなかに優しいもの用意するからね」
出てきたのは細かく刻まれた野菜やきのこのスープだった。ちょっとシチューっぽいトロトロしたスープはとても美味しかった。
「あんた達、今日発つんだろ?またきたら顔を見せておくれよ?」
美味しいスープでほんの少し元気が出た私は、なんとか一言だけ絞り出した。
「ありがとう」
おかみさんは、にっこり笑っていた。
支度を済ませ、宿屋を出た私たちはリゲスの店に向かった。
「いらっしゃいませ!」
元気な声の主はマーサだ。
店には何人か武器や防具を物色する客がいて、それなりに繁盛している様だった。
「ちょっとまってくださいね!お父さーん!」
マーサが呼ぶと裏からリゲスが出てきた。
「おう!嬢ちゃん、出来てるぜ」
私たちがカウンターに向かうと、鍵付きのクローゼットから鞘に収まった剣を出してカウンターに置いた。
店中の客の視線がカウンターに集まる。
だが、、リゲスが鞘から剣を抜くとその視線は程なく興味を失ったように散り散りになった。
たしかになんの変哲も無い剣だ。元が聖剣だと知らなければそこら辺の剣士が下げている剣の方が見栄えがいいだろう。
でも、私は意外と気に入っている。なぜなら生まれて初めて手にした真剣だからだ。
うちにいる頃は、にーにーの木剣を触るくらいしかしなかった。
だけどこれからは倒すべき相手をこの剣で倒す!
気持ちが定まった。
そんな風に言うのかもしれない。私は剣を受け取って腰にさげてみた。重い、これが敵の命を奪うんだ、、そう思うと自然に身体に力が入った。
「それとな、、これはサービスだ」
リゲスがサングラスを出してきた。
?グラサン、、どうして?
「そんな顔じゃ、舐めてかかる輩がいるからな」
あー、、、3日も泣いてたんだっけ。
私はトリスをみた、彼女は腕を組んで目を逸らしている。
「ありがとう」
リゲスのグラサンは思ったより暗くない。
「またよろしくー!」
元気なマーサの声に背中越しに手を振って店を出た。
「さて行こうか」
旅支度が済んだ私たちは、改めてここアメリアの王都を後に旅立つべく歩き出した。
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