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しおりを挟むはやめのお昼を食べ終わって、私たちは宿屋の庭にいた。
アリアは支度をしてくると言って部屋に戻っていっていた。
どうしたものだろう?私たちみたいに逃げ回って旅をするためには戦う術も必要だけど、アリアみたいなふつうに暮らせる町娘にそんな力は必要だろうか、、、、。
「お待たせしました!」
庭に出てきたアリアをみて、私はちょっとびっくりした、まったく冒険の支度だ。
というか、私よりしっかりしてるんじゃないだろうか。
長袖長ズボンはもちろん、革の胸当てに手甲膝当て、それとしっかりしたブーツ。
えっ、、この子ふつうに町の子だよね?
アリアに続いて女将さんも出てきて言う。
「ふぅ、この子はね、騎士様に憧れすぎて小遣いもほとんどこういう装備を買ってしまうんだよ」
あー、、そうか、、それでこんなにしっかりしてるのか。
あれ?道具屋のおじさんが女将さんの旦那さんって言ってたよね?あのおじさんと相談してたりして、、、。
「道具屋のおじさんと相談して買いました!」
やっぱり。ん?おじさん?
「お父さんじゃなくて?」
言ってから、しまった!と思った。踏み込んじゃいけない部分だったかもしれない。
「あー、アリアはうちの子じゃないんだよ、、」
「ごめんなさい、、」
言うとアリアがイヤイヤとパタパタ手を振った。
「えっとあのね、私のお父さんは旅商人で、盗賊にその、、私は木箱に隠れてたから助かったけど、、、」
「そうだったんだ、、」
私はそれ以上言えなかった。
女将さんがたすけぶねを出してくれる。
「1人で隠れてたアリアを助けてくれたのが、騎士様たちなんだよ。盗賊をみんなやっつけた騎士様を見てね。それで私も誰かを助ける騎士様になる!って言っていてね」
そうか、、人族同士ではそういう事だってきっとあるよね。
ひと息ついて私はアリアに言った。
「志しは間違ってない、周りの人も手助けしてくれているし」
アリアは真面目にきいている。
「けど、今まで戦い方を習ったりはしなかったの?」
この一言に、アリアも女将さんもピクリとした。
視線をおとしてしまった2人をみてわかった。
誰も本気にしなかった。そういう事だろう、、。
わからなくはない。私とそれほど歳の変わらない女の子が真面目に騎士になりたいなんて。そんなの取り合う大人はいないからだ。まずは基本の戦闘訓練から始まって、読み書きや計算なんかも必要になるだろう。
衛兵だったお父さんだって読み書きや算術は出来た。一緒に習ってにーにーと私も出来るけど。
それよりも騎士なんて大抵は貴族家の三男とかが家督を継ぐより出世の可能性のある騎士団に入るとか、冒険で名をなした屈強な戦士が騎士団に呼ばれたりするものだっていうし。
悩んでいる私をトリスかつつく。
あっ、自分のなかにはいっちゃってた。
「とりあえず、普段の練習をやってみせてよ」
私が言うとアリアは、ほっとしたように表情を和らげて返事をした。
「はい!」
よし元気がいい。
「では!私がやってる稽古をします!」
アリアは木剣を持って素振りを始めた。
立ったまま、剣を振りかぶってブンブンと振り回す。
10回ほどしただろうか。
振り返り宣言する。
「こんな感じです!」
むー、、これは先が長い。私はたまらず肩を落とした。
それを見て、みんなが黙ってしまったのは言うまでもない。
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