いつかまたおなじ空のしたで

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2人に追いつくと、可愛らしい小さめの馬車があった。
かわいい、、、
他のはもろに馬車!って感じだけど、これは荷物を乗せる荷台がすごい小さい!
馬車っていうか、大きめの荷車?
でもでも、中は3人?もう1人くらいが余裕で寝られるくらいはある。
なんか勝手なイメージだけど、タイヤが2個は荷車で、タイヤ4個は馬車?みたいな感じかな?
荷車のコーナーのはタイヤ2個しか無いのばっかりだし。
私がこんな事考えてる間に馬車は決まったみたい。
次は馬を選ばないとね、、てゆうか、仲良く出来る馬、いるのかな?、、
馬コーナーにもいろいろな馬がいた。
「小さめな馬車ですので、どの馬でも充分引けると思いますはい」
ロドリーさんは私達の懐事情も考えてくれている。
任せて!アメリアの財宝、みんな持って来てるよ!なんて言えない。
「そうですわね、、」
またもお淑やかにトリスが馬達の前を、一頭づつ目を合わせながら歩いていく。
なんか、値段の高い強そうな馬ほど嘶いたり目を逸らしたりしてる気がするな、、
やっぱりトリスが怖いんだ。
で、結局、1番安い馬の前まで来てしまった。
最後の馬はじっとトリスを見つめ返して姿勢を正している。
「お目が高い!」
馬屋の店主であろう男がトリスに声をかけてきた。
「こちらは実は元々軍用馬でして!スタミナはもちろん敵の矢を避ける俊敏さも持ち合わせております!」
「あら、そうですの?」
トリスは茶化し気味に言う。
「確かに高齢馬ですがご覧ください!主人を守ってその身に矢を受けながら戦場を駆け回った勇姿を!」
確かに矢が刺さったりかすったのだろう傷痕がある。
鞍の形に背中の毛並みが抜けちゃってるのも軍用かあるいは乗用だった証だろう、、。
「とても乗りやすく、頭のいい馬です!お嬢様の乗馬の練習にはもってこいかと!!」
お嬢様と言って、私を示す店主。
は?私がお嬢様??
トリスは考えるふりで口元を隠して、笑いを堪えるのがやっとな感じだ。
あーもー!その設定!のってやる!
「店主さん、どうしておわかりに?」
さもお転婆お嬢様といった風に偉そうに言ってみた。
「それはもう!ひとつ!大商人ロドリーさんを連れていらっしゃる事!ひとつ!馬の調教もご存知の美しい教師の方をお連れである事!ひとつ!護衛の従者の方も歴戦の猛者の風格そのものである事!」
びっくりだ。なんなのその設定。
「ふふっ、うふふっ、」
むり、もうむり。
「お嬢様、毎日お寝坊さんでも一流の商人さんにはお見通しのようですわね?」
トリス、まだ笑わす気??
「ふふふふっ、、ふぅ、で、先生?その子はどうなのかしら?」
これで最後までやるの?ほんとに?
「ええ、店の方の仰るとおり、優しくて勇敢、お嬢様にぴったりないい馬ですわ」
店主はどうあってもこの馬を売りたいらしい。
安いし売れ残りなんだろうな、、
目も優しいし、私はいいとおもうな。
トリスは口元を隠してこくこくとうなづいている。
むー、笑ってるな!
「ではお嬢様!こちらの馬にお触れになられていただけますか?」
「ええ」
私は、頭の中のお嬢様っぽいイメージを総動員して馬に近づいて、そっと触れた。
私が近づく間、じっと私を見つめていた馬。
私が触れると頬ずりする様に手に頭をもたれてくる。
あったかい。
そっと頬をさすると、気持ちよさげに目を閉じた。馬、かわいいな。
私は店主に向き直り告げる。
「決めましたわ!」
店主の顔が歓喜に輝いた。
「ありがとうございます!ではこちらで契約を!!」
深々と、わざとらしく頭を下げる店主。
そこまでこの子がじゃまだったのか、、、
私はトリスに向き直って言う。
「あとはお願いね?」
「はい、お嬢様、あちらでおやすみください」
「ええ、、あ、ロドリーさん、ちょっといいかしら?」
「あ!え?はいはい、いかがいたしましたか?」
突然のパスに焦るロドリーさん
「あちらへ、、」
言うとロドリーさんを連れて馬車の方に向かう私。
終始厳しい表情を続けるレヴィも私に続く。
私達は馬コーナーから見切れる場所まで来ると、馬車までダッシュした。
顔をみあわせて、大爆笑する3人。
ロドリーさんはお腹を押さえている。
レヴィも涙を流して笑っている。
私もおんなしだ、お嬢様?誰が?
もうなんていうか、誰も悪くない。
店主の売りたがりのおかげで優しい勇敢な馬も仲間に出来た。
ただあの店主の勘違いから始まった寸劇がおかしくて楽しくて、トリスが戻ってきても私達はまだ笑っていた。
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