いつかまたおなじ空のしたで

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ノックすると「待っていた」と声が聞こえた。
桜の浮き彫りがされた扉を開けると、いつも通りテラスからセレスティアナを眺めているトリスがいた。
ドーム状のお城の最上階にはトリスの部屋だけがある。
遊びに来ると、トリスはいつもセレスティアナを眺めていた。
このテラスはガラス貼りで雨も当たらない。
「遊びに来たらいいのに」というと「流石に毎日は行けぬよ」と笑った。
世の中のみんなには1人ひとりお仕事がある。
お父さんも警備のお仕事をしていた。
トリスは魔王様だから、みんなのまとめ役だったはずだ。
忙しい中、セレスティアナのみんなと遊ぶために来てくれていた。そういう事だ。
「トリス、あのね、、、」
「行くか」
「うん、、」
「我らは常に共にある」
またむつかしいことを、、。
「心は、つながってる？っていうこと？」
レヴィが確認する。
「寂しいのは、妾も同じだ」
トリスはこちらを向かない。
「失敗は、まあするだろう」
「えー！？ひどくない？？」
ふくれる私に、ふふっと笑ってトリスが続ける。
「妾とて失敗だらけだ。失敗あってこその成功ということだよ」
たしかに。久しぶりに頭を撫でられながら私はその通りだなって思った。
「アメリアは今躍起になって妾達を探しているだろう」
「うん」
「あちらには魔封の武器がある事を常に忘れるな」
「うん」
「それから、、」言いかけるトリスにレヴィと2人で背中から抱きついた。
「トリスは心配性だなぁ」
「うんうん」
2人で茶化す。
「ふふっ」と笑ってトリスが振り返り、ふわりと私達をつつむ。
私達は抱きついた腕に思いっきりちからをこめた。