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しおりを挟む「えーーー!??」
レヴィと2人、今までで1番驚いた瞬間かもしれない。
「はあ?おじさんがカオズ??なんで??」
口からお菓子を撒き散らしながらレヴィが言う。
「なんでって言われてもなぁ、、。カオズなんだから仕方ねぇだろぅよ?」
おじさんは飛ばされて来たお菓子のかけらを払いながら困って答える。
「でもでも!ブキ屋でしょ?」
「あー、、確かになぁ、、」
「ラシバル達の稽古みてくれたんだよね??」
私も混乱する。
「なんつーか?成り行きだな?姉ちゃん達にも約束しちまったしなぁ、、、」
なんて事。
探してたカオズはこんなところにいたのか、、、。
しかも知り合いだったなんて。
「えっとなぁ。最初に言ったよなぁ?「仲良くなったら仲間」なんて思うな。ってよ?」
たしかに!たしかにおじさんは部屋に入る時にそう言った。
「もーおー!!みんなみんな!わかるように言ってよ!私にもわかるように言ってくれないとわかんないから!!!」
私はキレた。
おじさんを指差しながらさらにまくし立てる私。
「おじさん!カオズならカオズって言ってよ!知らないまんまおしゃべりしちゃったじゃない!!」
頭をかきながら困った感じ満載のおじさん。
「あー、だから今言ったけど、、」
ぎん!おじさんを睨む私。
「だーかーらー!」
がしっと後ろから掴まれる。
ん?レヴィ?
「おじさんは順番に話してくれてたんじゃない?」
?そう?
「あれ?そうなの?」
おじさんに向き直ってきいてみる。
「そうそう!名前は言いそびれただけだからよ!」
トリスのいやいやに似た、非なるものなポーズのおじさんが言う。
「なーんだー、、」
ぱたりとソファーに崩れ込むおじさん。
私達もぽすんと腰をおろすけど、繭でソファーなくなってて、後ろにころり転がってしまう私。
「いてて、、なんかごめん、、私頭良くないからさぁ、、」
立ちながらあやまる。
ひらひらと手を振って「いいよ」をするおじさん。
「それはそれとして、こっからが本題だ。」
ごくりと息をのんで先を促す。
「要するにな。俺の「理想」はくずれちまった訳だ。「アメリアは戦争をする」それが分かった時点で俺は街の魔族を追い出しはじめたんだよ。逃す為にな。」
「うんうん」
「大変だったぜ?アメリアから来た「カオズ」として振る舞うのはよ。魔族にはセレスティアナや魔族領に行くように言ってな。こっそり金も渡したりしてよ!少しでも「理想」を守りたかったからなぁ」
「でも、セレスティアナは瓦礫になったよ、、、」
「ああ。あそこまでやるなんてなぁ」
肩を落とすおじさん。
「俺も、商人のままでいたらこんな事にはなってなかったはずなんだよな、、。姉ちゃん達に会ってからそう思う事が多くなったよ」
「おじさん、楽しそうだったよね?」
私も楽しかったし。
「まったくだぜ!嬢ちゃんがよ?「しゅぱーっ!」ってやってただろ?たまに夢に見るんだよ。人族も魔族も、ハーフだって変わんねぇよな?みんな笑ってよ?商売は大繁盛!言う事ねぇってのはああいうのを言うんだよなぁ!」
「うんうん!」
レヴィも忘れてなんてない。
その証拠に「ほら!」なんて木剣を出して見せる。
「おー!それそれ!大事にしてくれてて嬉しいぜ!姉ちゃんもその剣な!懐かしいなぁ」
嬉しそうなおじさん。
でも、おじさんは「カオズ」だった。
俯く私に気がついておじさんが腰を上げる。
「っていう訳でよ!俺の「理想」はもうここにはねえって事だ」
「そっか、、」
ため息まじりに言った瞬間だった。
おじさんの目つきが急に厳しくなってばさりと外套を翻してソファーの後ろに回った。
いつの間にか壁の剣も手にしている。
「あとな?俺を倒さないと「魔封の宝玉」は手に入らないぜ?」
え?
さっきくれたじゃん?
「あれ?だって、、」
私の声を遮るように間合いギリギリに横凪が飛んでくる。
「リーナ!」
レヴィが私を突き飛ばして割って入る。
短剣を胸の前で重ねて剣撃を受けるレヴィ。
ギギン!
おじさんが一歩引いて短剣だけを両断する。
びっくりしてるレヴィにひとつ捨てるおじさん。
「レヴィ!さがって!」
私の声よりさきにおじさんの回し蹴りがクリーンヒットして壁に叩きつけられるレヴィ。
「レヴィ!」
「いたたた、、」
大丈夫ぽい。良かった。
レヴィに剣を投げて、私は杖を伸ばす。
もちろんおじさんから視線は外さない。
「頑丈だなぁ!羊ってのはもっと柔らっけえんじゃなかったか!ははは!」
カラカラ笑うおじさん。
「なんで、、」
また私の声を遮るように斬撃が来る。
しゃべろうとしてた私は、かろうじておじさんの剣を受けるけどそのまま鍔迫り合いで部屋の壁を突き破る。
「そりゃあ!」
「くっ!!」
3連撃が最後の壁?ごと私を2階から庭に吹き飛ばす。
芝生にドサッて落っこちる私。
「いててて、、」
玄関側に飛ばされてたら地面が石だからもっと痛かっただろうな?
「よっとお!」
おじさんが飛び降りて、レヴィも続く。
おじさんVS私とレヴィ。
レヴィはブキがいつもと違うから広めに間合いをとっている。
かくいう私もおじさんとおんなし流派だからなかなかに難しい。
おじさんのは普通にロングソードだけど私のブキは杖だ。
杖の長さはショートソードくらいしかない。
不利だ。
「小娘2人が!このカオズに勝てるとでも思ってたのかよお!?」
やばいやばいやばいやばい!
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