いつかまたおなじ空のしたで

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気が付けばおじさんの傷はもう治っていた。
バンパイヤを「受け入れた」っていう事だ。
受け入れなかったなら拒絶反応が出る。
相当な苦しみだって聞いた事がある。
無理にでも血を飲ませてバンパイヤにしないと次の新月の朝には体が崩れて死んでしまう。
「まぁ、本当に大変なのはこれからだけどな？」
よいしょって立ち上がっておじさんが言った。
ぱたぱたと足音がして丁度スフィが降りて来た。しかもすっかり旅支度だ。
「旦那様！書斎がとんでもなくなってます！」
すみません私達がやりました！
「あー、いいんだよ！はははっ！それより飯だ！」
食堂に向かいながらおじさんが言った。
「はい！」
スフィは元気みたい。
旅支度のスフィはカバンと手甲を置いて「ぐっ」と力こぶをつくってみせる。
長袖をまくられた腕にはわりかし傷があった。それなりに戦いも経験してるっていう事か。
でも、メイドはおしまいなんだな？って思った。
「姉ちゃんの飯が食いてえな！」
突然のリクエスト！
「私も！」
えー！？スフィまで？私のご飯なんて期待したらぐはあなんだよ？
「リーナ、スープ作ろうよ！」
レヴィは乗り気だ。
「あー、、。期待したらぐはあだからね？たはは」
とりあえず「美味しくなった」スープを作ろう。
エプロンがあったから着けようとして、私は服が大変な事になっている事にやっと気がついた。
おじさんに「あっち向いて！」って言って着替える。
「お！次元収納か？やるな姉ちゃん！」
「ちょっと！あっち向いてて！」
怒る私。
レヴィが大の字になって隠してくれて、着替え終わったらスープだ。
野菜、お肉（イノシシ）、各種スパイスとハーブ。それから1番大事なくまに貰った木の実。
コトコト煮込んで出来上がりだ。
簡単かんたん。
「お待たせいたしました、こちらいつものスープでございます」
お皿によそってテーブルに並べる。
「おー！来た来た！」
嬉しそうなおじさんとスフィ。
「いただきます！」
ぱちん。
「パンは買ったのだから」
レヴィがつけ加える。
「んー！！」
おじさんがうなる。
「どう？」
恐る恐るきく私。
「美味しいよねー！」
レヴィは気に入ってくれてるからね。
「いや！美味い！」
「えっ！ほんとう？！」
私はまさかと聞き返す。
「うん！美味しい！」
スフィも高評価だ。
とりあえず良かったけど、、スフィの方がお料理上手でしょ？
「なんだこれ！？なに入ってんだ？？」
食べながら聞くおじさん。
「えっとねー、、」
言いながらテーブルに出して見せる私達。
「ふむふむ、、」
スフィが身を乗り出してくる。そんなに？？
「これは、、クマの実？」
スフィはさすがにめざとい。
「そうそう！くまの実が決め手なんだよ！」
「そうなのか？スフィ？」
おじさんは食べ終わって、自らおかわりをよそいながら聞く。
「うん。本当にそうだと思う。体には良い物ばっかりだけど、まろやかにしてるのはきっとクマの実だと思う」
やっぱりそうだったんだ！
くまありがとう！！
「すげーな姉ちゃん！！良かったなスフィ！」
なにかに気がついてスフィが聞いてくる。
「ねえこの実、どこ産？」
そこまでわかる！？すごいなメイドさんは。
「それはねー、くまに貰ったの」
レヴィが種明かしをする。
「やっぱり！栽培されてるのより小振りよね？天然かぁ、簡単に手に入れるのは難しいわね、、」
悔しそうにするスフィ。今度森に連れて行ってあげよう。