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しおりを挟むコンコン。
泣き腫らした目をこすりながら、私はドゥワイトの部屋をノックしていた。
「はいよーっ!」
「私、リーナ」
「開いてるぜー!」
元気あっていいな。
かちゃりとドアを開けて背中をみせて言う。
「私達さー?ちょっと用事出来たから、先に集落に向かってくれる?」
努めて元気に言う。
「お!雷剣にまた稽古か?好きだねー?」
「まぁ、そんなところ。スフィもよろしくね?」
「わかった!」
「それじゃあ、おやすみ」
「おう!」
ぱたん。
ふう、、。
ほんと私はバカだ。
バカ弟子なんてラシバルに諭しておいて、なんて恥ずかしい。
そんな事考えながらロビーに降りるとおばさんが珍しくお酒を飲んでいた。
お客さんは1人もいない。
「あれ?珍しいね」
「うん、おばさん、、。アリアに聞いたよ」
ふっと肩を落とすおばさん。
「リーナ、あんたのせいじゃないよ」
「うん、わかってる、、、」
いいながらワインを2本出す。
「えっ!リーナそれ魔法かい?」
びっくりするおばさん。
「うんそう。色々入ってる。あ、これ知ってる?おばさん」
くまの実を出して見せる。
「あれあれ!くまの実じゃないのさ!」
やっぱり知ってたんだ。
「うん、すり潰してスープに入れるのが私とレヴィのお気に入り」
「そうかいそうかい」
にこにこ笑うおばさん。
「たくさんあるからあげる」
カウンターの裏に回ってくまの実をかごいっぱい出す私。
「ええっ!そんなにたくさんあるのかい?」
「うん、養殖のだけど、まだまだたくさんある」
にっこり笑う私。
ふぅ。と笑うとおばさんが抱き寄せてくれた。
「リーナ、あんた私より長生きしてるんだろうけどさ。でもアリアもリーナもレヴィも、私の娘みたいなものさね」
「うん、、」
「リーナ、戦争なんてない頃を知ってるんじゃないのかい?」
「うん、知ってる」
私はワインを注いでもらって飲んでみた。
シブい。でもほんわりする気がする。
「良いねぇ。誰も傷つけ合わない暮らしなんてねぇ」
「うん。みんなには、そんな世界に暮らして欲しい」
「伝説のセレスティアナ」
ぽそりとおばさんが言う。
「うん。セレスティアナが私の生まれ故郷。魔族も人族もみんな仲良く笑っててね。私は雑貨屋さんでお仕事する事になってた」
おばさんは、私が何かそういう種族だって勘づいていたみたい。
「お菓子ばっかり売ってる雑貨屋さんかい?」
おばさんが茶化す。
「ふふっ!」
「あはは!」
おばさんにもワインを注いであげる。
「美味しいねぇ、このワイン!」
「そう?みんな置いておくから、また飲んで?」
「ありがとうさん」
ワインをあるだけカウンターの裏に出す。5本くらいかと思ってたら20本あった。
「それからねー、、、」
おばさんと2人、ワインを飲みながら楽しかったセレスティアナでの事を色々とお喋りした。
おばさんは「そうなのかい!」とか「たのしかったねぇ」って言って、アリアの事や自分の事も教えてくれた。
私とレヴィはしばらく滞在すること、ドゥワイトとスフィは先に発つことを話した頃に2本目のワインが空になった。
「おばさん、ありがとう」
「リーナも、いつもありがとうさん」
「おやすみなさい」
ふらふらと手すりや壁に捕まりながら部屋に戻ると、レヴィとアリアはベッドですやすやだった。
もぞもぞと2人の間に潜り込んで両手で抱き寄せる。
「うむぅ、、」
「あんしーしょー、、」
ふふっ。
「おやすみ、レヴィ、アリア」
私は初めて飲んだお酒で、ほわほわしながら両手に花で眠りについた。
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