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しおりを挟む「ほっほっ」
おじいちゃんの声に我に帰った。
目を擦って、背中を向けたまま挨拶する。
「ただいま、おじいちゃん」
「ほっほっ、おかえり、2人とも。ベアトリクス様がお待ちじゃよ?」
レヴィもぐっと涙を堪えて振り返る。
「この子はウイナー、、」
レヴィがおじいちゃんにバイコーンの名前を教える。
「おお、そうかそうか。ウイナー、よろしくな?」
おじいちゃんが首筋を撫でると気持ち良さそうに姿勢を正すウイナー。
「ウイナーはわしが世話をしようかの」
「うん、ありがとう」
まだ私達は元気でない。
「アゲハ、一緒に行ってやりなさい」
珍しい口調のおじいちゃん。
「わかったー。いくよー」
ひらひらと飛び上がるとまたぺしぺしと私達を叩く。
「うん。行こうレヴィ」
レヴィの手を取ると引っ張って連れて行く。
アゲハはちらちらとこちらをうかがいながら前を飛んでいく。
お城の入り口の扉前には知らない魔族がいた。
スケルトンナイトが2人。
私とレヴィを見て剣に手をかけるけど、アゲハが連れているのをみて扉を開けた。
お城の廊下はふかふかでステンドグラスからの日差しも美しい。
でも私達の心は沈んだままだった。
謁見の間の扉も美しく変わっているけれどレヴィすらもそれに目を輝かせる事はなかった。
扉の前にいるキメラの2人も私達の様子から察したんだろう。「がんばったな!」とか「おかえり!ご苦労さん!」って声をかけてくれた。
私達はがんばってにっこりして扉をくぐる。
中にはずらりと私とレヴィを待ち構える魔族達と、玉座にはトリスがいた。
どの人もゼクスさんくらいは強いのがわかる。
今のこのお城の戦力っていう感じだろう。
ひそひそ話が耳に入る。「小娘ども、どこから来たんだ?」やら「わざわざ出迎えするか?」とか「どこのお嬢様だよ」なんて含み笑いしてる人もいる。
そりゃそうだ。
いきなりみんな呼ばれたんだろう。
私なんてお仕事そっちのけにして出迎えるほどの者じゃない。
本音を言えばトリスにだけ会ってからお部屋でレヴィと2人でジェシーの魂に冥福を祈りたい。
とことこと周りの声を無視しながら玉座の前まで歩く私とレヴィ。
いつの間にか私達の前からいなくなっていたアゲハは見回すと周りの魔族達に混ざっていた。
「トリス、ただいま」
「ただいま」
私達のセリフに謁見の間の魔族達が一斉にざわつく。
そうだよね。
おじいちゃんですら「ベアトリクス様」って呼ぶ「魔王」を愛称で呼んだばかりかタメ口をきいたんだから。
でもその後周りの魔族達はさらに驚く事になる。
「おかえり。リーナ、レヴィ。長旅お疲れさま。帰りを心待ちにしていたぞ?」
立ち上がっておかえりを言うトリスを目にして、謁見の間にいる魔族全員が私とレヴィを見つめていた。
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