いつかまたおなじ空のしたで

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馬屋にはおじいちゃんがいた。
「おじいちゃん」
声をかけて馬屋に入る。中にはおじいちゃんとウイナーしかいなかった。
私はぐっと込み上げてくるものを飲み込んで不器用ににっこり笑う。
「ほっほっ。どうしたかの?」
「ジェシーにあげるお花がほしくって、、」
レヴィが言ってくれた。
私はこくりとうなづく。
「ほっほっ、そうかそうか」
おじいちゃんは穏やかに笑うと先にたち私達を外に導く。
城壁の縁までついていくと色んな花が咲いていた。
すみれ、ほとけのざ、小さな花から季節外れなクリスマスローズも花を咲かせていた。
気持ち良さそうに風にそよぐ花を見て、私は摘んでしまったらいけないような気がした。
「レヴィ。お花はやめてくまの実にしない?」
声をかける私をしゃがみ込んで花たちをつんつんしながらレヴィが見上げる。
「うん、それがいいー」
レヴィもおんなし気持ちみたいだ。
「おじいちゃん、お花はやっぱりやめにする」
私が振り返って言うと「うんうん」っておじいちゃんはうなづく。
見渡すと城壁の内側の花畑には花たちを踏まないように放射状に石畳が並べられていた。
気にしないままここまで来たけど、ちゃんと配慮されていたんだって気がついた。
もう、おじいちゃんてば。言ってくれたら良かったのに。
死んじゃった人は49日の間、生きている友達や家族との別れを惜しんでみんなの周りにいるんだと聞いたことがある。
ジェシーもきっとこの花畑で私とレヴィが来るのを待っていたんだろう。
そんな風に考えながらジェシーのお墓の前まで歩く。
かくっと膝を折ってしゃがむと私とレヴィはくまに貰った「美味しくなるくまの実」を取り出して名前が刻まれた石版の前にそっと置いた。
一緒に寝て、ごろごろと私達の上を転がっていたジェシー。
パカパカと馬車を引いてくれていたジェシー。
もういないジェシー。
「なんだよもう!まったく!もうちょっとまっていてくれても良かったんじゃない?」
私はぐちる。
「あはははっ!」
レヴィは元気なジェシーを思い出しているんだろう。楽しそうに笑う。
「供えた食べ物は、その夜にたべるんじゃよ」
おじいちゃんが教えてくれる。
「そうなんだ!?」
「はやくキメラに渡してあげないと!」
「うん!ありがとう、おじいちゃん!」
おじいちゃんは変わらず穏やかに「ほっほっ」てにっこりしている。
「ジェシー!また来るね!」
私とレヴィは石版を撫でるとキッチンに向かって走った。
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