いつかまたおなじ空のしたで

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お日様が傾いてすでにだいぶ経っていた。
壁側の花たちはそろそろお休みの時間だ。
私達は久しぶりのみんなでのごはんのために「可愛い格好」になるべく部屋で試行錯誤していた。
「どうー?」
レヴィがスカートをひらりと翻して聞いてくる。
「うんうん!かわいいっ!」
レヴィは髪色を邪魔しない薄い黄色ベースにオレンジ色のフリルが少し付いたワンピースだ。
私は水色ベースに白いリボンの付いた上着とスカートにした。
トリスの真似をしておそろいで買ったドレスもあるけど、さすがに似合わない気がしてやめた。
早くああいう大人っぽい雰囲気を醸し出せる様になりたいものだ。
ひたすら服を引っ張りだしてファッションショーが行われた部屋の中はひどい有様だけど、またお風呂あがりにでも片付けようと思っていた時、部屋のドアがノックされた。
「夕食のご用意が出来てございます」
女の子の声がした。
「はーい!」
「すぐ行きます!」
かちゃりとドアを開けると、誰もいない。
あれ?
「こちらへ」
可愛い声がする方をみると、メイド服を着たゴーストの女の子がいた。
「かわいいーっ!」
うんうん、可愛い。私もこくこくうなづく。
「お世辞が過ぎます、、」
ゴース子ちゃんは照れながら先に立って私達を導く。
ふふって笑って手を繋いで後に続く私とレヴィ。食堂の場所はわかってるけど、ゴース子ちゃんのお仕事を邪魔しちゃいけない。
濃くなり薄くなりしながら先を行くゴース子ちゃんは食堂のドア前でひとつ頭を下げてスッと消えた。
「ありがとうっ!」
「ありがとう」
そこら辺にいるだろうゴース子ちゃんにお礼をして食堂に入ると、おじいちゃんとライザがすでに席に着いていた。
「ほっほっ。見違えるのう」
「うんうんうん!2人ともかわいいねーっ!」
褒められるのは正直に嬉しい。
「ありがとうっ」
「あはっ!ありがとうー!」
照れながら2人でお礼を言う。
ごん!
キメラがワゴンを押して厨房から入ってくる。
「おー!なんだ2人とも?なんでそんな可愛い格好してるんだ??」
無言で睨む。
おじいちゃんとライザもレヴィも「じー」ってキメラを見る。
「えー!?、、ああ?、、おう!!可愛いじゃねえか!見違えたぜ!」
言い直してがしがしと私とレヴィの頭を撫でるキメラ。
「うー。ありがとうー」
「ボサボサになるー、、」
「あはははっ!」
「ほっほっ」
ライザもおじいちゃんも楽しそうだ。
「ふふっ!」「あはははっ!」
私達も笑う。
どん!
もう1人のキメラも来て、お料理が並び始める。
トリスはまだ来ない。
コンコン。
食堂のドアがノックされた。
「ベアトリクス様が参りました」
ゴース子ちゃんの声だ。
おじいちゃんとライザが立ち上がる。
私とレヴィもつられて立った。
かちゃり。
ドアが開いて、夜空に桜吹雪が舞うようなドレス姿のトリスが入って来る。
「わあっ!トリス!すごい素敵っ!」
私は思わず叫んだ。
レヴィも見惚れて首をぶんぶんしている。
「ふふっ。2人とも、よく似合っている」
「ありがとう!」「ありがとうーっ!」
声を揃えて言う私達。
キメラが大きな身体を横に斜めにテーブルに着いた私達のグラスにワインを注いでいく。
「久しぶりに賑やかな夕食だ」
グラスを手にトリスが言う。
みんなグラスを持つ。
「機会に」
乾杯の合図は一言だ。
ほんとにそれに尽きるだろう。
「機会」そのおかげでみんなでこうして食卓を囲む事が出来ている。
トリスとの出会いで始まったこの旅はまだまだ先は見えないけど、それが始まりで原動力な事は間違いない。
私達は皆で声を揃えて言った。
「機会にっ!!」
厨房とドアの外からパチパチと拍手する音が聞こえた。
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