万象無双の魔銃士《マギガンナー》 〜出来損ないはいらないとパーティを追い出されたら【ユニークジョブ】を授かりました。今更泣きつかれても、エロ

しがわか

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8話 エコーライト

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 太陽が沈みかけた頃になって、ようやくリーンベルの街に着いた。
 いつものように門をくぐろうとすると、門番の詰め所から聞き覚えのある声が響いた。
 振り返ると、俺をよく知る衛兵のおっさんが歩いてくる。

「おつかれ、ヴェイン。その背中の子は誰だ?」

 いつものように気さくな調子で声をかけてきた。
 このおっさんは俺がまだ駆け出しの頃から、いつだって気にかけてくれる。
 
「ああ、森で魔物に襲われてるところを助けたんだ。怪しい子じゃない。通っていいか?」
「ああ。A級パーティのお前がいうなら平気だろうさ」

 衛兵のおっさんはあっさりと頷いてくれた。
 A級パーティか……実はもうクビになったんだけどな。

「先にギルドへ報告を済ませたいんだが、大丈夫か?」
「はい、もちろんです」

 冒険者ギルドの扉を開けると、いつものざわめきが耳に入ってくる。
 酒場も併設されていて、夕方のこの時間から徐々に賑やかになっていくのが好きなんだよな。
 なんて思っていると、受付カウンターにいた馴染みの受付嬢ミーナが、俺を見るなり慌てた様子で声をかけてくる。

「ヴェインさん、大変ですっ!」
「そんなに慌ててどうしたんだ?」

 いつも落ち着いている彼女がこんなに動揺するなんて珍しい。

「ヴェインさんのパーティのダズさんが……っ!」
「ダズが……?」

 まさか、またトラブルを起こしたのか。
 あいつはすぐ頭に血が上るからな。

「ギルドで人を刺してしまったんです」
「なんだって?」

 さすがにそれは予想外だった。
 確かに口は悪いが、まさか人を刺すとは。
 それにギルド内での揉め事は厳禁だ。
 ギルドからの追放処分が科せられてもおかしくない。

「相手は?」
「ええっと……」

 ミーナは慌てながら冒険者名簿をめくる。

「ティアローズという女性のようです」

 知らない名前だな。
 もしかすると、ダズが言っていた新しく加入するという奴だろうか。
 詳しく聞こうとも思ったが、俺にはもう関係ないことだと思い直した。

「悪いんだけど、俺は何もしてやれないよ。もうラズマダズから抜けたからな」
「えぇっ? この前A級に上がったばかりじゃないですか。もしかして何かありました?」

 確かに普通なら、A級パーティを自分から抜けるなんてありえないだろうな。

「俺が聞きたいくらいだ。いきなりクビを宣告されたんだ」
「そう……だったんですね」

 今にも泣き出しそうな顔で、俯きながら呟くミーナ。
 
「……ということで、新しいパーティを申請したいんだが」
「は、はいっ!?」

 ミーナは驚きながら、パーティ申請用紙を受付カウンターに出してくれた。

「では、こちらにご記入ください。他にパーティメンバーはいらっしゃいます?」
「ああ。ここにいるぞ」

 俺はカウンターの下を指し示した。
 ミーナは身を乗り出すと、カウンターで隠れていた小さなロッカと目を合わせた。

「ロッカです、よろしくお願いしますっ!」

 ロッカがぺこりと頭を下げると、ミーナはにこりと笑顔で返した。

「彼女以外のメンバーは……?」
「今のところはこいつだけだ。二人でも申請できたよな?」
「え、ええ。ロッカさんは冒険者登録がお済みですか?」
「はい、一応登録はしていますっ!」

 ミーナは魔道具を操作して、登録データを調べている。
 しばらくしてロッカの名前を見つけたのか、うんうんと頷いた。

「確認しました。それでは、パーティ名を教えて下さい」
「パーティ名か……そういえば考えてなかったな」

 前のときは気付いたらダズが勝手に決めて申請してたから抜け落ちていた。

「ロッカ、何かいい案ないかな?」
「うーん、そうですね……わたしたちの目的はエコーライトですから、もういっそエコーライトでいいんじゃないですか?」

 なるほど、響きは悪くない。
 それにエコーライトの情報を持っている人が聞けば、声をかけてくれるかもしれない。

「よし、じゃあパーティ名はそれで頼む」
「はい、エコーライトっと」

 さらさらと書類に記入していくミーナ。

「あと新しいパーティを組んだ場合、ランクはリセットになってしまうのですが……」

 ミーナは申し訳なさそうな顔でそう言うが、そんなことは織り込み済みだ。

「ああ、構わない。どのみちクビになったんだから仕方ないさ」
「そうでしたね……それでは正式に受領いたします!」

 ミーナは書類にスタンプを押すと、俺たちに手渡してくれた。
 これで正式に俺とロッカは『エコーライト』というパーティを結成したことになる。

「よろしくな、相棒」
「はい! こちらこそよろしくお願いしますっ!」

 ロッカが嬉しそうに笑うから、なんだか俺も嬉しくなっちまった。


「よし。森林豹フォレストパンサーの報告も終わったし、治療院へ行くか」
「だいぶ痛みも引いてきましたし……放っておけば大丈夫かな?って」
「俺も治癒魔術だけはからっきしだから、ちゃんと専門の人に診てもらったほうがいい。明日からに備えてちゃんと治してもらわないと俺だって困るんだぞ」

 ロッカは何かを言いかけたが、俺の勢いに負けて頷いてくれた。

 街の中心部にある白い建物に入ると、清潔感のある白い服を着た女性たちが忙しなく働いているのが見えた。
 治療士のおばさんは俺たちを見ると、慣れた様子で手招きする。

「はいはい、どちらが患者さん?」
「この子の足首を診てくれ」

 俺はロッカを治療台に座らせると、彼女の足を指し示した。
 治療士は手慣れた様子でロッカの足首を確認して小さく頷く。

「これはひどい捻挫ね。すぐに治してあげるわよ」

 そう言うと、治療士は手のひらを足首にかざした。
 淡い光が手から溢れ出す。

治癒キュア

 そう短く唱えると、ロッカの腫れていた足首があっという間に元通りになった。
 さすがは治療の専門家だ。

「どうだ、痛みはないか?」
「はいっ、大丈夫です!」

 ロッカは嬉しそうに足首を回してみせる。
 どうやら完全に治ったようだ。
 自分が使えないからか、治癒魔術はいつ見ても不思議に感じる。

「あっそういえばわたし、お金が……」

 治療費の話になると、ロッカは困ったような顔をした。
 そんな彼女を見て、治療士のおばさんの視線が鋭くなる。

「大丈夫だ、ここは俺が払うよ」

 腰のポーチからを金の入った小袋を取り出すと、おばさんは胸をなでおろしたようだった。

「で、でもっ……」
「もう相棒バディなんだから気にするな」

 俺がそう言うと、ロッカは安堵の表情を浮かべる。

「はい……そうですね! ありがとうございます、ヴェインさんっ!」

 ロッカがそう口にすると、奥の部屋からガタゴト音がした。
 そして勢いよく扉が開き、一人の女が飛び出してきた。

「あ、あなた……もしかして封術士のヴェインさんですか!?」

 女はシスターのような服を着ているのだが、やたら露出が多い。
 信心深くない俺がいうのもなんだが、非常にけしからん。

「ああ、そうだが……?」

 頷くと、女は目を輝かせて俺の手を握る。
 そしてとんでもないことを口にした。

 「私のっ……お師匠様になってください!」
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