4 / 11
4
しおりを挟む『・・・俺、もう帰っていい?』
なんだか、凄く疲れた。
『あら、もう帰っちゃうの? シエロたんをもっと堪能したいんだけどな? 舐め回すように観察して、もっと近くで匂いを嗅いで、子供であることをフルに利用したスキンシップついでにあちこち撫で回したり、抱き付いて愛でようと思ったのに』
とんだ変態発言だ。付き合いきれねぇ・・・
『是非とも帰らせてくれ』
もう、姉貴とも会うことはないだろう。
これ程の美幼女なのは勿体無いが、中身は腐れ切った女だ。いかがわしい視線を送られ、そこいらの野郎共と気色悪い掛け算なんざ、されたくもない。悍ましい。
『あ~あ、まあいいけど。とりあえず、アンタ。誰ルートに行くつもり? このゲーム、ヤンデレ好き御用達レーベルのやつだから、どのルート行っても、最良でもメリバ確定。誰が見てもハピエンなエンディングはほぼ無い上、選択肢間違えてバッドエンド入ったら、幼少期で死ぬルートとかもあるから、十二分に気を付けなさい』
その言葉に、俺は・・・
『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!? どうか詳しくご教授を!』
テーブルに手をついて頭を下げ、見事に手の平を返した。今なら土下座も全く厭わないぜっ!? なんせ、自分の命と貞操と尊厳がガチで懸かっているからなっ!!!!
『いいわ、蒼。長くなるから座んなさい』
『はい、お姉様!』
と、『シエロ』の異母妹『ネレイシア』こと、前世の俺の姉貴、茜が語った【愛に染まる空~ Il ciero si è tinto di amore ~】の内容は――――
・・・思った以上にヤバいです。
本っ気で生きて行ける気がしねぇっ!!!!
まず、ゲームの主人公シエロは国王の愛妾且つ寵姫である母親の命と引き代えにこの世に生を受けた。
そして、寵姫である母譲りの顔をした俺は父に丁重に丁重に、腫れ物として扱われているらしい。
本来なら、愛妾の子は王子として扱われないが、第二王子として遇されている。物心付いてからは、一度も父の顔は見たことないがな?
はい、もうこの時点で重いっ!?
けど、重たい話はまだ続く。
王の寵愛を巡っての正妃と側妃、愛妾であった母親達の確執。王位継承権争いを画策する者達の暗躍。正妃の産んだ第一王子、側妃の産んだ双子の、本来なら第二であるべき第三扱いされている王子の弟と、第一王女である妹の存在。
それらの事情を抱え、主人公シエロは心許せる者も少なく、自分の身を守りながら権謀術数渦巻く王宮で生きて来た。
そしてシエロの十八歳の誕生日に、【愛に染まる空~ Il ciero si è tinto di amore ~】の物語は幕を開ける。
__________
次回、攻略対象達の情報です。ちなみに、攻略対象達は話だけでほぼ登場しません。(笑)
59
あなたにおすすめの小説
【 完 結 】言祝ぎの聖女
しずもり
ファンタジー
聖女ミーシェは断罪された。
『言祝ぎの聖女』の座を聖女ラヴィーナから不当に奪ったとして、聖女の資格を剥奪され国外追放の罰を受けたのだ。
だが、隣国との国境へ向かう馬車は、同乗していた聖騎士ウィルと共に崖から落ちた。
誤字脱字があると思います。見つけ次第、修正を入れています。
恋愛要素は完結までほぼありませんが、ハッピーエンド予定です。
透明な貴方
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
政略結婚の両親は、私が生まれてから離縁した。
私の名は、マーシャ・フャルム・ククルス。
ククルス公爵家の一人娘。
父ククルス公爵は仕事人間で、殆ど家には帰って来ない。母は既に年下の伯爵と再婚し、伯爵夫人として暮らしているらしい。
複雑な環境で育つマーシャの家庭には、秘密があった。
(カクヨムさん、小説家になろうさんにも載せています)
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
聖女は魔女の濡れ衣を被せられ、魔女裁判に掛けられる。が、しかし──
naturalsoft
ファンタジー
聖女シオンはヒーリング聖王国に遥か昔から仕えて、聖女を輩出しているセイント伯爵家の当代の聖女である。
昔から政治には関与せず、国の結界を張り、周辺地域へ祈りの巡礼を日々行っていた。
そんな中、聖女を擁護するはずの教会から魔女裁判を宣告されたのだった。
そこには教会が腐敗し、邪魔になった聖女を退けて、教会の用意した従順な女を聖女にさせようと画策したのがきっかけだった。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる