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あの女・・・ニセチチで愚かな野郎共を誑かしていたとはっ!?
しおりを挟む昼食は相変わらず、男子生徒に奢らせる毎日。食事やテイクアウトのメニューは、男子生徒達が持ち回りで彼女へ奢る……いえ、貢ぐことに決まったようで、この前のように大量の食べ物を抱えることはなくなったみたいです。
そんな日々が続いて――――
わたくし、知ってしまいましたの・・・
彼女がっ、彼女のあのたわわなお胸がっ、実はニセチチだったなんてっ!?
というのは、冗談でもなさそうですが。
ある日の休日のことです。
彼女が学園寮からこっそりと出て行ったとの報告がありました。
なので、わたくしは彼女の悪行を監視するため、後を付けることにしました。
街に出た彼女を見失いそうになったところ、わたくしの侍従が教えてくれました。
「彼女はあれです」
と、指差されたのは・・・なんとびっくり、質素とも言える古着のワンピースに帽子を深く被った――――お胸がすっとんとんな女の子!
「おのれ、あの女・・・ニセチチで愚かな野郎共を誑かしていたとはっ!?」
「お嬢様、偶にすっごく口悪いですよね」
「あら、気のせいじゃないかしら?」
うふふと笑って誤魔化し、彼女の監視を続ける。
彼女は、下町の雑貨屋を巡り、あれこれと買い物をしている様子。
わたくしが彼女の買い物に飽きた頃、彼女はとある場所へ向かった。
診療所、だった。そこで彼女は、女性のお見舞いをして・・・彼女の世話を甲斐甲斐しく焼き、日持ちのするお菓子を診療所のスタッフ一同に配り――――
「母のことをよろしくお願いします」
と、頭を下げてお金を払っていた。
「え……? 嘘じゃ、なかった……の?」
『病気の身内がいて、お金が要る』というのは、詐欺の常套句。
彼女に、本当に病気の母親がいたなんて・・・
「って、おかしいじゃないっ!?」
彼女は、男爵家に引き取られたのよね? ああでも、男爵に後妻が入ったとは聞いていない。彼女を引き取ったはいいけど、その母親が病気だろうが面倒を見る義理は無いということ?
「どういうことか、本格的に調べて」
これまでの、学園での探偵ごっことは違い、彼女の家も探らせることにした。
すると、予想通りというか・・・ある意味、予想以上のことが判明した。
ガチだったっ!?
いろんな意味で、ガチだったっ!?
「マジやべぇじゃんっ!?!?」
と、わたくしは戦いた。
彼女が男爵家に引き取られたのは、高位貴族と縁付かせるための娘が生まれなかったから。しかも、学園にはいかせるけど、嫁には出さず、どこぞの子息や貴族の愛人にするためだというから、呆れて物も言えない。
彼女が、母親の医療費を自分で支払っているのは、男爵が診察料の支払いを拒否したから。それで彼女は、どうにかして代金を贖おうとして、男子生徒達に貢がせることにしたようだ。
男爵は学園高等部に、彼女を十二歳で入学させていた。通常なら、十五になってから入学するはずの高等部へ、だ。
それも、早く学園を卒業させて、彼女をどこぞの馬の骨の愛人に出すために、なのだとか。
年齢詐称、戸籍などの公文書偽造。
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でも、これは許されていいことではない。
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