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後編
しおりを挟む人買いや、騙されているのでは? と、思わないでもなかったけど・・・
「ああ、実はわたしは神官の資格を持っていまして。お疑いでしたら、あなたを保護するに当たって、騙していないことを神へ宣誓しますよ」
と、そうまで言われて簡単な宣誓まで聞かされたなら、騙されてもいいかという気分になった。
まぁ、ぶっちゃけ・・・幼少期より通常の国の国家予算を遥かに超える程の個人資産を稼ぎ出し、天才・鬼才という称賛をほしいままにし、争うことなく二人の異母兄を押し退け、即位してから僅かたったの数年で幾つもの国を属国にし、大国を帝国へと成長させた立役者の美少年皇帝ネロ陛下とその異母兄の美少年宰相、シエロ皇兄殿下に興味津々というのもあったけど。
少年皇帝であるネロ陛下が、清廉で慈悲深いことは大変有名だ。彼の皇帝の属国になった途端、それまでの暮らしが嘘だったかのように民の暮らしが豊になったとは、よく聞く話。
まぁ、興味津々とは言え・・・さすがに、年齢が二桁になったばかりのお子様美少年達にそういう意味での興味は無いけど。
わたくしは、彼らの作る国に興味がある。
この国とは違って、帝国は女性が活躍することのできる国だ。彼らが、数年でそう変えた。
だから、わたくしはこの二人の手を取り――――
帝国へ渡ると、決意した。
それにしても、この丁寧に喋る二人が先程のやや下品な野次を飛ばしたのよね? 声が同じだったし。
あの野次には、ちょっと驚いたわ。
あれが素なのかしら・・・?
まぁ、それはおいといて。
公爵家も、これから没落まっしぐらでしょうね。なにせ、嫡男であるあの……浮気自爆男が、公衆の面前で自分より爵位の低い貴族子女達に踊らされ、道化になって見世物として嗤われていたことが証明されてしまったもの。
元婚約者がいる公爵家なら、簡単に操れる……と。侮られることは必至。
そうして侮られた貴族は、海千山千の狸や狐に、上昇志向の強い下位貴族や商人達に、寄って集って財産も土地も、どんどん毟り取られることでしょう。
ふふっ、これからどうなって行くのかしら?
なんて、もうわたくしには関係の無いことね。
だって、わたくしは今日から自由なんだもの♪
―-✃―――-✃―――-✃―-―-
「やー、うちの皇帝陛下と宰相閣下。慈悲深いっちゃあ慈悲深いけどさー……」
「あの二人、やり口はめっちゃエグいですよね……」
「そーそー。あちこち地方行脚して来いって、どさ回りさせられると思ったらなー」
「『人助けをして来なさい。理不尽な目に遭っている人を。特に……有能且つ、ちゃんと話の通じる女性をうちに保護して丁重にもてなすのよ!』ですからね」
「んで、助けた有能な女性に、カウンセリングがてら国の内情をあれこれ聞いてー、問題のありそうなとこから切り崩してー、どんどん支配下に置く、と。『困っている人を助けて、うちの利にもなる。これぞまさしくウィンウィンな関係よ!』って高笑いしてたけど」
「保護という名目ではありますが、実質的にはスカウトですよね、これ」
「もうさー、ネロ様とシエロ様の二人で、いつか大陸制覇とか、いっそのこと世界征服もできんじゃね?」
「皇帝陛下と宰相閣下にその気があるのかは不明ですが・・・あり得そうですね」
「わー、我らが偉大なるネロ皇帝陛下、シエロ宰相閣下ばんざーい!」
「ふざけてないで、彼女の保護が終わったら、次の国へ留学しますよ」
「へーい」
――おしまい――
__________
というワケで、『数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた』終わりました。
婚約破棄の場面で野次馬は野次らないのかな? と、思ったのがきっかけでできた話です。
そして、思いっ切り野次ったらあんな感じに……(笑)
主人公令嬢は全部放っぽって帝国に亡命したのでアレですが、残されたお花畑二人はこの後、すっごく大変なことになると思います。(((*≧艸≦)ププッ
ちなみに、年齢二桁になったばかりの美少年なネロ皇帝陛下とシエロ宰相閣下は、『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』の主役の姉弟というか兄弟のことです。
こうして兄弟は、大陸制覇を成し遂げた……的な手段の一環。(笑)
『腐ったお姉様~』の方を読んでなくても大丈夫ですが、興味のある方は『月白ヤトヒコ』の作品リンクから飛べるので覗いてやってください。(*>ω<*)
あと、どうでもいいのですが、『王弟殿下』、『皇弟殿下』は割とよく見ますが『皇兄殿下』はなかなか見ない単語だな、と書いてて思いました。(੭ ᐕ))?
まぁ、深く考えると……下が王位に就くなら、上を排除しているから、となるのでしょうが。帝国なら、余計にそうなるか……と。( ̄~ ̄;)
あ、『腐ったお姉様~』のシエロとネロの兄弟は仲良いです。(笑)
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