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この子は本当に、アイツの生まれ変わりなのかもしれませんね。
しおりを挟む娘が『彼』と『あの女』の家に預けられていることがわかって――――
娘が『あの女』になにか酷いことをされていないかしら? お腹を空かせていないかしら? 胸が苦しくなっていないかしら? 寂しい思いをしていないかしら? と。心配で心配で堪らなくなって、なにも手に付かなくなってしまった。
だから、様子を見に行くことにしたの。
そしたら、『あの女』がなにもわかっていないということがわかったわ。
病気がちで身体が丈夫ではない子供を育てるのには、ある程度の知識や心構えが必要なのに。『あの女』は、そんなことを全く知らない。
看病する根気も、子供を気遣う優しさも、知識も、なにもかもが足りていない。
しまいには、体調を崩して喘息の発作を起こした『あの子』に当たる始末。
本当に、なっていない。
やっぱり、『あの子』のことを一番わかっているのは、母親であるわたしなんだわ。
でも、変ね? 『あの子』は心臓が弱かったはずなのに……ああ、もしかして、小さくなってしまったことで、前よりはほんの少し身体が丈夫になったのかもしれないわね!
ふふっ、それなら、小さくなってしまったことにも意味があるんだわ。
ああ、小さくなって、喘息持ちになってしまった『あの子』のために、喘息の子のためのケアを勉強しなくちゃいけないわね!
本当は、『あの子』を裏切った『彼』と『あの女』のいる家になんて、行きたくなんかない。
だけど……以前よりはほんの少し身体が丈夫になったとは言え、なにもわかっちゃいない『彼』と『あの女』に、『あの子』が育てられるワケはない。だから、姉と一緒に『あの女』のいる家に通うことにした。
それから、小さくなってしまった『あの子』のケアや世話をして、あの子の好きだった料理を作って、あの子の好きだったオモチャやお菓子を買ってあげた。
わたしは、『あの子』の喜ぶ顔が見たかったんだもの。
まぁ……『あの女』には酷く嫌がられたけど、そんなの気にしないわ。それに、
「叔母さんが来てくれると、助かります」
って、『彼』には喜ばれたもの。
やっぱり、『彼』も『あの子』が元気でいると嬉しいのね。一度は、『あの子』を裏切ったクセに……
そんな風にしてあの家に通ってるとき。ふと、『あの子』に「おばちゃん」って呼ばれたの。
とても悲しかった。
だから――――
「わたしがあなたの本当のお母さんなのよ」
って、そう教えてあげたの。
だって、本当のことなんだから。
そしたらね、久々に『あの子』がわたしを、
「おかあさん」
って呼んでくれて、とても嬉しかったの。
涙が出るくらい嬉しくて・・・
『あの子』が忘れてしまった本当の名前で呼ぶと、可愛らしい笑顔を見せてくれたわ。
わたし達のその様子を見ていた『彼』も、
「この子は叔母さんのことを好きなんですね。この子は本当に、アイツの生まれ変わりなのかもしれませんね」
と、笑っていた。
けどそれ以来、『あの女』がどんどん苛々し出して、『あの子』に怒鳴り散らすようになってしまったの。
「アンタはわたしの娘でしょっ!? なんでわたしに似てないのよっ!?」
って、怖い顔で『あの子』に酷く当たるの。
わたしはもう、『あの子』が可哀想で可哀想で、本当に見てられなかったわ。『あの女』は、意味のわからないことばかり言って……
『あの子』が『あの女』に似ているワケないじゃない。『あの子』は『わたしの娘』なんだから。
それでも、『あの女』は『あの子』に酷いことを言って喚き続けた。
「早く丈夫になりなさいよっ!?」
本当に、酷い。なんでそんなことを言うの? 病弱で一番つらい思いをしているのは、『あの子』だっていうのに……
幾ら『あの子』のことが嫌いだからって、そんなことを小さな子供に言うだなんて、人間としてどうかと思うわ。
それを、『彼』に伝えたの。一応、
「病気の子供を看るのは大変だから、あなたも彼女のことを気遣ってあげて」
と、『あの女』を気遣う言葉と共に。
『彼』はわたしの言葉を信じて、『あの女』へ苦言を呈したらしい。
元から歓迎はされてなかったけど、『あの女』の態度が酷く頑なになった。
けれど、わたしは『あの子』に会いに、『あの女』の家へと通い続けた。
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