わし、八十九歳。ぴっちぴちの新米教皇。もう辞めたい……

月白ヤトヒコ

文字の大きさ
7 / 7

神よ、どうかわしの平穏な日々をお返しください……

しおりを挟む



「それにの、後天的に聖属性の魔力を帯びることはそんなに珍しいことでもないからの」
「なんですってっ!? それはどういう意味ですかっ!?」
「どうもこうも、毎日教会に通っている敬虔な信徒が聖属性の魔力を帯びていた、などはよくあることじゃろうて。神聖魔術を行使できる程の魔力量と技術や知識、根性が足りぬだけで、元の属性に加えて微弱な聖属性の魔力を得ている人は割とおるぞ」

 うんうんと頷くのは、古参連中と既に聖属性の魔力を帯びている者達。

「一般の、それも神を信じておらぬ人々とて、簡単な祝福はできるしの」
「そんなことがあり得るのですかっ!?」

 え~? なんでそんな驚愕しとるんじゃ?

「うん? あり得るどころか、そこら中どこにでもにありふれておるわ。例えば、『いってらっしゃい』や『おかえりなさい』という言葉。これは、『何事もなく目的地に着いて、無事に帰って来ますように』という願いと祈り。その思いこそが、簡単な祝福と言えよう。怪我や病気の子供によくする、『痛いの痛いの飛んで行け』というおまじないも然り。『痛みが消え、傷病が癒えるように』という願いと祈り。『子守歌』とて、『子が健やかに育ちますように』という願いと祈り。これらに効果が無いと馬鹿にする者もおろう。しかし、願いや祈りは、真摯に念じれば祝福へと転じる。この、祝福をする効果や威力が高い一握りの者のうち、その中でも教会で『聖人』という認定を受けた者が聖者や聖女と称されておるだけじゃよ」

 根底にあるのは、誰かの息災や安寧を願い、祈る心。それ自体が祝福の正体と言えよう。神を信じずとも、誰かを大切に想う心は微細な祝福へと昇華される。

「まあ、逆を言えば・・・誰かの息災や安寧のために願い、心から祈ることのできぬ者は聖者や聖女となるのが荷が重いということじゃがの」

 と、わしの言葉に気まずげに項垂れる者がちらほら。

 まだまだじゃのぅ。

 ああ、誰ぞ急成長して、わしの後釜に座ってくれんかのぅ?

 わし、もう辞めたいっ!!

「それじゃ、わし寝て来る……」

 と、後始末を若いのに丸投げして爆睡した。

 実に、数週間振りの睡眠。

 毛布と枕よ、愛しておる。今なら数日間は眠れそうじゃ……と、夢の世界に旅立ったのも束の間。

「猊下ーっ!! 国王陛下からのご招待ですよーっ!!」

 という、騒音に眠りが妨げられた。

 もうイヤじゃっ!!

 わし、余生は子供と戯れて過ごしたいんじゃ~っ!?

 神よ、どうかわしの平穏な日々をお返しください……

 ――おしまい?――


✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧


 読んでくださり、ありがとうございました。

 ロマ爺……日和見主義の最高齢司祭と思いきや、実は元僧兵のかなりハイスペックなお茶目おじいちゃん。89歳まで敬虔に祈りを捧げ、ずっと清い身でいたため、いつの頃からか神聖魔術を複数行使できる『ダイセイジャー!』に至っていた。老後は教会の子供達と戯れてスローライフを送る予定だった。(((*≧艸≦)ププッ

 しかし、次期教皇有力候補二人のヤバさを周知させようと選挙演説中にこっそりと『審判の証言』を掛けたところ、本性を露わにした俗物と狂信者が壇上で喧嘩勃発。そして、死亡。

 天罰が下ったとして、次期教皇のなりてが決まらなかったところ、「年功序列」という余計な一言で最高齢司祭だったロマ爺が教皇に祀り上げられることになった。ある意味、自業自得。多分、神様に気に入られてる。

 教会内のハイスペックじじばば……ロマ爺同様、心身共に清かったり、神様に気に入られて神聖魔術が使えたりする。一芸に秀でている者が多いが、ロマ爺同様めんどくさがり。もしくは、権力に一切興味無し。

 ロマ爺に教皇を押し付け、今まで通り平穏に暮らそうと思っていたら、ロマ爺の意趣返しで要職に就けられる。茶飲み友達だったのに、最近はギスギスしている。

 ちなみに、ゲスナーはドイツでは一般的な男性名だそうです。カスリンは、キャサリンやキャスリン、ケイトリン、カトリーナなどを別読みした名前な感じですね。(*`艸´)

 感想を頂けるのでしたら、お手柔らかにお願いします。

しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

さごはちジュレ
ネタバレ含む
2025.02.24 月白ヤトヒコ

さごはちジュレさん。感想をありがとうございます♪

返信が遅くなってすみません。(´-ω-)人

ロマ爺「シスター・カスリンはのぅ……治癒魔術の才能は少々あっても、頭が本当に残念じゃったのぅ」ε-(´⌒`。)ハァ。。

「ほっほっほ、わしモテモテじゃのぅ」( -`ω-)✧

解除
Kimy
2024.11.26 Kimy
ネタバレ含む
2024.11.27 月白ヤトヒコ

Kimyさん。感想をありがとうございます♪

そんなに楽しんで頂けたならうれしいです♪(ノ≧▽≦)ノ

ロマ爺「どこの世界にも俗物生臭坊主や、やべぇ狂信者がおるんじゃのぅ……恐ろしいのぅ」(((;°Д°;))))

「わしは全く棚ぼたじゃないぞ」(lll __ __)

「まあ、シスター・カスリンについては下手な鉄砲数撃ちゃ当たるという感じだったんじゃろうな。武力ではなく、内政的に腐敗ー狙い、いい頃合いで自分の娘を投入……という感じかの? おそらく、シスター・カスリンは、最初から捨て駒なのじゃろう」(´・д・`)

カスリンはどうでしょう。案外しぶとく……あと二、三十年は生きるかもです。とは言え、まだ十代設定なので、やっぱり短命かな?

こちらこそ、いつもありがとうございます♪(*´∇`*)

解除
ねんねこ
2024.11.26 ねんねこ
ネタバレ含む
2024.11.27 月白ヤトヒコ

ねんねこさん。労いのお言葉&感想をありがとうございます♪

ロマ爺「ち、違うんじゃ! そんなつもりは無かったんじゃ! ちぃとばかり、アヤツらの危険性を周知させたかっただけなんじゃよ」ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿

「イヤじゃ~! わしは余生をのんびり悠々自適に過ごしたいんじゃ~!」( TДT)

ロマ爺、なんだか人気なので、書けたらちょろっと書くかもです。(*ノω・*)テヘ

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】カミに愛されし聖女との婚約を破棄するっ!?

月白ヤトヒコ
ファンタジー
国王である父は敬虔で、神へとよく祈っていることは知っていた。 だが、だからと言ってこの暴挙はどうかしていると言わざるを得ない。 父はある日突然、城へと連れて来た女性をわたしの婚約者へ据えると言い出した。 「彼女は、失われしカミを我が身へと復活せしめるという奇跡を起こせし偉大なる女性だ。公爵とも既に話は付いている。彼女を公爵家の養女とし、お前と婚姻させる。これは、彼女を教会から保護する為に必要な処置だ。異論は認めぬ!」 それまで賢君とは及ばずも暴君ではなかった父の豹変。なにか裏があると思ったわたしは、ぽっと出の神に愛されし聖女とやらを調べ―――― 中毒性や依存性の見られると思しき、怪しい薬を作っていることが判明。 わたしは、彼女との婚約を破棄することにした。 という感じの、多分ギャグ。 ゆるゆる設定。

慟哭の螺旋(「悪役令嬢の慟哭」加筆修正版)

浜柔
ファンタジー
前世で遊んだ乙女ゲームと瓜二つの世界に転生していたエカテリーナ・ハイデルフトが前世の記憶を取り戻した時にはもう遅かった。 運命のまま彼女は命を落とす。 だが、それが終わりではない。彼女は怨霊と化した。

ほんとうのごめんなさい

あかね
ファンタジー
あなたに、ごめんなさいをいいにいかなきゃ

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

そんなファンタジーは要らねぇ

猫枕
ファンタジー
 学園の遠足で行った湖上遊覧船転覆事故。  その事故で恋人ディランを亡くしたソフィーは事故後何年経っても彼を忘れられずにいた。  ソフィーは毎年事故のあった日に湖畔に花を手向けディランの冥福を祈っていた。  やがてディランの親友だったスティーブと過去の傷に向き合うようになり、次第に二人は惹かれ合い遅い結婚をした。  燃え上るような激しい恋ではなかったが、穏やかで優しい日々の中、待望の子供も授かることができた。  このまま幸せな日々が続いていくと思っていたのだが。

偽聖女のささやかな復讐

ととせ
ファンタジー
聖女と認定され、王子と強制的に婚約させられたのは、庭師の娘、キャロット。 地位も後ろ盾もない彼女は聖女として王宮に迎えられたものの、待っていたのは陰湿ないじめと、理不尽な命令の連続だった。 母譲りの髪を嘲られ、肌を汚いと笑われ、祈りの儀式では十二時間立ちっぱなし。 それでもキャロットは、ただ黙って耐えた。 なぜなら彼女は、誰よりも忠義を知る庭師だったから。キャロットは聖女ではない。 本物の聖女を逃がすため、ただの庭師が身代わりとなっただけだったのだ。 そしてついに、待ちに待った日が訪れる。 「本日この時をもって聖女としての任を解く。同時に俺との婚約も破棄する!異論は認めん!」 その瞬間、キャロットは満面の笑みで答えた。 「はい、喜んで!」

アドリアナさんはヒロインでした。

みなせ
ファンタジー
誰かが机を叩きました。 教室が鎮まると、アドリアナさんはメアリーさんに向かって尋ねました。 アドリアナさんによる、メアリーさんの断罪の始まりです。 小説家になろうさんにも掲載しています。

こうしてある日、村は滅んだ

東稔 雨紗霧
ファンタジー
地図の上からある村が一夜にして滅んだ。 これは如何にして村が滅ぶに至ったのかを語る話だ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。