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神よ、どうかわしの平穏な日々をお返しください……
しおりを挟む「それにの、後天的に聖属性の魔力を帯びることはそんなに珍しいことでもないからの」
「なんですってっ!? それはどういう意味ですかっ!?」
「どうもこうも、毎日教会に通っている敬虔な信徒が聖属性の魔力を帯びていた、などはよくあることじゃろうて。神聖魔術を行使できる程の魔力量と技術や知識、根性が足りぬだけで、元の属性に加えて微弱な聖属性の魔力を得ている人は割とおるぞ」
うんうんと頷くのは、古参連中と既に聖属性の魔力を帯びている者達。
「一般の、それも神を信じておらぬ人々とて、簡単な祝福はできるしの」
「そんなことがあり得るのですかっ!?」
え~? なんでそんな驚愕しとるんじゃ?
「うん? あり得るどころか、そこら中どこにでもにありふれておるわ。例えば、『いってらっしゃい』や『おかえりなさい』という言葉。これは、『何事もなく目的地に着いて、無事に帰って来ますように』という願いと祈り。その思いこそが、簡単な祝福と言えよう。怪我や病気の子供によくする、『痛いの痛いの飛んで行け』というおまじないも然り。『痛みが消え、傷病が癒えるように』という願いと祈り。『子守歌』とて、『子が健やかに育ちますように』という願いと祈り。これらに効果が無いと馬鹿にする者もおろう。しかし、願いや祈りは、真摯に念じれば祝福へと転じる。この、祝福をする効果や威力が高い一握りの者のうち、その中でも教会で『聖人』という認定を受けた者が聖者や聖女と称されておるだけじゃよ」
根底にあるのは、誰かの息災や安寧を願い、祈る心。それ自体が祝福の正体と言えよう。神を信じずとも、誰かを大切に想う心は微細な祝福へと昇華される。
「まあ、逆を言えば・・・誰かの息災や安寧のために願い、心から祈ることのできぬ者は聖者や聖女となるのが荷が重いということじゃがの」
と、わしの言葉に気まずげに項垂れる者がちらほら。
まだまだじゃのぅ。
ああ、誰ぞ急成長して、わしの後釜に座ってくれんかのぅ?
わし、もう辞めたいっ!!
「それじゃ、わし寝て来る……」
と、後始末を若いのに丸投げして爆睡した。
実に、数週間振りの睡眠。
毛布と枕よ、愛しておる。今なら数日間は眠れそうじゃ……と、夢の世界に旅立ったのも束の間。
「猊下ーっ!! 国王陛下からのご招待ですよーっ!!」
という、騒音に眠りが妨げられた。
もうイヤじゃっ!!
わし、余生は子供と戯れて過ごしたいんじゃ~っ!?
神よ、どうかわしの平穏な日々をお返しください……
――おしまい?――
✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧
読んでくださり、ありがとうございました。
ロマ爺……日和見主義の最高齢司祭と思いきや、実は元僧兵のかなりハイスペックなお茶目おじいちゃん。89歳まで敬虔に祈りを捧げ、ずっと清い身でいたため、いつの頃からか神聖魔術を複数行使できる『ダイセイジャー!』に至っていた。老後は教会の子供達と戯れてスローライフを送る予定だった。(((*≧艸≦)ププッ
しかし、次期教皇有力候補二人のヤバさを周知させようと選挙演説中にこっそりと『審判の証言』を掛けたところ、本性を露わにした俗物と狂信者が壇上で喧嘩勃発。そして、死亡。
天罰が下ったとして、次期教皇のなりてが決まらなかったところ、「年功序列」という余計な一言で最高齢司祭だったロマ爺が教皇に祀り上げられることになった。ある意味、自業自得。多分、神様に気に入られてる。
教会内のハイスペックじじばば……ロマ爺同様、心身共に清かったり、神様に気に入られて神聖魔術が使えたりする。一芸に秀でている者が多いが、ロマ爺同様めんどくさがり。もしくは、権力に一切興味無し。
ロマ爺に教皇を押し付け、今まで通り平穏に暮らそうと思っていたら、ロマ爺の意趣返しで要職に就けられる。茶飲み友達だったのに、最近はギスギスしている。
ちなみに、ゲスナーはドイツでは一般的な男性名だそうです。カスリンは、キャサリンやキャスリン、ケイトリン、カトリーナなどを別読みした名前な感じですね。(*`艸´)
感想を頂けるのでしたら、お手柔らかにお願いします。
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さごはちジュレさん。感想をありがとうございます♪
返信が遅くなってすみません。(´-ω-)人
ロマ爺「シスター・カスリンはのぅ……治癒魔術の才能は少々あっても、頭が本当に残念じゃったのぅ」ε-(´⌒`。)ハァ。。
「ほっほっほ、わしモテモテじゃのぅ」( -`ω-)✧
Kimyさん。感想をありがとうございます♪
そんなに楽しんで頂けたならうれしいです♪(ノ≧▽≦)ノ
ロマ爺「どこの世界にも俗物生臭坊主や、やべぇ狂信者がおるんじゃのぅ……恐ろしいのぅ」(((;°Д°;))))
「わしは全く棚ぼたじゃないぞ」(lll __ __)
「まあ、シスター・カスリンについては下手な鉄砲数撃ちゃ当たるという感じだったんじゃろうな。武力ではなく、内政的に腐敗ー狙い、いい頃合いで自分の娘を投入……という感じかの? おそらく、シスター・カスリンは、最初から捨て駒なのじゃろう」(´・д・`)
カスリンはどうでしょう。案外しぶとく……あと二、三十年は生きるかもです。とは言え、まだ十代設定なので、やっぱり短命かな?
こちらこそ、いつもありがとうございます♪(*´∇`*)
ねんねこさん。労いのお言葉&感想をありがとうございます♪
ロマ爺「ち、違うんじゃ! そんなつもりは無かったんじゃ! ちぃとばかり、アヤツらの危険性を周知させたかっただけなんじゃよ」ヽ(´Д`;≡;´Д`)丿
「イヤじゃ~! わしは余生をのんびり悠々自適に過ごしたいんじゃ~!」( TДT)
ロマ爺、なんだか人気なので、書けたらちょろっと書くかもです。(*ノω・*)テヘ