1 / 11
嫌いなモノとはなるべくなら関り合いになりたくない。
しおりを挟むわたしは、嫌いなモノとはなるべくなら関り合いになりたくない。
そういう性格をしている。冷めていて可愛げが無い、ともよく言われる。
だというのに、わたしが廊下を歩いていると・・・
「おい、ブス! お前、ブスのクセに道の真ん中を通りやがって、目障りなんだよ。さっさと退け! 不細工はもっと端に行け!」
ニヤニヤした顔の少年が、わざとわたしの肩にぶつかって来て言った。
廊下は数人が通れるくらいの幅があって、混んではいない。だというのに、明らかにわざとぶつけられた肩が痛む。もしかしたら、また痣になっているかもしれない。後で保健室に行って、ちゃんと確認しなきゃ。
「っ……」
痛む肩に顔を顰めて通り過ぎようとしたら、
「お前、俺にぶつかったクセになんにも言わないのかよ?」
またもやニヤニヤした顔が言った。
さっさと退けと言ったクセに、こうやって絡んで来る。本当に意味がわからない。
ニヤニヤした顔が気持ち悪い。
中等部に入学した頃から、こうだ。わたしのなにが気に食わないのか、毎度毎度顔を合わせる……というか、向こうがわたしを見掛ける度、こうやって一方的に嫌がらせをされる。
言葉を返したりリアクションを返すと余計に面倒なことになるので、無視を決め込む。
以前に言い返した際は、突き飛ばされて怪我をした。転んで膝を擦り剥いて血が出た。それを見たこのクソガキが真っ青になり、無理矢理保健室に連れて行かれた。
さすがに暴力沙汰はまずいと思ったのか、保健室に向かう途中、自分が怪我をさせたことは黙っていろと口止めをされた。
しかも、自分で怪我をさせたクセに謝りもせず、「お前みたいな地味女を、わざわざ保健室へ連れて行ってやったんだから、俺に感謝しろよな」だとか、宣われた。
厚顔無恥で恩着せがましいクソ野郎だと思った。誰が感謝するか。
それからは、流血するような怪我はさせられてはいない。打撲や痣などの生傷は絶えないけど。
一度、親に怪我をさせられたことを言った。けれど、わたしの話をおざなりに聞いて、「お友達と仲がいいのはわかるけど、お転婆も程々になさい」と言われた。
おそらく、両親はわたしに対する関心が薄い。長男である兄と、妹のことで手一杯なのだろう。真ん中のわたしは、兄と妹よりも優先順位が低い。
兄と妹の話だと、くだらないことでも真剣に聞くのに。わたしが困ったことがあると言っても、適当な返事を返されて・・・
最後にはこう言われて終わる。「問題を起こさないでちょうだい」と。
両親はわたしに、兄にとっての良い妹、妹にとっての良い姉、静かで手の掛からない子であれ。ということを常に求めているのだろう。
まぁ、子供同士で年の近い兄弟の真ん中の子は、余所の家(友人の真ん中令嬢から聞いた)でも大体そういう立ち位置を求められているようだから、うちだけがおかしいというワケでもない。多分。
だから、家の中でも学園でも、静かに過ごすことを望んでいるのに・・・
「おい! 無視すんなよブス!」
と、喚くクソガキを置いてわたしは次の授業へ向かった。
一応、地味であることは自分でも認めるが。わたしは、何度もブスや不細工だと連呼される程の顔はしていない……と、思っている。
この学園が、男女でクラスが別れていている制度でよかった。なんて思いながら教室に入ると、
「また絡まれてたわね」
クスクスと笑う女子生徒の囁きが耳に入る。
「あの方、本当に素直じゃないんだから」
「そうね。もっと素直に、紳士的に接すれば彼女もきっと……」
「あら、そこが可愛らしいんじゃない」
などと、よくわからない会話が交わされている。まぁ、わたしには関係無いけど。
休憩時間をどう過ごそう? どうすれば、あのクソガキに遭遇せずに済むだろう?
と、ウザ絡みをして来るクソガキを、どうやって躱すかを考える。
あのクソガキは、暴言を吐いて攻撃する程わたしのことが嫌いなクセに、やたらわたしに接近して来る。どんなに避けても、移動教室やお昼休みに待ち伏せしたりして、わたしに暴言を吐く。
そんなクソガキは、誰でも彼でも暴言を吐いて、あのような態度を取っている……というワケでもないらしい。
普段はそんなに目立たない生徒らしく、わたしにだけ、あのような態度を取っている……ようだ。見たことないから知らないけど。
そんなに嫌いなら、視界に入れなければいいのに。わざわざ探し出してまで攻撃する意味が、心底わからない。
―-✃―――-✃―――-✃―-―-
125
あなたにおすすめの小説
【完結】王女の婚約者をヒロインが狙ったので、ざまぁが始まりました
miniko
恋愛
ヒロイン気取りの令嬢が、王女の婚約者である他国の王太子を籠絡した。
婚約破棄の宣言に、王女は嬉々として応戦する。
お花畑馬鹿ップルに正論ぶちかます系王女のお話。
※タイトルに「ヒロイン」とありますが、ヒロインポジの令嬢が登場するだけで、転生物ではありません。
※恋愛カテゴリーですが、ざまぁ中心なので、恋愛要素は最後に少しだけです。
姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。
しげむろ ゆうき
恋愛
姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。
全12話
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
そんな事も分からないから婚約破棄になるんです。仕方無いですよね?
ノ木瀬 優
恋愛
事あるごとに人前で私を追及するリチャード殿下。
「私は何もしておりません! 信じてください!」
婚約者を信じられなかった者の末路は……
妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?
志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」
第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。
「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」
「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」
「そうですわ、お姉様」
王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。
「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」
私だけが知っている妹の秘密。
それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。
婚約破棄が国を亡ぼす~愚かな王太子たちはそれに気づかなかったようで~
みやび
恋愛
冤罪で婚約破棄などする国の先などたかが知れている。
全くの無実で婚約を破棄された公爵令嬢。
それをあざ笑う人々。
そんな国が亡びるまでほとんど時間は要らなかった。
婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?
綴
恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢
この婚約破棄はどうなる?
ザッ思いつき作品
恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる