おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

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いいぜ? そんじゃ、リブお兄さんの、聖人講座ー。

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『ま、ぶっちゃけ、娼婦の中にも聖女はいるからな』

 風のの言葉に頷く。

「ええっ!? なにそれっ!? そんなの聞いたことないんだけどっ!? わたし、野郎共から身を守れってちびっこいときから無理矢理戦闘訓練受けさせられて来たんだけどっ!? それ全部無意味だったってことっ!?」
「や、全くの無意味ってワケじゃねぇよ。言ったろ? 強姦は、魂の殺人って言われてるくらいに酷いことらしいからな」

 俺、神様に創られた神竜だし。繁殖機能とか必要無いし、相手もいないからよくわからんけど。それがヒト種にとっては、非常につらいことなのだという知識はある。

「魂が傷付いたら、他人を祝福するどころじゃねぇだろ」
「……とりあえず、聖人についてもっと詳しく説明して」
「いいぜ? そんじゃ、リブお兄さんの、聖人講座ー」
『おおー』

 パチパチパチと、自分で拍手をする。・・・風の以外、誰も乗って来ねぇ。ノリ悪いなー。

「聖人ってな、ヒト種共の定義じゃ祝福を扱える存在ってなってんだろ?」
「うむ」

 俺の言葉に、じいさん聖者が頷く。

「祝福の根源ってな、つまりは他者へ対する慈愛や博愛、感謝や祈りという心なワケだ。献身の心はまあ、良し悪しだなー」

 献身は、真実相手のためを想う献身と、相手を傷付ける目的の献身、または自分をよく見せたいという承認欲求の献身などなど。純粋とは言えない邪な心の献身もあるし。

「へー」
「で、簡単に言うと、処女や童貞捨てても、他者への慈愛や祈りの心が失われたり、忘れない限りは、祝福が使えなくなることはない。故に、あんまり意味が無いってことだ。理解したか? アルメリア」
「う~ん……なんかほら? おとぎ話とかでよくあるやつ、王子様と結婚した聖女が聖女じゃなくなるって話。ああいうのは、どういうこと?」
「簡単な話だろ? その、王子様と結婚した聖女とやらが不幸になった。理想と現実のギャップってやつ? 王族ってのは、大体本妻以外にも女侍らせたりするじゃん? もしくは、地位や権力に慢心だか、段々と心磨り減らして行ったりして、他者への慈愛や感謝、祈りの心を忘れたか……そんな感じじゃね?」
「不幸になると、どうして聖女じゃなくなるの?」
「自分が不幸なときに、他人の幸せを願い、祈れるヒト種共はそうそういないから。基本、不幸なヒト共は、他人も不幸になることを望むことが多い。それは、ヒトである限り、聖女も聖者も大して変わらねぇよ。言ったろ? 聖人ってな、気質成分強めの、体質みたいなもんだって」
『そういうことだな。つまり、娼婦が天職! 娼婦で幸せ! みんなハッピーになれ! って心から考えられる聖女は、娼婦でも聖女のままだってことだ!』

 はっはっは! と、笑う風のに、困った顔をするじいさん聖者。

「そういう意味じゃ、カビたり、土や泥の付いた食べ物貰っても、食い物食えるラッキー♪食べ物くれてありがとう♪って思えるくらい図太いアルメリアには聖女は簡単にやめられねぇよ」
「くっ……なんだか、食べ物貰えれば頭ハッピーなおバカ扱いされてるような気がする!」
「や、これでも誉めてんだぜ? というワケだから、アルメリアは自分を大事にしろよ?」
『あるめりあ、ふびんなこ……』
『カビカビやばっちいたべもの、ぽんぽんいたいいたいするのに~……』
『かわいそー』
『にぃににきにいられてかわいそー』
『あるめりあにおかしあげるー』
『あるめりあにおたべ~するの!』
『ロマンシスー、プリンやけたー』
『むずかしいおはなしより、あるめりあにおかしあげてー』
『たべさせる~♪』
『ぷりんは、つめたくてもおいしいけど、あつあつもおいしいの~♡』

 今まで、難しい話だと遠慮していたらしき下位精霊達が食べ物の話題に割って入る。

「そうじゃの。アルメリアちゃんや、手作りのお菓子が嫌でなければわしの作ったお菓子を食べてくれぬかの?」
「っ!? いいのっ!?」
「勿論じゃ」
『アルメリアのためにつくった!』
『われらと、ろまんしすでつくった!』
『あるめりあにおたべ~するため~』
『くっきー、まふぃん、ぶらうにー、ぷりん♪』
「プリン! めっちゃ楽しみ! あれ、すっごく美味しそうなんだよね~」
「うん? プリンを食べたことがないのかの?」
「えっとねー、プリンは見たことある。でも、食べさせてもらえなかった。いつも、目の前で美味しそうな匂いをしているプリンが、食べられるとこを見てたの」
『ぅうっ、かわいそすぎるっ……』
『ふびんふびん……』
『やー、俺が見たことあんのは、目の前でプリンを地面にぶち撒けられて泣いてる欠食娘だぜ。で、地面に落ちたぐっちゃぐっちゃな土混じりのプリンを搔き集めてどうにか食おうとしてんの、さすがにそれはやめとけって止めたわ』
『なんて、ことだっ!?』
『ぷりんが、ころされたっ!?』
『おかしのうらみ、ゆるすまじ!』
『ぷりんかわいそー』
『ぷりんをたすけてあげてー!』
『はっはっは、そのプリンは土に還ったぜ』
『ぅ~……ぷりんがぶじつちにかえったなら、よし』
『つちのじぃじ、ぷりんおいしかったかなぁ?』
『おー、多分なー。つか、早く欠食娘に食わせてやれよ、ロマンシス』
「うむ。そうじゃの。しかしのぅ……」

 と、聖者のじいさんは騎士のじいさんとアルメリアを見比べ、少し葛藤するような顔で頷いた。

「トマスは、我が厨房への出入りを禁ずるのじゃ! 貴様はそこで、アルメリアちゃんを待っておるがいいわ! アルメリアちゃんは、中へ案内するでの」
「? なんでトムさんは駄目なの?」
『とますはくいしんぼう!』
『おかしかくさないとぜんぶたべられちゃう~!』
『アルメリアのぶんまでくいつくされちゃう~!』
「っ!?」

 下位精霊の言葉に、ハッ! とした顔で騎士のじいさんを見上げるアルメリア。

「や、さすがに餓えた娘っ子の食い物は奪わねぇよ」
「怪しいもんじゃ。ま、ええわい。貴様はそこで待っとれ」
「ケッ……」

 憎まれ口を叩き合うじいさん達におろおろしつつ、

『あるめりあ、こっちこっち~』
『おかしがまってる~』
『ぷりん、くっきー、まふぃんにぶらうにー♪』

 下位精霊達に呼ばれて気もそぞろなアルメリア。

「さ、アルメリアちゃんや中に入るといい」

 こうしてやたら頑丈な造りの建物へ案内されたアルメリアは、

『おたべー』
『これ、われがまぜた!』
『われがやいた!』
『われらがさました!』
『すきなだけおたべ~♪』

 聖者のじいさんと下位精霊達の手作りしたというお菓子を食べて感動に打ち震え……

「おじいちゃん、わたしを弟子にしてくださいっ!!」

 と、聖者のじいさんに弟子入りすることにしたようだ。

 まあ、アルメリアが好きなようにすりゃいいんじゃね? と思う。

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みんなの感想(28件)

道産子
2025.11.29 道産子

ロマ爺の若い頃の話が読んでみたいです。(о´∀`о)

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にゃ王さくら
ネタバレ含む
解除
日の丸扇
2025.08.10 日の丸扇
ネタバレ含む
解除

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