おっす、わしロマ爺。ぴっちぴちの新米教皇~もう辞めさせとくれっ!?~

月白ヤトヒコ

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じいちゃんばあちゃん達はみんな一斉にギックリ腰になったことになった。

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 またまた視点変更。

――――――――

 よう……おれ、カイト。教会に保護されている孤児のうちの一人。多分、十歳くらい?

 教会の中にある孤児院に住んでいるんだけど……一か月とちょっと前から、様子がおかしいんだ。なんか、空気も色々おかしいし。

 いつも、孤児院にいるガキ共にお菓子を配っているシサイ様? のじいちゃんがいるんだけどさ。おれがここに来るずっと前から一週間に一度は必ずたくさんお菓子を持って来てくれて、ガキ共一人一人の顔を見て、名前を呼んで、お菓子をくれてるってとっても優しいじいちゃんなんだけど・・・

 そのじいちゃんが、来なくなった。

 それだけじゃねぇ。

 教会のあちこちにいた、じいちゃんばあちゃん達の姿が見えない。

 孤児院の管理をしてたばっちゃんも、朝早くから薪割りをして、その薪を分けてくれたゴツいじっちゃんも、きゅーごしつにいた居眠りばかりのじいちゃんも……みんなみんな、ここ一月の間、姿を見てねぇ。

 他のガキ共や別の孤児院の連中にも聞いてみたけど、じいちゃんばあちゃん達のこと、見掛けた奴が誰もいない。

 これっておかしいだろ? ぜったい変だ。

 きゅーごしつにいた居眠りばっかのじいちゃんは、毎日すっげー朝早くに薬草園とか畑にいて、薬草の世話したり採取をしたりしてるって話だけど。つか、朝めっちゃ早いからきゅーごしつでずっと寝てんじゃね? って思うんだけどさ。

 そのじいちゃんも、全然姿を見掛けなくて……別の、見たことないオッサンとかよく知らないシスターとかが、まごまごと薬草や畑の世話をしてるらしい。

 一体どういうことなのか……それを考えるのが、なんだか怖い。

 教会の上の指示で、シサイ様やシスター達は別の地域だったり、他の国に移動させられることもあって。前に、せーじょ見習いだったシスターのねーちゃんとか、いきなり別の国に行かされて、シスターのねーちゃんといきなり会えなくなったガキ共が泣き喚いてよーやく、えらいオッサンがシスターのねーちゃんが外国に行ったことを教えてくれたことがあった。

 だから・・・ここ最近、ずっと見ないじいちゃんやばあちゃん達もきっと田舎とか外国に行ったんだ。元気でいてくれれば――――って、思うようにしていた。

 けど、口の悪いガキが言い出した。

「ジジイもババアも、みんな死んだんだよ」

 って、すっごく怒った顔して。じいちゃんばあちゃんの姿が見えなくなって、不安に思っていたガキ共はそれでギャン泣き。

「じいちゃん達もばあちゃん達も死んでないっ!? そんなウソつくなっ!?」

 じいちゃんばあちゃんが好きな、それで元気のいい連中は口の悪いガキ共と大喧嘩。

「ならっ、どうしてジジイもババアもこっちに来ないんだよっ!? 死んだんじゃないなら……俺らのこと嫌いになったから来ないってことになるだろうがっ!?」

 と、とうとう口の悪いガキ共も泣き出した。

 じいちゃんばあちゃんが、死んだ……ってことにした方が、ソイツらにはよかった。

 だって、おれら孤児は実の親に捨てられたり、親が死んでどうしようもなくて孤児院に来ている奴が多い。

 親戚に引き取られたって、その親戚がいい奴だとは限らない。

 親戚にすっげー意地悪されて、嫌われて、「お前なんか生まれなければよかったのに。このゴクツブシが!」とか酷いこと言われて、殴られたり、飯抜きにされて、死に掛けて、殺されるくらいならって家出して。道端でくたばりそうになったり、道でかっぱらいやスリをして捕まって孤児院に放り込まれたりした奴もいる。

 そういう奴は口や態度が悪かったりして、あんまり他人を信じない。けどでも、自分の名前を呼んでくれて、お菓子を手渡しして、頭を撫でてくれるロマじいちゃんのことはきっと、大好きだったんだ。

 ロマじいちゃんは、「触んなっ!?」って手を払われても、「クソジジイ」って言われても、「ほっほっほ、元気な子じゃのぅ」って、笑って許してくれた。

 毎度毎度、変わらずににこにこと接してくれた。孤児だからって、犯罪をしてくらしてたガキだからって、他の大人みたいに最初から警戒して差別しなかったし。

 じいちゃんの作ったお菓子は、おいしくて。なんかこう、胸があったかくなる感じがする。

 だから、そんなロマじいちゃんに嫌われたって思うより、じいちゃんは死んだからおれらのところに来れないって、思いたかったんだと思う。その方が悲しくないし、寂しくない。自分の心が・・・痛くないから。

 そんな風に大喧嘩して、取っ組み合いにまで発展して。みんなで大人に怒られて、孤児院の中のふんいきはかつてないほど最悪だ。

 大人達にじいちゃんばあちゃんのことを聞いても、教えてくれない。

 そんな中、誰かがじいちゃんばあちゃん達は病気になったんじゃないか? って言い出した。

 そして、『じいちゃんばあちゃんが死んだ派』と、『じいちゃんばあちゃんには事情があって来れない派』が、ちょっぴり和解した。

 まあ、じいちゃんばあちゃんがどんな病気になったのか? ってことでも、また喧嘩になったけど。でも、死んだって言い出したときの大喧嘩よりはマシだ。

 それで、じいちゃんばあちゃん達はみんな一斉にギックリ腰になったことになった。あんまり酷い病気だと、本当に死ぬかもしれないって、チビ達がまたギャン泣きしたからだ。

 なんか、ギックリ腰って腰がすっげー痛くて、動けなくなるらしい。大人の中でも、特に年寄りがギックリ腰になると歩けなくなったりして、ものすっげー大変なんだって。

 だから、じいちゃんばあちゃん達は、動けなくなるくらいのギックリ腰。それで決定。口の悪いガキ共と、死んだって言うのは無しという取り決めをした。

 そんな風に、不安だったりイライラしたり、心細く過ごして――――

 ある日、ひょっこりとじいちゃんが孤児院にやって来たっ!!


――――――――

 ロマ爺や他のじじばば達が顔を出せないでいる間の孤児院の子達の不安げな様子。(*´ー`*)

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